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Paxos「カナダ市場からの撤退」を発表|理由は仮想通貨規制の強化?

ステーブルコインを発行していることで知られる米国のフィンテック企業「Paxos(パクソス)」は、2023年4月12日にカナダ市場から撤退することを発表しました。

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ユーザーに期日までの資産出金を求める

USDP・PAXGなどのステーブルコインを発行していることで知られる米国のフィンテック企業「Paxos(パクソス)」は2023年4月12日に、カナダ市場から撤退することを発表しました。

対象ユーザーが保有する資産はアカウント上で安全に保管されており、残高にも反映されているとのことですが、2023年6月2日以降はPaxosアカウントからの取引ができなくなるとのことで、『できるだけ早くアカウントから全ての残高を引き出すように』と注意喚起も行われています。

仮想通貨の残高は対象期間中に「外部ウォレット」や「別の取引所アカウント」などに送金することが可能で、法定通貨の残高は「自分名義のitBitアカウントにリンクされた銀行口座」に送金することが可能となっています。

2023年6月2日以降も資産を引き出すことはできるものの、6月2日以降はアカウントが無効になるため、資産残高を引き出すためには追加の作業が必要になるとされています。なお、既に資産を保有していないPaxosアカウントは2023年5月9日に自動的に閉鎖されるとも説明されています。

カナダ市場撤退の理由は?

Paxosはカナダ市場から撤退する理由については説明していないものの、カナダ政府は暗号資産プラットフォームに対する規制を強化しているため、Paxosのカナダ市場撤退は同国の仮想通貨規制強化に関連していると見られています。

カナダ証券管理局(CSA)は2023年2月22日に「カナダで事業を展開している暗号資産取引所に求められる投資家保護の強化」について説明する通知書を公開しており、「カナダで事業を展開する仮想通貨プラットフォームに登録が必要なこと」や「顧客資産の分別管理・証拠金取引やレバレッジ取引の提供禁止などのルールを守る必要があること」を説明していました。

また、オンタリオ州証券委員会(OSC)はステーブルコインを「価値参照型暗号資産(VRCA)」と表現した上で、ステーブルコインや独自トークンの販売に事前承認が必要となることを説明していたため、このような一連の規制を踏まえて”カナダ市場からの撤退”が決定されたと考えられます。

ただしPaxosは今回の発表の中で、”カナダ居住者の受け入れ再開時期”について『オンタリオ州証券委員会と協力して、カナダ市場に再参入する準備が整っているかどうかについて評価し続ける』とも説明しているため、将来的には再びカナダのユーザー向けにサービスが提供される可能性もあると予想されます。

なお、CSAが公開した詳細資料の中では、アルゴリズムを用いて価格安定を図っている「アルゴリズム型ステーブルコイン」を認めない方針も示されており、『適切な準備金で完全に担保されているわけではなく、アルゴリズムによって価値を維持しているVRCAに関しては、承認しないことを想定している』と説明されています。

Coinbase」や「Gemini」などといった一部の暗号資産取引所は、規制強化後もカナダで活動を継続する方針を示していますが、「OKX・dYdX・Paxos」などはカナダからの撤退を決定しています。

Paxos公式発表