この記事の要点
- 暗号資産の金商法移行を含む改正案が参院本会議で成立
- ETF解禁や申告分離課税20%への制度整備が本格化
暗号資産の金商法改正案が成立
2026年7月15日、仮想通貨(暗号資産)取引の規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す改正案が、参議院本会議で賛成多数により可決・成立しました。
金融庁の説明資料によると、改正法では暗号資産を有価証券とは異なる金融商品として金商法の規制対象に位置付け、インサイダー取引規制や発行時の情報公表義務を新たに導入するとしています。
これにより、暗号資産は決済手段に加え、投資商品としても金商法の規制対象となり、利用者は上場株式に近いルールのもとで取引することになります。
改正法は公布からおおむね1年以内に施行される予定で、2027年度中の運用開始が見込まれています。税制改正やETF(上場投資信託)の解禁に向けた制度整備も、この改正を前提に本格化する見通しです。
暗号資産の金商法改正
暗号資産の利用急拡大、保護制度を大幅見直し
口座1,411万件、相談は3か月で1,466件
今回の法改正の背景には暗号資産の利用拡大があり、金融庁によると、2026年3月末時点で登録業者は28社、口座開設数は1,411万7,282口座、利用者からの預託金残高は3兆1,492億円に達しています。
個人への普及も進んでおり、立憲民主党の高木真理議員は委員会で、業界団体の調査をもとに「保有者の約7割を年収400万円未満の層が占めている」と紹介しました。
こうした普及の一方で被害も深刻化しており、金融庁の井上企画市場局長は、2026年1月から3月までの3か月間に暗号資産関連の相談が1,466件寄せられ、その多くがSNSを利用した投資勧誘や海外の無登録業者による詐欺的な取引に関するものだったと説明しました。
罰金1,000万円へ大幅引き上げ、契約も無効に
こうした被害を受け、改正法では無登録業者への規制が大幅に強化されました。
説明資料によれば、無登録営業への罰則は、拘禁刑が3年から10年へ、罰金が300万円から1,000万円へとそれぞれ引き上げられます。
あわせて、証券取引等監視委員会による犯則調査の対象に無登録業者を追加し、悪質なケースでは裁判所が営業の差し止めを命じられる制度も新設されます。
暗号資産交換業者が取り扱っていない銘柄を無登録業者が販売した場合には、その契約を原則として無効とする規定も盛り込まれ、被害を受けた利用者が資金の返還を求めやすくなります。
DEX・ミームコインは規制の枠外に
一方で、今回の改正ではなお制度が十分に及ばない分野も残されています。委員会では国民民主党の原田議員が、ネット上の話題をきっかけに急速に売買が広がるミームコインによる被害を取り上げました。
ミームコインは海外の分散型取引所(DEX)で取引されるケースが多く、利用者自身がウォレットを接続して取引を行う仕組みであることから、現行制度では直接規制することが難しい実態も質疑で示されました。
片山さつき財務・金融担当相は、DEXについて「グローバルに規制の枠組みが確立されていない」と述べ、金融審議会の作業部会による提言を踏まえながら検討を続ける方針を示しました。
井上企画市場局長も、SNSでミームコインが話題になること自体は投資勧誘とは区別されるとの認識を示し、個別の行為が違法に当たるかどうかは実態に応じて判断したうえで、法案成立後にガイドラインで基準を明確化する考えを明らかにしました。
片山金融相、暗号資産ETF解禁に言及
改正法が成立、ETF解禁も視野
委員会では法案の可決にあわせて、与野党が共同提案した14項目の附帯決議も全会一致で採択されました。改正案は翌15日の参議院本会議で賛成多数により可決・成立しています。
法改正を前提とした制度整備も進み始めており、片山大臣は7月10日の講演で暗号資産ETFの解禁に意欲を示すとともに、利益への課税を一律20%とする申告分離課税への見直しにも言及しました。
今後は、ETF解禁や税制改正の具体的な制度設計に加えて、規制が届かないDEXやミームコインへの対応をどう詰めていくかにも、市場関係者の関心が集まっています。
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Source:参議院 / 参院財政金融委員会中継
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