「金とビットコインが新たな準備資産に」米国債と株式の時代は終焉へ|アーサー・ヘイズ氏

by BITTIMES

ヘイズ氏「金・ビットコインが世界の準備資産に」

仮想通貨取引所BitMEX(ビットメックス)の創設者であるアーサー・ヘイズ氏は2025年4月5日に、自身のX(Twitter)で「米国債や米国株の時代は終わり、今後は金(ゴールド)とビットコイン(BTC)が世界の準備資産となる」との見解を示しました​。

ヘイズ氏は投稿の中で、1971年にニクソン大統領が金本位制を終了して以降、世界経済の成長に必要なドルを供給するため米国債残高が85倍に膨れ上がったと指摘しています​。

こうした「ドル本位」の繁栄は、一部の米国人に富をもたらした一方で、多くの人々を取り残しました。このような現状への不満が、トランプ大統領への支持の背景になったと分析しています。

同氏は、もし米国が経常赤字を解消すれば「外国はドル不足で米国債や株式を買えなくなる。各国が自国経済を立て直すために米国債・株式を売却し、従来の世界金融秩序は変容するだろう」と述べ、米国債に依存した体制の終焉を予見しました​。

その上で「中立的な準備資産としての金の復権」が起きるとし、基軸通貨は引き続きドルであっても各国は貿易決済のため金を保有するようになるとの考えを示しています​。

ビットコインについても「1971年以前の貿易体制に適応するために、金や金鉱株、そしてBTCを買うべきだ」と言及し、今後の世界秩序で勝者となる資産に金とビットコインを挙げました​。

各国の中銀がビットコインと金を準備資産に?

世界各国の中央銀行は、国際情勢の変化に備えて準備資産の構成を見直しています。特に顕著なのが「金(ゴールド)」の積極的な買い増しです。

世界黄金評議会(WGC)の報告によると、中央銀行による金の購入量は近年異例の水準に達しており、2024年には世界全体で1,000トン以上の金を3年連続で買い増ししました​。これは統計開始以来最大級のペースで、各国中銀が外貨準備の一部を金に振り向けていることを示唆しています。

「価格に敏感な民間投資家と異なり、中央銀行は準備資産構成の見直しとして金を買い増す傾向がある」との指摘もあり​、多少割高でも安全資産である金を保有する戦略が取られているようです。

中国人民銀行(PBoC)は2023年末から2024年にかけて4カ月連続で金準備を積み増し、他の新興国も追随しました​。また、ロシアやトルコをはじめ一部の国は外貨準備に占める金の割合を大幅に引き上げ、米ドル資産への依存低下を図っています。

こうした「金回帰」の動きは、各国が米ドルや米国債だけに頼らない「分散型の準備資産体制」を模索していることの表れと見られています。

一方、ビットコインを中央銀行が保有する動きはまだ本格化していないものの、アメリカをはじめとする一部の国が仮想通貨を国家の準備資産に取り入れ始めています。

米ドル覇権は崩壊?変化する世界経済

ヘイズ氏の発言の背景には、世界経済における米ドルの覇権が揺らぎ始めているという現状があると見られています。

近年、ブラジルや東南アジア諸国など複数の新興国を中心に「ドル離れ」を公言し自国通貨や地域通貨での貿易決済を進める動きが活発化しています。

米国の金融制裁リスクや地政学的不安もあり"脱ドル化"の潮流は加速しています。実際に各国中央銀行や政府系ファンドは米国債への依存を徐々に低減させつつあります。

米財務省のデータによれば、2024年末には外国による米国債保有残高が減少傾向を示し、最大の米国債保有国である日本は保有額を1.087兆ドル(約159.1兆円)から1.060兆ドル(約155.1兆円)へ、中国も7,686億ドル(約112.5兆円)から7,590億ドル(約111.8兆円)へとそれぞれ削減しました​。

各国が米国資産の比重を下げる動きは以前から見られており、フィンテック企業「Unlimited」のボブ・エリオットCEOは「各国が米国債の保有を減らし始めているため、米国経済や株式市場への悪影響が懸念される」と指摘しています。

ヘイズ氏が指摘するように、米国が巨額の経常赤字を垂れ流して世界にドルを供給する構図が変化すれば、各国は自国優先で動かざるを得なくなります​。

トランプ大統領が掲げる貿易赤字削減や高関税政策は、まさにその転換点となり得るものであり「各国がドルを積極的に蓄積しない時代」が現実味を帯びています。

ドル体制の終焉で金・BTCの時代へ

世界の準備資産構造は米国債・株式中心のドル体制から「金とビットコイン」という新たな二本柱へと移行しつつある兆候が見られます。

ヘイズ氏の発言は従来体制の終焉と新秩序の到来を示唆していますが、最近の各国の動きにもそれを裏付ける兆候が見られます。ドルそのものがすぐに基軸通貨から転落するわけではなく、ヘイズ氏も「ドルは引き続き基軸通貨だが各国は金を持つようになる」と述べています​。

ドル建ての国際決済は当面続くものと見られていますが、各国が裏付け資産として金やビットコインを重視する時代が到来しつつあるのかもしれません。

ヘイズ氏の予見する「プレ・1971年」的な世界では、金とデジタルゴールドとしてのビットコインが安定した価値の基準となり、各国がこれらを競って保有していくことになると予想されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.36円)

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Source:アーサー・ヘイズ氏X投稿
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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