SEC、ETF承認判断を先送り
SEC(米国証券取引委員会)は2025年4月29日に、5つの仮想通貨関連ETF(上場投資信託)申請に対する判断を延期したことを発表しました。
今回対象となったのはソラナ(SOL)、XRP、ヘデラ(HBAR)、ドージコイン(DOGE)、イーサリアム(ETH)の価格に連動する現物ETFです。SECは審査期間を45日間延長する決定を下しました。
この決定により、各案件の一次判断期限は6月中旬以降に持ち越されることになりました。
SECは延期の理由について「規則変更案や関連する論点を十分に検討するため、さらなる時間が必要だ」と説明しています。
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承認延期された5つの仮想通貨ETF一覧
今回判断が持ち越された5つの仮想通貨ETFおよび申請企業は以下の通りです。
- フランクリン・テンプルトン:SOL現物ETF
Cboe BZXによる申請の審査期限が2025年6月17日まで延長 - フランクリン・テンプルトン:XRP現物ETF
Cboe BZXによる申請の審査期限が2025年6月17日まで延長 - グレースケール:HBAR現物ETF
規制当局への最新の提出書類によれば審査期限は2025年6月11日まで延長 - ビットワイズ:DOGE現物ETF
NYSE Arcaによる申請の審査期限が2025年6月15日まで延長 - フィデリティ:ETH現物ETF(ステーキング機能付き)
初回45日間の審査期限を延長、今後数ヶ月内に改めて判断予定
いずれの案件も米証券取引法に基づく19b-4ルール変更提案として証券取引所から申請されたものです。
SECは連邦官報への掲載日から45日ごとに、最大240日まで審査期限を延長できる権限を持っています。今回はその最初の45日延長措置が適用されました。
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アルトコインETFの承認延期が市場に与える影響
市場への影響としては、今回延期となった銘柄の一つであるXRPの価格動向が注目を集めています。
2025年4月30日現在のXRP価格は約2.24ドル(約320円)で、XRP現物ETFの年内承認への期待を背景に安定した動きを見せています。
すでに米国市場で現物ETFが取引されているビットコイン(BTC)とイーサリアムは、ETF上場後に機関投資家からの資金流入が進み、流動性と時価総額が増加傾向にあります。
今回延期となったソラナやドージコインなど他のアルトコインについても、最終判断が下る10月頃まで市場は規制当局の動きを注視し続け、承認への期待と不安が価格に反映される状況が続くと見られています。
各ETFの承認結果や時期によっては仮想通貨市場全体に大きな影響を及ぼす可能性があり、市場関係者は今後数ヶ月の展開に高い関心を寄せています。
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ETFアナリスト「予想通りの展開」
今回の延期について、米ブルームバーグのETFアナリスト、ジェームズ・サイファート氏は「予想通りの展開だ」と述べています。
同氏は4月29日、自身のX(旧Twitter)で「申請の最終期限は2025年10月頃以降に設定されている」と投稿し、SECが法定の最長期限まで判断を持ち越す可能性を示唆しました。
We also had the SEC delay decisions on Ethereum Staking and Dogecoin ETFs today. I am expecting more delays today or at least this week on some Solana and Hedera/HBAR ETF filings. This is expected IMO. Final deadlines for most of this stuff is in October 2025 or later. https://t.co/kOZNCSjy6c
— James Seyffart (@JSeyff) April 29, 2025
本日、イーサリアムのステーキングETFやドージコインETFに関する判断がSECによって延期されました。
ソラナやヘデラに関するETF申請についても、今日中か今週中には同様に延期されると予想しています。これは想定内の動きです。
これらのETFの多くについて、最終的な判断期限は2025年10月以降に設定されています。
各案件の最終判断期限(240日目)は今年第3~第4四半期(2025年10~11月頃)に集中しており、サイファート氏は「最終決定は10月までに下されるだろう」との見方を示しています。
またサイファート氏は「これは通常の手続きであり、延期自体は承認の可能性を左右するものではない」とコメントしており、同僚のエリック・バルチュナス氏も「ビットコインやイーサリアムETFの承認過程でも同様の延期が何度か行われたが、最終的な承認を妨げるものではなかった」と指摘しています。
両氏は、SECが新議長のポール・アトキンス氏のもとで外部専門家との協議を重ねながら方針を検討しており、正式な体制が整うまでは判断を保留するだろうと分析しています。
その上で「今後適切なタイミングで承認が行われる可能性が高い」と述べ、最終決定の時期を見据えた見解を示しました。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.44円)
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Source:SEC公開資料
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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