この記事の要点
- CME・ICEがCFTCにハイパーリキッド規制を要請
- HPCは反論、米CFTCの政策判断に関心集中
まずはハイパーリキッド(Hyperliquid)を詳しく
CME・ICE、CFTCにハイパーリキッド規制要請
2026年5月15日、米CMEグループとインターコンチネンタル取引所(ICE)が、分散型デリバティブ取引所のハイパーリキッド(Hyperliquid/HYPE)に対しCFTC(米商品先物取引委員会)への登録を求めて働きかけていることが明らかになりました。
ブルームバーグの報道によれば、両社は、ハイパーリキッドの匿名取引モデルが石油など商品市場のベンチマーク価格を歪める可能性があるとして、KYC(顧客本人確認)プログラムと取引監視体制の導入を求めています。
これに対し、ジェイク・チェルヴィンスキー氏が率いるハイパーリキッド・ポリシーセンター(HPC)は、批判は「根拠がない」とXで反論しました。
CME・ICE側の規制要求とHPCの反論は大きく対立しており、オンチェーン取引所を既存規制の枠組みにどう位置づけるかが、CFTCの重要論点として浮上しています。
玉木代表「ハイパーリキッド」言及
ベンチマーク懸念vs透明性、両者の主張が対立
1.1兆円超に膨らむ石油先物、CME・ICEが警戒
CME・ICEの両社が規制強化を求める背景には、ハイパーリキッドが石油先物など伝統的なデリバティブ市場へ急速に展開を広げている状況があります。
2025年10月の「HIP-3」アップグレードで24時間稼働の石油先物を導入して以降、ハイパーリキッド関連契約の累計取引量は、2月末の約3億3,900万ドル(約540億円)から3月12日には73億ドル(約1.1兆円)超へと急増しています。
ICEのトラビュー・ブランド氏はブルームバーグの取材で「ベンチマークの信頼性が問題だ」と述べ、ハイパーリキッドの石油先物が世界の商品指標価格に影響を与える可能性に懸念を示しました。
さらに両社は、匿名取引によって内部情報を持つ参加者や国家関連主体による価格操作が行われる可能性があり、米国の制裁回避にも悪用されかねないと主張しています。
一方で米CMEグループ自身も、6月1日にビットコイン(BTC)のボラティリティ先物、6月8日にはBTC・イーサリアム(ETH)・エックスアールピー(XRP)などを対象とする仮想通貨インデックス先物の上場を予定しています。
ハイパーリキッドと同領域への展開を進めていることから、今回の規制要請には競合排除の側面もあるとの見方が出ています。
「匿名性は操作の温床ではない」HPC反論
HPCはブルームバーグの報道を受け「すべての取引履歴がリアルタイムでオンチェーン上に公開されるため、従来型取引所より高い透明性を持つ」と反論しました。
同社は、この公開記録の仕組みによって、規制当局や法執行機関が監視・調査に活用できる情報量は通常の取引所を上回ると説明しています。
匿名取引についても、全取引が可視化されるオンチェーン環境では価格操作や内部取引の実行は困難であり、匿名性は操作行為の抑止につながる設計だとHPCは主張しています。
あわせてHPCは、24時間365日の取引体制によって従来型市場で発生していた「セッション間の価格ギャップ」を抑制できると説明しており、常時取引可能な点もハイパーリキッドの優位性として強調しました。
HPCも認める「現行法とオンチェーンの隔たり」
一方でHPCは、ブルームバーグが指摘した「現行法がパブリックブロックチェーン上で動くデリバティブ市場に対応できていない」という点については事実関係として認めています。
そのうえでHPCは、ハイパーリキッドのようなオンチェーン市場を規制の枠内に取り込む法整備に向け、ワシントンの政策立案者との協議を継続する方針を示しました。
ただし、CFTCへの登録にはKYCプログラムの導入と取引監視体制の整備が前提となるため、現行の匿名取引モデルとどう両立させるかが大きな論点として残っています。
こうした法整備の遅れは、上院銀行委員会で5月14日に超党派の支持で可決されたCLARITY(クラリティ)法案の審議とも重なっており、デジタル資産市場の規制体系を整える議論のなかで、オンチェーン取引所をどう扱うかも主要論点のひとつとなっています。
仮想通貨規制の内部体制を強化
伝統金融とDEXの摩擦、政策動向に関心高まる
伝統金融機関による仮想通貨市場への参入が加速するなか、オンチェーン取引所と既存の規制体系との摩擦も各所で表面化しています。
ハイパーリキッド自身も2025年9月にはCircle(サークル)社がUSDコイン(USDC)のネイティブ対応とエコシステム出資を発表するなど、米国の主要事業者との接続を深めており、伝統金融側からも無視できない規模へ拡大しています。
一方で、NYSEの親会社であるICEは予測市場プラットフォームのPolymarket(ポリマーケット)に最大20億ドル(約3,170億円)の戦略投資を表明しており、伝統金融側では、競合分野への先回り投資と規制要請を同時に進める動きも強まっています。
5月末から6月にかけて予定されているCLARITY法案の上院本会議採決や、CFTCがオンチェーン取引所向けに示す登録要件の具体像を軸に、オンチェーン市場を既存規制へどう組み込むかをめぐる米国の政策動向に関心が高まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.73 円)
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Source:ブルームバーグ報道
サムネイル:AIによる生成画像





























