米SEC、仮想通貨ETPで現物による受益証券の発行・償還を正式承認|投資家に新たな選択肢

米SEC、仮想通貨ETPで現物による受益証券の発行・償還を正式承認(U.S. SEC officially approves in-kind creation and redemption of crypto ETPs)
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ビットコイン・イーサリアムETFで現物償還が可能に

米国証券取引委員会(SEC)は2025年7月29日、仮想通貨ETP(上場投資商品)において、現物による受益証券の発行・償還(インカインド方式)を正式に承認したことを発表しました。

今回の決定は、従来ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)の現物ETFに義務付けられていた「現金償還方式」を見直すもので、仮想通貨ETPが他のコモディティETFと同等の制度的扱いへと近づく重要な転換点と見なされています。

SECがインカインド方式での発行・償還を認可したことで、ETF運用会社は現金を介さずに、仮想通貨を直接利用して受益証券を発行・償還できるようになりました。

市場関係者は、現物資産の直接受け渡しが可能になることで手続きの簡素化やコスト削減につながると指摘しており、この変更は2024年に初のビットコイン現物ETFが米国で承認されて以来、運用会社が待ち望んできた措置でもあります。

SECのポール・アトキンス委員長は「仮想通貨市場に適した規制枠組みの整備が最優先事項だ」と述べたうえで、今回の承認により「投資家にとってコストが下がり、より効率的な運用が可能になる」との見解を示しました。

同委員長は、新たな規制枠組みの下で仮想通貨ETPを合理的に監督する方針を打ち出しており、今回の決定はその方針に基づく最初の具体的な施策となっています。

インカインド承認で変わる仮想通貨ETF運用と市場構造

インカインド方式とは何か?

インカインド方式とは、ETFの認定仲介業者が運用会社に対して仮想通貨を現物で直接受け渡し、その対価として受益証券の発行や償還を行う仕組みです。

従来の現物ETFでは現金での取引が原則でしたが、今回の承認により、ビットコインやイーサリアムを現物でETFに提供し、その対価として受益権を取得することが可能になります。

インカインド方式承認による具体的なメリット

インカインド方式が認められたことで、認定仲介業者は仮想通貨を直接ETFに提供できるようになり、従来の換金プロセスを省略できるようになりました。

これにより運用コストが削減され、発行や償還の手続きが迅速化されるため、投資家の利便性とETFの運用効率が大きく向上すると期待されています。

また、価格乖離が縮小することで、ETFがより正確に仮想通貨の市場価格を反映するようになり、結果として市場の健全性や透明性の向上にも寄与する見通しです。

SEC関係者が強調する制度改正の効果

SEC取引・市場部門ディレクターのジェイミー・セルウェイ氏は公式声明で「インカインド方式による創造・償還は、ETF発行体および投資家にとって柔軟性とコスト削減の両面で有利に働く」との見解を示しました。

また同氏は「この変更により市場がより効率的になる」との見解も示しており、仮想通貨ETPの発展に資する制度変更だとしています。

仮想通貨ETFの信頼性と拡張性を高める一歩

今回の承認は、仮想通貨ETFをコモディティETFと同等に取り扱うための制度改革における第一歩と位置づけられています。

こうした制度整備により、仮想通貨ETFは短期売買の対象にとどまらず、長期的に保有される資産としての信頼性も高まりつつあります。

今後は、ソラナ(SOL)エックスアールピー(XRP)などの主要アルトコインにもインカインド方式が導入される可能性があり、仮想通貨ETF市場の拡大をさらに後押しすると期待されています。

ビットコインETPの運用柔軟性が拡大へ

SECは今回の決定と併せて、仮想通貨ETP市場のさらなる拡大を目的とした複数の措置も承認しました。その一環として、ビットコインとイーサリアムを組み合わせた現物ETFの上場申請も認可されています。

さらに、一部のビットコインETPを対象とした通常オプションやFLEXオプションの取引も新たに認められ、オプション建玉上限は25万枚に引き上げられました。

これらの措置により、運用者や投資家は戦略的な商品設計や柔軟なリスク管理を実現しやすくなり、市場の流動性も今後さらに高まっていくとみられています。

SECの新たな方針とアルトコインETF承認の展望

主要アルトコインETFの枠組みを整備

アルトコインを対象とした現物ETFについても、2025年7月30日時点でいくつかの重要な進展が確認されています。SECは7月1日、仮想通貨ETPの開示要件に関する初のガイダンスを公表しました。

ソラナやXRPなど主要アルトコインのETF承認に向けた枠組み作りに着手しており、これは共和党主導の新体制による方針転換と位置付けられています。

SECは、バイデン前政権下での強硬姿勢を見直し、法執行中心の姿勢から規制整備重視へと方針を転換しつつあります。こうした政策変更を背景に、市場ではアルトコインETFの早期承認に対する期待が一段と高まっています。

アルトコインETP承認に向けた意見募集を実施

さらにSECは、時価総額の大きいアルトコインを対象とする2種類の現物ETP上場に向け、パブリックコメントを募るための審査日程を正式に発表しました。

この動きは、ビットコインやイーサリアム以外のアルトコインを対象としたETFの商品化に向けて、SECが本格的な検討段階へ移行したことをを示しています。

SECは、提案に対して広く市場から賛否を募る方針を示しており、その意見を今後の判断材料として反映させる構えです。

承認目前のアルトコインETFに注目集まる

アルトコインETFの承認を巡っては、市場関係者の間で楽観的な見通しが強まっています。ブルームバーグのETFアナリスト、ジェームズ・セイファート氏とエリック・バルチュナス氏は、年内に承認される確率を90%以上まで引き上げました。

対象として挙げられているのは、XRP、ドージコイン(DOGE)カルダノ(ADA)などのアルトコインETFであり、両氏は「承認されるか否かではなく、いつ承認されるかが焦点だ」と述べています。

すでに業界では、主要アルトコインETFの登場を市場が織り込みつつあるとの見方が広がっており、2025年後半には複数のETFが一斉に上場する展開も視野に入ってきています。

こうした期待感の広がりを受けて、仮想通貨市場全体の拡大と成熟が一段と進むとの見通しが強まっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.34 円)

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Source:SEC公式声明
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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