パキスタン首相、仮想通貨推進で著名起業家を特別補佐官に任命|ブロックチェーン政策が本格化

パキスタン首相、仮想通貨推進で著名起業家を特別補佐官に任命|ブロックチェーン政策が本格化(Pakistan PM appoints renowned entrepreneur as special advisor to advance crypto and blockchain policy)
目次

パキスタン政府、仮想通貨推進体制を強化

パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は2025年5月26日、パキスタン・クリプト・カウンシル(PCC)のCEOであるビラル・ビン・サキブ氏を首相特別補佐官(ブロックチェーン・仮想通貨担当)に任命しました。

地元メディアの報道によると、この任命によってサキブ氏は国務大臣に相当する地位となり、首相府の通知が発効した直後に職務を開始しました。

なお、サキブ氏は公職としての給与や政府からの特典を受け取らないことも明らかにされています。

シャリフ政権はデジタル技術による国家発展に注力しており、この人事も同国が仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーン技術の活用に本腰を入れる姿勢を示すものと見られています。

特別補佐官サキブ氏の経歴と国際的ネットワーク

サキブ氏はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)卒業の著名な起業家です。

社会課題への貢献が国際的に評価され、2023年には英国国王チャールズ3世から大英帝国勲章(MBE)を授与されました。

また、米経済誌フォーブスの「30アンダー30(30歳未満の重要人物)」にも選出されるなど、世界的な影響力も認められています。

現在サキブ氏が率いるパキスタン・クリプト・カウンシル(PCC)には、仮想通貨業界の著名な人物が参加しています。

特に最大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)元CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏が顧問として参画しており、グローバルネットワークを活用した助言を行っていることでも注目を集めました。

特別補佐官サキブ氏の国家戦略

規制整備と国家プロジェクトの推進

サキブ氏は首相特別補佐官として、金融活動作業部会(FATF)の基準に準拠した包括的な仮想通貨規制の枠組みを策定し、国家主導のビットコインマイニング(採掘)プロジェクトの立ち上げを進めていきます。

さらに、ブロックチェーン技術を活用した行政運営や土地登記、金融システムへの統合推進などの分野でも中心的な役割を担うことが報じられています。

投資家保護とWeb3エコシステムの推進

また、仮想通貨関連事業者(VASP)のライセンス付与や監督体制の強化にも取り組むほか、投資家保護やWeb3エコシステムの発展に向けた施策推進役としての役割も期待されています。

今年3月には連邦政府がサキブ氏を財務相付属の「クリプト評議会(Crypto Council)」のチーフアドバイザーに起用し、仮想通貨とブロックチェーン技術の健全な育成に向けた重要なステップと位置付けていました。

今回の特別補佐官任命は、こうした専門知見を政府全体で活かし、国家戦略としてさらに強化する狙いがあるとみられています。

パキスタン政府の仮想通貨分野での取り組み

パキスタン国内の仮想通貨利用状況と人材育成

パキスタンはChainalysis社の仮想通貨普及度指数(2023年)で、継続的に世界トップ10に位置するなど、国民の仮想通貨利用が盛んな国として知られています。

現在、約4,000万人の国民が仮想通貨を保有・利用しており、年間取引高は3,000億ドル(約42.6兆円)を超える推計されています。

また年間4万人のIT関連卒業生を輩出し、フリーランサー人材数も世界第4位を誇るなど、若く優秀なデジタル人材が豊富な国として知られています。

インフラ整備と新規制当局の設立

今回の人事は、パキスタン政府が仮想通貨分野で影響力を強化する一連の施策の中で実施されました。

任命発表の前日にはビットコインマイニングおよびAIデータセンター向けに2,000メガワットの余剰電力を優先的に割り当てると政府が発表しています。

さらに5月中旬には、ブロックチェーンを基盤とした金融インフラを監督する新たな規制当局「パキスタン・デジタル資産庁(PDAA)」の設立が財務省によって承認されました。

この機関は仮想通貨取引所、カストディアン(資産保管業者)、ウォレット、トークンプラットフォームなどのライセンス発行や規制監督を担います。

政府は、法整備とインフラ支援の両面から国内の仮想通貨エコシステムを育成する姿勢を鮮明にしています。

規制方針の転換と国家戦略への影響

規制面では、パキスタンの当局者らがFATFのルールに沿ったコンプライアンス重視の仮想通貨規制枠組みを策定中です。

その内容は従来の禁止方針から管理・規制を中心とした方針へと転換を図るものであり、国家安全保障とのバランスを意識したものになっています。

FIA(連邦捜査局)のスマラ・アザム局長はこの新政策を「パキスタンのデジタル金融政策における大転換」と評価しています。

米国プロジェクト「WLFI」との国際連携

国際的な連携も進んでおり、4月下旬にはドナルド・トランプ大統領一族が運営に関与する米国の仮想通貨プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」とPCCが基本合意書(LOI)を締結しました。

この提携により、WLFIが発行するステーブルコイン「USD1」がパキスタン国内で貿易や送金に利用される可能性も模索されています。

パキスタン政府はこうしたデジタル環境を国家戦略上の好機と捉え、今後も積極的に政策を推進していく方針です。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.20円)

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Source:地元メディア「Pakistan Observer」報道

サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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