Apple、X、Airbnb、Googleなどがステーブルコイン導入を検討=報道

Apple、X、Airbnb、Googleなどがステーブルコイン導入を検討=報道(Apple, X, Airbnb, and Google reportedly consider adopting stablecoins)
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米テック大手がステーブルコイン導入を検討か

2025年6月6日、Apple(アップル)やX(旧Twitter)、Airbnb、Google Cloud(グーグルクラウド)など4社の大手テック企業が、決済システムへのステーブルコイン導入に向け初期段階の協議を進めていることが米経済誌フォーチュンの報道で明らかになりました。

事情に詳しい関係者の話として、これらテック大手は取引手数料の削減や国際送金の効率化を目的にステーブルコインの活用を模索していると報じられています。

特に米国でステーブルコイン規制が明確化されつつあることが後押しとなり、各社はブロックチェーンを活用したデジタル通貨の導入に関心を強めているものとみられています。

ステーブルコイン導入巡るテック4社のスタンス

フォーチュンの報道によると、各社はそれぞれ異なる形でステーブルコイン導入を検討しています。

Apple・Xが送金手段にステーブルコインを検討

Appleは2025年1月から仮想通貨(暗号資産)企業との協議を開始し、自社の決済サービス「Apple Pay」にステーブルコインの導入を検討している伝えられています。

X(旧Twitter)については、イーロン・マスク氏が掲げる送金プラットフォーム構想「X Money」に関連して、決済大手Stripe(ストライプ)社とステーブルコイン決済機能の導入について協議中である報じられています。

Airbnbは導入否定、Google Cloudは既に実用化

一方、Airbnbについても2025年初頭から決済処理企業のWorldpayと協議し、クレジットカードの決済手数料を削減する目的でステーブルコイン導入を検討してきたと報じられています。

同社はVisaやMastercardに支払う手数料を減らすことが目的と見られますが、Airbnbの広報担当者はフォーチュンの記事掲載後に「そのような協議は行っていない」と否定するコメントも出しており、計画の真偽については不透明な状況です。

Google Cloudは他社より一歩進んだ姿勢を示しており、PayPal USD(PYUSD)などの既存ステーブルコインによる決済を実際に導入していることを明らかにしています。

Google Cloudのウェブ3担当責任者であるリッチ・ウィドマン氏はフォーチュンの取材に対し「ステーブルコインは国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済システム以来の大きな技術革新だ」と述べ、安全かつ24時間365日稼働する効率的な決済手段としてステーブルコインを評価しています。

Metaも含めたテック業界全体で関心が再燃

各社とも公式には詳細を明かしていないものの、水面下では仮想通貨企業との連携や技術検証が活発に進められていると伝えられています。

フォーチュン誌はまた、Meta社(旧Facebook)もクリエイターへの少額支払い管理手段としてステーブルコイン導入を検討中だと5月に報じられており、テック業界全体でデジタル通貨への関心が再燃していることを示唆しています。

ステーブルコイン導入戦略と法規制を巡る議論

国際送金で注目されるステーブルコイン

今回の報道と同時期に、ステーブルコインを取り巻く様々な関連動向も明らかになっています。

米配車サービス大手Uber社のダラ・コスロシャヒCEOは6月5日に開催されたテック業界イベントで「グローバル企業が国際的に資金を動かす上でステーブルコインは非常に有望だ」と述べ、海外送金コスト削減策として導入を積極的に検討していることを明かしました。

同CEOは、米ドルなどの法定通貨に価値を連動させたデジタル通貨であるステーブルコインを使えば、銀行間送金に伴う為替手数料など中間コストを削減し、ほぼ即時に決済を完了できる可能性があると指摘しています。

イーロン・マスク氏が率いるSpaceX社では、衛星通信事業Starlinkの国際利用料支払いにおいて、自国通貨からステーブルコインに変換して米ドルに再度交換する仕組みで、為替リスクを回避していることが2024年末に明らかになりました。

Circle社がIPO初日で168%高騰

このように安定したデジタル通貨による決済ニーズは多方面で高まってきており、ステーブルコイン発行会社の新規株式公開(IPO)にも追い風となっています。

6月にニューヨーク証券取引所へ上場したUSCコイン(USDC)の発行元であるCircle社(サークル)の株価は初日で一時168%高を記録し、時価総額は一時80億ドル(約1兆1,594億円)に達しました。

Circle社共同創業者のジェレミー・アレールCEOは取引開始後のインタビューで「ステーブルコインが将来的に重要な決済手段として定着することを、世界中の市場関係者が認識している」とコメントしており、市場からの期待の高さを示しています。

米議会「GENIUS法案」でテック企業の発行制限を検討

一方、米議会ではステーブルコイン規制法案「GENIUS法案」の審議が進められており、テック企業の仮想通貨業界参入を巡る議論が活発化しています。

同法案はステーブルコイン発行体に明確な規制枠組みを提供する内容ですが、現行案では大手テック企業による独自ステーブルコイン発行を容認しかねないとして一部議員が反発しています。

共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は「GENIUS法案によって巨大IT企業が通貨を発行すると顧客データの収集が加速する」と懸念を示し、法案に反対しています。

こうした指摘を受け、民主党議員らは法案に「大手テック企業によるステーブルコイン発行を禁止する条項」を追記する修正案を準備していると報じられています。

この修正案が可決されれば、米テック企業による独自ステーブルコイン発行が禁止されるため、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)など既存のステーブルコインを決済手段として採用する方向に限定される可能性があります。

世界に広がるステーブルコインの決済網

現在、世界のステーブルコイン市場は急速に拡大しており、その実需の高まりが各社の参入判断に影響を与えているとみられます。

実際、2024年のステーブルコイン決済総額は27兆6,000億ドル(約4,000兆円)に達し、同年のVisaとMastercardの合計決済額を上回ったとの市場調査が報告されています。

米シティグループは今年4月、今後規制の明確化が進めば2030年までにステーブルコインの時価総額が3.7兆ドル(約529兆円)に達する可能性を指摘しており、
今後数年間でステーブルコインがグローバル金融インフラの一部として定着するとの見方もあります。

Stripe社が2024年10月に実施した11億ドル(約1,594億円)規模の仮想通貨企業ブリッジ社の買収は、シリコンバレーが本格的にステーブルコイン技術に注目するきっかけとなりました。

現在ではVisa社やMastercard社も専門企業との提携を進めており、Visaはステーブルコイン連動型の決済カードを複数の国で展開する計画を今年発表しています。

金融大手とテック企業の提携が増加する中、各国の規制を注視しながら、テック業界がステーブルコインを新たな決済手段として本格採用する流れが今後一層強まっていくと見られています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.93円)

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Source:フォーチュン報道
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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