Visa、新たに3種ステーブルコインと2チェーン決済対応
米決済大手Visa（ビザ）は2025年7月31日、ステーブルコイン決済インフラを大幅に拡充し、3種類のステーブルコインと2つの新たなブロックチェーンネットワークのサポートを追加することを発表しました。
Visaの発表によると、今回の対応拡大で追加されるステーブルコインは、PayPal発行のPayPal USD（PYUSD）、Paxos社発行のGlobal Dollar（USDG）、そしてCircle（サークル）社のEuro Coin（EURC）の3銘柄となっています。
また対応ブロックチェーンとして、アバランチ（AVAX）とステラルーメン（XLM）が新たに追加され、既存のイーサリアム（ETH）およびソラナ（SOL）と合わせて合計4チェーンに拡大しました。
Visaは「信頼性・拡張性・相互運用性が確保されたステーブルコインは、お金の動かし方を根本から変革し得る」と説明しており、グローバル規模で増大するステーブルコイン需要に応える姿勢が強調しています。
同社はこれまでにUSDコイン（USDC）などを活用したステーブルコイン決済の実証運用を進めており、今回の拡充はその取り組みをさらに発展させる一環と位置付けられています。
決済サービス「XMoney」提供でXと提携
Visaが推進するマルチチェーン決済の未来
PYUSD・USDG・EURCの3トークンを新たに統合
Visaの公式発表によると、今回の拡充はPaxos社との新たな提携および技術統合を通じて実現されたもので、これにより米ドル連動型の「PYUSD」と「USDG」がサポート対象に加わりました。
さらに、サークル社が発行するユーロ連動型ステーブルコイン「Euro Coin（EURC）」もVisaの決済ネットワークに正式に統合されました。これにより、Visaネットワークで扱える通貨の幅が大きく広がることになります。
アバランチとステラがVisaネットワーク入り
Visaはステーブルコインの取扱い拡大に伴い、Visaはブロックチェーン基盤の強化に着手しました。今回の対応では、新たに「アバランチ（Avalanche）」と「ステラルーメン（Stellar Lumens）」が対応チェーンとして加わっています。
既存のイーサリアムおよびソラナに加え、Visaのネットワーク上で複数のチェーンを通じてステーブルコイン決済を処理できる体制が構築されています。これにより決済手段としての柔軟性とスケーラビリティが大きく向上しています。
Visa幹部が語るマルチチェーン戦略の狙い
Visaの仮想通貨事業を統括するルベイル・ビルワドカー氏は、同社の決済基盤について「マルチコイン・マルチチェーンに対応する設計である」との見解を示しました。
さらに同氏は「信頼性と拡張性、相互運用性を備えたステーブルコインが普及すれば、世界中のお金の流れを根本的に変革しうる」と述べ、既存の金融インフラとの統合を積極的に進める姿勢を示しています。
国際送金がより迅速・低コストに進化
国際送金やクロスボーダー取引における処理時間の短縮や手数料の削減といった具体的な利点も示されています。
Visaは、ステーブルコイン決済を世界規模で展開するには「複数のブロックチェーンにまたがる相互運用性」や「ステーブルコインをそのまま受け入れられる柔軟な決済構造」が不可欠だと強調しました。
また、銀行・加盟店・開発者など、幅広いステークホルダーのニーズに応え、国際送金の摩擦を減らし速度を上げることも重要なポイントとされており、今回の拡充は、こうした方針に基づく取り組みの一環と位置づけられています。
こうした包括的なネットワーク対応により、ユーザーは保有するステーブルコインをより柔軟に活用できるようになり、加盟店側も高速かつ安全な代金受け取りを実現するインフラが整備されつつあります。
WLD報酬も貰える仮想通貨対応VISAカード
Visaが進める仮想通貨実用化
Visaは2025年に入り、ステーブルコインを含む仮想通貨領域における取り組みを本格的に加速させています。
中南米6カ国でステーブルコイン連動カード提供へ
4月には決済企業Bridge社との提携を通じて、ラテンアメリカ6か国でステーブルコイン連動デビットカードの発行を開始しました。
このカードでは、ユーザーが自身の仮想通貨ウォレットに保有するUSDCなどのステーブルコイン残高から直接支払いが可能で、世界中の1億5,000万を超えるVisa加盟店で日常利用が可能です。
決済時にはBridge社の仕組みによって、ステーブルコインが自動で現地の法定通貨に変換されます。そのため、加盟店側は通常のVisa決済と同様に自国通貨で受け取ることができ、新たな導入コストが不要となっています。
アフリカでの仮想通貨決済を加速
さらにVisaは、6月にアフリカの仮想通貨取引所Yellow Card社と提携し、中東・欧州・アフリカ地域（CEMEA）におけるステーブルコイン決済機能の拡大にも乗り出しました。
Visaはこの提携を通じて「2025年には資金を動かすすべての組織にステーブルコイン戦略が求められる」との認識を示し、送金手段の多様化や財務管理効率の向上に向けた取り組みを推進しています。
Visaによるステーブルコインの累計決済額は2億2,500万ドル（約340億円）を超えており、マキナニーCEOは「当社の総決済量と比較すると小規模だが、将来性を見越して投資を継続してきた」と述べています。
「X Money」でVisaが担う重要な役割
またVisaは、イーロン・マスク氏が展開する新決済サービス「X Money」においても初の提携パートナーとして採用されました。Visa Directを通じてウォレットへの即時送金が実現される予定です。
X Moneyでは今後、デビットカードと連携した個人間決済（P2P）機能の導入も予定されています。サービス開始は2025年後半とされており、今後の進展に注目が集まっています。
ステーブルコイン決済カードを発表
Visaが描くブロックチェーン決済戦略
ステーブルコイン規制「GENIUS法」の成立といった制度的な後押しを受け、Visaは複数企業と連携しながら仮想通貨決済の実用化を進めています。今回の拡充も、そうした流れの中で重要な転機を迎えたものと位置づけられています。
アバランチの開発元は公式X（旧Twitter）アカウントで「これはオンチェーン金融と従来の決済インフラを結ぶ重要な一歩です」とコメントを投稿しています。
なお、競合のMastercardも2025年4月にステーブルコイン対応を発表しており、大手決済企業による仮想通貨活用の動きが国際的な広がりを見せています。
※価格は執筆時点でのレート換算（1ドル=150.78 円）
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Source：Visa公式発表
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