トヨタ自動車(TOYOTA)とNTT(日本電信電話)は2020年3月24日に、互いに2,000億円規模の出資を行い最先端技術を活用した「スマートシティ」開発で連携していくことを発表しました。トヨタは数年前からブロックチェーン技術などを活用した自動運転車両などの開発に力を入れているため、スマートシティ開発事業でもこれらの技術が広く活用されていくことになると期待されます。
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TOYOTA×NTT「スマートシティ開発」に向け資本提携
トヨタ(TOYOTA)とNTT(日本電信電話)は2020年3月24日に、最先端技術を活用した次世代型の街づくり「スマートシティ」の構想を推進することを目指して互いに2,000億円規模の出資を行って株式を持ち合う資本提携を行うことを発表し、記者会見で両社のビジョンなどについて説明を行いました。
両社は今回の資本提携を通じて「トヨタが持つ自動運転などといった次世代カーの技術」と「NTTが持つ高い通信インフラの技術」を組み合わせることによって、5Gのさらに先をゆく通信規格「6G」の活用を視野に入れた新しい移動サービスの開発で幅広く協力し、スマートシティの構想を推進していくと説明されています。
スマートシティ開発に向けた取り組みはすでに世界中の様々な地域で進められていますが、今回の発表は「日本を代表する2社が業界を超えてスマートシティ開発で協力する」という点で大きな注目を集めています。
ブロックチェーン研究に力を入れる「TOYOTA」
スマートシティ関連のプロジェクトでは、高速なインターネット通信を可能にする「5G」の技術や、人工知能(AI)などを搭載した自動運転車両などが積極的に取り入れられており、これらの情報を管理するための基盤技術として「ブロックチェーン技術」も積極的に活用されていますが、トヨタは過去数年間でブロックチェーン技術の研究開発に力を入れていたため、今後のスマートシティ構築に向けたプロジェクトでもこれらの取り組みで培われた技術が広く役立てられていくと期待されます。
TOYOTAがこれまでに行ってきたブロックチェーン関連の取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。
「イーサリアム企業連合(EEA)」に参加
トヨタが人工知能などの研究開発を進めるために米国で立ち上げた「Toyota Research Institute(TRI)」は2017年5月に、ブロックチェーン技術を「自動運転車両開発・カーシェアリング・自動車保険」の分野に活用していくことを視野に入れて、イーサリアム(ETH)をより効率的に活用していける環境や基準を設定することなどを目的とした業界団体「イーサリアム企業連合(Enterprise Ethereum Alliance/EEA)」に参加したことを発表しています。
TRI「イーサリアム企業連合」に参加
ブロックチェーン活用に向け企業連携を加速
今月16日には「トヨタ自動車株式会社」と「トヨタファイナンシャルサービス株式会社」が2019年4月立ち上げたグループ横断型のバーチャル組織「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ(TOYOTA BLOCKCHAIN LAB)」がブロックチェーン技術の活用に向けて外部パートナー企業との連携を加速していくことを発表しており、同社と実証実験を行った複数の企業からも実証実験の結果報告が行われています。
ブロックチェーン活用に向け企業連携を加速
ソフトバンクとの共同出資会社「MONET」設立
この他にもTOYOTAは、ブロックチェーン関連のプロジェクトを複数立ち上げている「Softbank(ソフトバンク)」と協力して、モビリティサービスを手がける「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」なども立ち上げているため、今後は日本国内でこれら複数のプロジェクトが表面化していくことになると期待されます。
ソフトバンクとの共同出資会社「MONET」とは
未来都市「WovenCity」などの計画も
トヨタは静岡県裾野市に「WovenCity(ウーブンシティ)」と名付けられた新しい”未来都市”の建設に取り組んでいることも明らかにしており、現在はYouTube上でイメージビデオなども公開されています。
ブロックチェーン関連プロジェクトで「スマートシティ」を構築する計画は世界各国から複数報告されていますが、トヨタはブロックチェーン技術以外の様々な分野でも高い技術力を有しているため、同社のスマートシティ構想は特に注目すべきスマートシティ関連プロジェクトであると言えるでしょう。