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仮想通貨の将来は政府次第、現時点では「宝くじ」のような存在:元IMF経済学者


国際通貨基金(IMF)でチーフエコノミストを務めた経歴を持ち、現在ハーバード大学で教授を勤めているKenneth Rogoff(ケネス・ロゴフ)氏は、2018年12月10日にイギリスのメディア「Guardian」に投稿した記事の中で、仮想通貨の価値や各国政府の規制状況などについて自身の考えを語り、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やその他の暗号通貨は「宝くじ」のような存在だと例えています。

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ビットコインは「デジタル・ゴールド」ではない

ハーバード大学で教授を勤めているKenneth Rogoff(ケネス・ロゴフ)氏は、仮想通貨の価値がなくなるとは考えづらいものの、現時点でのビットコインやその他の仮想通貨は「将来的に価値が上がる”かもしれない”宝くじのような存在」だと述べています。

仮想通貨の支持者たちは、ビットコインの供給量が2,100万枚に制限されていることなどから「ビットコイン=デジタル・ゴールド」として表現しますが、ロゴフ氏はこの意見に賛同してはいません。この理由として同氏は、それぞれの”実用性の違い”について説明しています。

ロゴフ氏は、”金”はiPhoneや宇宙船などといった最先端技術の一部として幅広く採用されており、金融以外の分野においても多くの使用用途を備えていると説明しています。

同氏はその一方で”ビットコイン”にはそのような代替手段がないと説明しており、たとえ開発者たちが取引コストを驚異的に引き下げることができたとしても、分散型元帳システムの本質は中央銀行のような信頼できる中央管理者を持つシステムに比べると圧倒的に効率が悪いと指摘しています。

また同氏は、『匿名性を奪われた上でそのような技術を使いたいと思う人はいない』とも述べており、『匿名性を維持しようとする限り”先進的な経済システム”を持つ政府はそのような技術を容認しないだろう』と説明しています。

新たなお金は「規制」によって独占される

ロゴフ氏は、すでに複数の国では国家規模で仮想通貨を活用していく動きが見られているものの、それらの国はベネズエライラン、キューバ、ソマリア、北朝鮮といった大国とは呼べないような国であることを指摘しており、これらの国で仮想通貨が受け入れられているからといって仮想通貨の将来が有望であるという判断を下すことはできないという見解を示しています。

また同氏は、仮想通貨を単独で受け入れようとする試みは愚かなことであるとも述べており、昨年日本が行なった「資金決済法の改正」のような取り組みはその国を世界的なマネーロンダリング(資金洗浄)の中心地とする危険性があると指摘しています。ロゴフ氏は、先進国はマネーロンダリングや脱税を防止するための別の措置を取っているため、最終的には日本も他国からの要請によって仮想通貨規制の内容を調整する必要が出てくると考えています。

ロゴフ氏は、『すでに複数の国の規制当局は「脱税」や「犯罪行為」に利用される可能性のあるそれらの技術を”認めることができない”ということに気付き始めている』とも語っており、スウェーデン中国などの中央銀行は独自の仮想通貨を発行できることを理解していることなどから、“新しいお金”として革新を起こすのは民間ではあるものの、最終的には政府が規制を整えることによって独占されることになるだろうとの見解を示しています。

仮想通貨は「ディストピア(暗黒世界)」の宝くじ

ロゴフ氏は、仮想通貨が抱えている究極の障害は、違法ドラッグや武器だけでなく一般的な商品やサービスを購入できるようにならなければならないということだと述べています。

もし政府が仮想通貨を小売店や銀行で使用することを”違法”だと決定した場合、仮想通貨の価値は最終的に崩壊に向かう可能性があります。このようなことから同氏は、最終的に仮想通貨が「世の中に普及する通貨」となるか「違法取引に利用される通貨」となるかは全て政府の判断に委ねられていると述べています。

ロゴフ氏は仮想通貨の将来には多くの問題が待ち受けていることを指摘していますが、仮想通貨の価値がなくなるとは考えていません。同氏はこれらの問題が潜んでいることから現在の価格下落は驚くべきものではないと説明しつつ、『仮想通貨は不正なやり方で失敗した国や、市民がすでにプライバシーを忘れている国で使用されているため、そのようなディストピア(暗黒世界)の恩恵を受ける僅かな可能性がある』と述べています。

世界各国の政府が最終的に仮想通貨をどのように扱うかについての意見は分かれており、ビットコイン強気派として知られる仮想通貨投資家であるTim Draper(ティム・ドレイパー)氏は、以前から仮想通貨やブロックチェーン技術が政府の業務を含めた様々な業界のシステムを置き換える可能性があり、それと共にビットコインの時価総額もさらなる成長を遂げると予想しています。

各国政府の仮想通貨に対する考え方はここ数年で明確化してきているため、今後はこれらの基準が具体的にどのようなラインで落ち着くことになるかが重要な鍵になると考えられます。