東京電力など3社「分散型データセンター」展開へ|仮想通貨マイニングにも活用可能

by BITTIMES   

東京電力パワーグリッド・アジャイルエナジーX・TRIPLE-1の3社は2022年12月14日に、再生可能エネルギーの余剰電力とTRIPLE-1の先端半導体をハイブリッドさせた「分散型データセンター」を日本各地に展開する計画を発表しました。この分散型データセンターは「仮想通貨マイニング・ゲノム解析・スマートシティ・5G通信・メタバース・自動運転・人工知能(AI)」などにも活用できると説明されています。

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「分散型データセンター」を日本各地に展開

東京電力パワーグリッドは2022年12月14日に、同社の100%子会社である「アジャイルエナジーX」や先端半導体の設計・開発を手がける「TRIPLE-1」と2022年11月11日付けで強固かつ発展的な戦略的パートナーシップを構築する覚書を締結したことを発表しました。

アジャイルエナジーXは今回の覚書に基づいて、再生可能エネルギーの余剰電力とTRIPLE-1の先端半導体をハイブリッドさせた「分散型データセンター」を日本各地に展開し、カーボンニュートラル社会の実現と電力系統混雑の緩和に貢献していくと説明されています。

近年世界的に注目を集めている「人工知能(AI)スマートシティ5G通信メタバース仮想通貨自動運転」などを実装する際には、膨大な量のデジタルデータを高速で処理する「分散コンピューティング」の技術が重要となりますが、「分散型データセンター」は大規模なデジタルデータを演算処理するためデータセンターを全国各地に多数設置して、それを連結させて同時並行で動かすことで、1つの巨大なコンピューター・システムとして機能させる先端テクノロジーとなっています。

自然災害が多発する日本では「分散型データセンター」の整備が求められており、データセンター自体の「省エネ化」も大きな課題とされているため、「東京電力の送配電ネットワーク」と「全国の再生可能エネルギーの余剰電力」と「TRIPLE-1 の省エネルギーの先端半導体」を掛け合わせた、未来型の分散型データセンターをアジャイルエナジーXが主体となって、全国各地に展開していく事業をスタートさせることになったと説明されています。

本事業の概要・各社の役割(画像:TRIPLE-1)

再生可能エネルギーの「余剰電力」を有効活用

今回の事業のポイントとしては、全国の再生可能エネルギーから生まれる「余剰電力」を有効活用して、アジャイルエナジーXが分散型データセンターを柔軟に稼働させていくことが挙げられています。

具体的な例としては「太陽光発電では天候がいい日に発電量が集中すると、電力供給量が需要を上回って電気を使い切ることができない」などの問題が発生していたため、需要以上に発電してしまった余剰電力を捨てたり、無理に電線に流して系統を混雑させるのではなく、データセンターなどの新しい需要を生み出すことで、余剰電力を"地産地消"で有効活用していくことを目的としていると説明されています。

同社は既にこのプロジェクトの実証事業として、首都圏にある東京電力パワーグリッドの事業所敷地内に1,300台の演算コンピューティング・システム(TRIPLE-1の「KAMIKAZE」を一部導入)を搭載したデータセンターを建設、1,500kW規模の大量の電力により設備を稼働させた際のシステム挙動や電力系統への影響について確認する実験を開始し、設備が正常に稼働できることを確認しているとのことです。

なお、今回の事業で用いる演算コンピューターは「TRIPLE-1」の最先端のプロセス技術を用いた電力性能の極めて高い半導体などを独占的に導入していくとのことで、『こうした環境負荷の低い省エネルギー型の製品を選択して導入していくことが、カーボンニュートラル社会の実現に向けた大切な取り組みと考えている』とも説明されています。

1,300台・1,500kW規模 分散型データセンター(画像:TRIPLE-1)

仮想通貨のマイニングなどにも活用可能

アジャイルエナジーXが日本各地に展開していく分散型データセンターは「仮想通貨のマイニング」や「ゲノム解析」などにも活用することができると説明されています。

具体的な活用例としては「人工知能(AI)・スマートシティ・5G通信・メタバース・仮想通貨・自動運転」などの次世代テクノロジーが挙げられており、「自動運転を実現するための膨大なデータの高速AI処理・メタバースでリアルな世界を再現して高度なグラフィックを動かすためのCGレンダリング」なども分散型データセンターで処理することができるとされています。

分散型コンピューティングが創る未来(画像:TRIPLE-1)

発電所の余剰電力を「仮想通貨マイニング」に活用する取り組みは既に複数の地域でも行われているため、今後はこのような仕組みを採用する事例も増えていくことになると予想されています。

分散コンピューティング技術は全世界で急速に拡大していくと予想されており、2028年の世界の市場規模は560億米ドル(約7.8兆円)以上になると言われていますが、今回の3社は『日本国内でも再生可能エネルギーを利用した分散コンピューティングにより、自治体のカーボンニュートラル(脱炭素)促進や、再生可能エネルギー事業者の収益増大のサポート、エネルギーの地産地消促進や地域経済活性化につながると考えている』と説明しています。

アジャイルエナジーXはTRIPLE-1からの先端半導体を含む資材調達を強みに「2030年までに全国で10万kW規模の分散型データセンターの整備」を目指して事業を進めていくとのことです。

>>「東京電力パワーグリッドなど3社の公式発表」はこちら

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