米国民の仮想通貨保有率が21%に到達、送金や買い物などの日常利用が浸透|NCAレポート

米国民の仮想通貨保有率が21%に到達、送金や買い物などの日常利用が浸透|NCAレポート(21% of Americans now hold cryptocurrency, showing increasing use in daily transactions – NCA Report)

この記事の要点

  • 米国成人の21%が仮想通貨を保有、約5,500万人に到達
  • 年齢・性別・職業を問わず幅広い層に仮想通貨が浸透
  • 39%が買い物に利用、送金など日常用途が拡大中
  • 76%が仮想通貨に対して肯定的な影響を実感
目次

米国民の5人に1人が仮想通貨を保有

全米仮想通貨協会(NCA)が発表した最新レポート「2025 State of Crypto Holders Report」によると、アメリカの成人の約21%にあたる約5,500万人が仮想通貨を保有していることが明らかになりました。

NCAは市場調査会社ハリス(The Harris Poll)に委託して2025年1~2月にかけて合計約5万4,000人を調査し、その中から1万人の仮想通貨保有者の回答を分析しています。

これは米国の仮想通貨保有者を対象とした史上最大規模の調査で、仮想通貨が投機目的の一部愛好家から一般消費者まで幅広く普及している実態が示されています。

米国で進む仮想通貨の大衆化

年齢・職業・収入層すべてで幅広い普及

NCAレポートの画像(画像:NCAレポート資料)

回答者の年齢分布を見ると、全体の67%が45歳未満と若年層が中心となる一方で、55歳超の保有者も15%存在しました。

男女比では男性が約67%、女性が約31%となっており、従来「仮想通貨=男性中心」というイメージは薄れつつあります。

職業面でも偏りは小さく、例えば金融業よりも建設業に従事する保有者の割合が高い(金融7%に対し建設12%)とのデータも報告されています。

収入水準についても、高所得層だけでなく幅広い層に浸透しています。仮想通貨を保有する世帯のうち約42%は年収15万ドル(約2,150万円)超ですが、26%は年収7万5,000ドル(約1,070万円)未満であることが明らかにされています。

日常の買い物・送金での実用化が進展

NCAレポートの画像(画像:NCAレポート資料)

保有目的や利用シーンに関する調査結果からは、投資以外の実用面で仮想通貨を活用する人が増えていることが示されています。

仮想通貨保有者の39%が実際に仮想通貨を使って買い物など代金支払いをした経験があり、31%は家族や親族への送金手段として仮想通貨を利用したと回答しています。

支払いに仮想通貨を用いる頻度は様々ですが、その利用者のほぼ全員(96%)が年に1回以上仮想通貨決済を行っており、約9%は日常的に毎日仮想通貨を使って支払いをしていると報告されています。

仮想通貨への関心の高まりと規制への意識

NCAレポートの画像(画像:NCAレポート資料)

また、仮想通貨の日常利用への関心も高まっており、多くの回答者がブロックチェーン技術や決済活用について積極的に学習したいと回答しています。

こうした普及拡大に伴い、仮想通貨保有者の意識にも変化が見られます。

NCAの報告によると、現在仮想通貨を保有している人の76%が「仮想通貨によって自分の生活が良い方向に変わった」と回答しており、金融面だけでなく教育・娯楽など様々な面でポジティブな効果を実感しています。

また、仮想通貨に対する信頼感も比較的高く、従来の銀行など伝統的金融機関と同等かそれ以上に仮想通貨を信頼していると答えた人が全体の76%に上りました。

規制に関しては、約64%が政府による何らかのルール整備に前向きな姿勢を示す一方、67%は過度な規制がイノベーションを阻害する可能性を懸念しています。

さらに回答者の73%は、米国が仮想通貨分野で世界のリーダーとなることを望んでいることが示されています。

NCAのスチュアート・アルデロティ会長は今回の結果について次のように述べています。

今回の調査で、何百万人もの人々が実際に仮想通貨を活用していることが分かりました。

ユーザーが日常生活で仮想通貨をどのように活用しているかを深く理解することで、利用者だけでなく、関心を持つ人々や慎重な立場の人々も含めて、最適なサポートを提供できると確信しています。

人々はあらゆる背景から仮想通貨に関わっており、将来への期待とともに、すでに日常生活でその恩恵を受け始めています。

仮想通貨の実用化が米国社会に浸透

米企業の6割がブロックチェーンを導入

米大手取引所Coinbase(コインベース)は6月10日、フォーチュン500(米国上位500社)を対象にした調査結果を発表しました。

同レポートによると、対象企業の約60%が自社のプロジェクトにすでにブロックチェーン技術を導入していることが報告されています。これにより、米国企業における仮想通貨やブロックチェーンの活用が急速に進んでいる実態が明らかになりました。

また、米国の経営幹部の約90%は「米国内で明確な規制ルールを整備することがイノベーションの推進に不可欠である」との考えを示しました。

小売・飲食業界で進むポイント還元とビットコイン決済

一方、金融サービスや小売業界においても仮想通貨を取り巻く環境整備が進んでいます。

Coinbase社は6月12日、米国在住ユーザー向けの新たなクレジットカード「Coinbase Oneカード」を発行すると発表しました。

このカードは大手カード会社アメリカン・エキスプレス(Amex)との提携によるもので、利用額に応じて最大4%分がビットコイン(BTC)でキャッシュバックされる仕組みを備えています。

また米老舗ファストフードチェーンのステーキ&シェイク(Steak ’n Shake)は、2025年5月16日から全米約400店舗でビットコイン決済を受け付けると発表しました。

100年近い歴史を持つ大手飲食チェーンが全店舗規模で仮想通貨決済に踏み切るのは極めて異例であり、市場関係者の間では「仮想通貨決済が一気に拡大する重要な転換点」として注目されています。

ステーキ&シェイク社は公式声明で「このムーブメント(潮流)は始まったばかりだ」と強調しており、同社の決断を皮切りに他の小売業者にも仮想通貨決済が広がる可能性に期待が寄せられています。

NCAが示す仮想通貨規制と普及の課題

今後、米国における仮想通貨利用は個人の資産形成や送金手段にとどまらず、企業経済や日常商取引のインフラとして一層定着していくと予想されます。

しかし同時に、ユーザー保護と技術革新のバランスを取った適切な規制枠組みの構築が課題となっており、業界団体であるNCAや有識者らは政策当局に対しエビデンスに基づく議論を呼びかけています。

今回明らかになった21%という保有率は、仮想通貨が米国社会で一定の地位を占めつつあることを示す一方、持続的な成長には安全性と信頼の確保が今後の重要な課題となっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.14 円)

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Source:NCAレポート
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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