米連邦準備制度理事会(FRB)のJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長は、2020年10月19日に開かれた国際決済関連の国際通貨基金(IMF)討論会に出席した際に中央銀行デジタル通貨(CBDC)について語り、『1番早く導入することよりも、正しく対処することの方が重要である』との考えを語り、CBDC発行がもたらす影響やリスクを慎重に見極めていく考えを示しました。
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リスク評価などの重要性を強調
中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究開発では現時点で”中国“が最先端を走っており、最近では合計1,000万元(約1億5,700万円)相当のデジタル人民元を一般市民に配布して実際に使用するテストを実施し、その95%が実際に使用されたことなども報告されています。
このような状況を受けて政府関係者などからは中国がCBDC開発をリードしていることを懸念する意見なども出ていましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)のJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長は、2020年10月19日に開かれた国際決済関連の国際通貨基金(IMF)討論会に出席した際に『1番早く発行することよりも、正しく対処することの方が重要である』との考えを語っています。
パウエル議長は『CBDCは決済システムをより速く、より安価に改善できる』として利点があることを認めているものの、その一方では米ドルが世界の基軸通貨となっていることなどを考慮して「サイバー攻撃の防御」なども含めた安全性・リスク・経済政策への影響なども慎重に見極めなければならないとの見解を示しています。
また同氏は、米国の現金需要が高いことや、すでに成熟した金融システムがあることなどを理由に『CBDCは従来の金融システムを置き換えるものではなく、補完するものになる』とも述べており、「民間企業と政府の協力が重要である」との考えなども語っています。
CBDCの研究については『ワシントンの本部だけでなく、ボストン連邦準備銀行もマサチューセッツ工科大学と協力して研究を進めている』と説明されています。
中央銀行デジタル通貨の研究開発は世界中の中央銀行で続々と進められてきており、先日はスペイン銀行がCBDCを”今後の優先研究課題”に盛り込んだことが報告されている他、日本銀行も2021年春頃に”概念実証の第1段階”を開始する計画であることを明かしています。
多くの中央銀行はCBDCの研究開発を進めながらも『現時点では正式に発行するとは決定していない』との立場を維持していますが、バハマ中央銀行は本日20日からCBDC「Sand Dollars(サンドドル)」を全国展開する予定であるとも報じられていたため、早い段階でCBDCを導入する国々の今後の成果や影響などにも注目が集まります。
(参照:IMF Live)