ビットコイン、2カ月ぶりに史上最高値を更新
2025年7月10日、ビットコイン(BTC)の価格が112,100ドルに達し、5月22日に記録した過去最高値(111,917ドル)を上回って史上最高値を更新しました。
日本円建てでは一時1,633万4,000円を記録し、過去最高値1,700万円に迫っています。
市場関係者は、米国での現物ビットコインETFへの継続的な資金流入や、年初から14%下落している米ドルの軟調が、ビットコイン価格の上昇を支える主な要因だと指摘しています。
ボリンジャー氏、ビットコイン上昇転換を示唆
ビットコイン史上最高値更新を後押しした要因
機関投資家の需要加速とETF資金流入
今回の史上最高値更新の背景には、機関投資家によるビットコイン需要の拡大があると指摘されています。
2025年以降、米国の現物ビットコインETFには継続的な資金流入が続いています。特に7月8日には、1日で7,530万ドル(約110億円)の純流入が記録され、1月以降の累計流入額は499億ドルに達しました。
同日には、世界最大の資産運用会社ブラックロックが運用する「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」も、過去最高値となる63.58ドルを記録しました。
これに伴い、IBITの運用資産額は約750億ドル(約11兆円)に達しています。また、現在の保有量は70万BTCを超えており、これは発行済みビットコインの約3.33%に相当します。
ETFへの資金流入に加え、アブダビの政府系ファンドがIBITへの出資を通じて保有比率を6%引き上げた事例などもあり、政府系および企業ファンドによるビットコイン投資が加速しています。こうした動きが、市場における「構造的な買い支え」につながっていると分析されています。
FRB利下げ観測が追い風に
また、マクロ経済環境の変化もビットコイン価格の上昇を後押しした要因と指摘されています。
トランプ大統領は7月9日、自身が運営するSNS「トゥルース・ソーシャル」で「米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利は少なくとも3ポイント(3%)高すぎる」と投稿し、大幅な利下げを要求しました。
この発言を受けて市場では流動性拡大への期待が高まり、投稿から30分以内にビットコイン価格は急騰して11万ドル付近まで到達しました。FRB利下げ観測を背景に「リスク資産への資金シフト」が進み、これが価格上昇の一因となったと考えられています。
ドル安・信用不安がBTC買いを後押し
加えて、通貨としての米ドルの相対的な弱さも、ビットコイン価格の上昇を後押しする要因とされています。
2025年に入り、米ドル指数(DXY)は14%以上下落しています。この「ドル安」を背景に、国家の信用に依存しない資産であるビットコインへの資金流入が加速すると分析されています。
5月に米格付け大手ムーディーズが米国債の格下げを発表した際には、株式・債券・米ドルが下落する中、ビットコインと金の価格は上昇する動きが見られました。
ビットコインは、インフレや政治リスクに対するヘッジ資産として金と同様の役割を担いつつあり、そのような認識の広がりも今回の価格上昇を支える要因の一つとされています。
テクニカルとファンダの好循環
ビットコインは約7週間にわたり10万5,000ドル〜11万500ドル付近のレンジで推移していましたが、直近で上値抵抗線を明確に突破しました。
一部のアナリストは「11万ドル台を日足で明確に上抜ければ、短期的な上昇トレンドの確認となる」と指摘しており、7月9日から10日にかけての値動きがこの条件を満たしたと分析しています。
市場では「ETFへの資金流入が続く限り、景気悪化やドル安が進行する局面では、ビットコインはさらに上昇しやすくなる」との見方も広がっています。こうした観測が、オプション市場にも強気の姿勢として反映されていると考えられています。
こうしたファンダメンタルズとテクニカルの双方で好材料が重なる中、ビットコインは新たな価格帯を模索する局面に突入したとみられています。
2030年末までに45万ドル到達を予測
ビットコイン、次の節目12万ドルも視野に
政策的な後押しと金融緩和観測の高まりにより、投資家のリスク選好姿勢が強まり、今回のビットコインの史上最高値更新につながったと分析されています。
今後も米国の金利動向や経済指標、特に7月の消費者物価指数の結果次第では、ビットコイン市場のボラティリティが高まる可能性があります。一方で、足元では「利下げ期待」がビットコインに追い風として作用している状況です。
市場では引き続き、米議会で審議中の暗号資産関連法案の進展やマクロ経済の動向に関心が集まっており、ビットコインが今後どの程度、安全資産および成長資産として支持されるかが焦点となっています。
この勢いを受けて、次の節目とされる120,000ドル台への到達も現実的な水準に入ってきたとの見方もあり、今後の市場の動きに対する注目も一段と高まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=145.92 円)
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Source:TradingView
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