この記事の要点
- 米財務長官ベッセント氏が2026年4月22日に上院で証言
- 仮想通貨市場構造法「CLARITY法案」の早期成立を要求
- 規制空白で開発の国外流出が続くと議会に警告
- ドル基軸通貨維持に向けた政策対応として重要性にも言及
ベッセント氏、CLARITY法案の早期成立要求
2026年4月22日、米財務長官のスコット・ベッセント氏は米上院歳出小委員会の証言で、仮想通貨市場構造法案「CLARITY法案(クラリティ法案)」の早期成立がドルの基軸通貨としての地位を守るために不可欠であるとして、議会に可決を求めました。
ベッセント氏は「米国は世界の技術リーダーであり、決済分野でもリーダーであるべきだ」と述べ、ブロックチェーンを次世代の決済インフラと位置づけたうえで、明確な規制整備の必要性を強調しています。
また、2025年7月に成立したステーブルコイン規制法「GENIUS法」に続き、市場構造法でも超党派での合意形成を急ぐべきだとの認識を示しました。
規制が進めば、米国の仮想通貨事業者は自社が扱うトークンや取引サービスがどの規制当局の管轄に属するかを法的に判断できるようになります。
投資家にとっても、国内取引所の運営基準や本人確認・マネーロンダリング対策の要件が初めて全国共通のルールとして整い、グレーゾーンを前提にした投資判断を見直しやすくなる見通しです。
「CLARITY法案の即可決を」
下院可決後も上院で進まぬ仮想通貨市場構造法
下院通過後も上院銀行委は動かず
CLARITY法案は2025年7月に米下院を賛成294票・反対134票で可決し、同年9月に上院銀行委員会へ送付されました。
しかし上院銀行委員会は住宅関連法案を優先したため審議を先送りしており、マークアップ(修正審議)の日程は現時点でも明らかにしていません。直近では4月最終週以降に延期される見通しが報じられており、5月にずれ込む可能性も指摘されています。
一方で、上院農業委員会は2026年1月、CFTC(米商品先物取引委員会)の権限をデジタル商品スポット市場まで拡大する「デジタル商品仲介者法」を12対11の党線に沿った賛成で可決しています。下院・上院の2法案を最終的に一本化する必要があり、大統領署名に至るまでには複数の手続きが残されています。
また、超党派合意の形成も難航しています。上院農業委員会では委員長のジョン・ブーズマン議員と民主党筆頭のコリー・ブッカー議員による協議が数カ月に及びましたが、合意には至らず採決は党線通りとなりました。
ベッセント氏「企業が国外流出」議会に警告
こうした立法の停滞を受け危機感を強めるベッセント氏は、4月8日付のウォール・ストリート・ジャーナル寄稿で、規制の不透明さがアブダビやシンガポールなどルールが明確な国へ仮想通貨開発を押し出していると警告しており、今回の証言はその延長線上に位置づけられます。
同氏は寄稿で「米国に拠点を置くメリットがリスクを上回ることはほとんどなかった」と指摘し、規制の不在そのものが事業者の国外流出を招いているとの見方を示しました。
寄稿で示した問題意識を踏まえ、ベッセント氏は本来仮想通貨立法の場ではない上院歳出小委員会でもCLARITY法案の成立を訴えました。
同小委員会はトランプ政権の2027年度財務省予算要求を審査する場であり、財務長官自ら異なる場で立法を促した事実は、行政側が議会への働きかけを強めていることを示しています。
同氏は証言の中で、CFTCの人員体制と予算が整備されれば未解決の論点は解消できるとの見通しも示しており、法案一本化に向けた交渉再開を後押しする姿勢を明確にしました。
法案成立で事業者と投資家の不透明感縮小
行政側が成立を急ぐ背景には、法案成立で事業者と投資家が得る具体的なメリットがあります。
法案が成立すれば、仮想通貨事業者は自社が提供するトークンや取引サービスがSEC(米証券取引委員会)とCFTCのどちらの管轄に属するかを明確に判断できるようになります。これにより、グレーゾーンを前提に設計せざるを得なかった事業モデルの組み替えが進む見通しです。
ベッセント氏はさらに、規制の枠内に入ることでマネーロンダリング対策(AML)と本人確認(KYC)の要件が仮想通貨取引にも明示的に適用されると説明しました。
事業者と並んで、投資家にとっても国内でどの基準のもとで仮想通貨を取引・保有できるかが法律上確定し、特にスポット市場やデリバティブ商品の利用可否の判断がしやすくなるとみられています。
マークアップ「5月延期」観測
EU・アジア先行、米国の規制空白が課題
米国の制度整備の行方が注目される一方、各国ではすでに仮想通貨規制の整備が加速しています。
アブダビやシンガポールに続いてEUも包括的なMiCA規制を施行済みで、米国が立法を先送りし続けるほど、制度的優位を確立した他国との差は広がっています。
ベッセント氏はGENIUS法成立後も立法圧力を維持しており、トランプ政権の仮想通貨政策は規制整備を「ドル覇権強化の手段」と位置づける一貫した軸のもとで展開されています。
米政権は4月9日にも、ベッセント氏とSECポール・アトキンス委員長、CFTCマイケル・セリグ委員長の3者でCLARITY法案の早期可決を一斉に要請しています。
上院銀行委員会のマークアップと、下院・上院法案の一本化交渉の行方が、米国の仮想通貨規制の進展を決定づける局面に入っています。
米国規制関連の注目記事はこちら
Source:公聴会
サムネイル:AIによる生成画像


























