401k仮想通貨解禁に「待った」ウォーレン議員らがDOL規則の撤回要求

401k仮想通貨解禁に「待った」ウォーレン議員らがDOL規則の撤回要求

この記事の要点

  • サンダース・ウォーレン議員ら3名、401k仮想通貨解禁のDOL規則案に撤回要求
  • 約2,200兆円の年金資産が高変動資産にさらされるリスクを指摘
目次

ウォーレン議員ら3名、401k仮想通貨解禁案の撤回要求

米国のバーニー・サンダース上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員、ボビー・スコット下院議員の3名は2026年6月1日、米労働省(DOL)のキース・ソンダーリング長官代行に対し、401(k)確定拠出年金プランへの仮想通貨など代替資産の組み入れを促す規則案の撤回を求める書簡を送付しました。

規則案は、一定の手続きを踏むことで受託者が仮想通貨やプライベートエクイティ(未公開株)といった価格変動の大きい資産を401(k)に組み入れやすくする内容となっており、トランプ政権が進める退職年金制度の規制見直しの一環として提案されています。

議員らは、米国の401(k)に積み上がる約14.2兆ドル(約2,270兆円)の退職資産が、価格変動が大きく複雑な代替資産にさらされることへの懸念を示しています。

そのうえで同規則案について、法律や議会の意図、既存の規制・判例にも反すると批判し、撤回と従来の投資家保護ルールの維持を求めています。

「ERISA vs DOL規則」年金保護の根幹が問われる

セーフハーバー導入で受託者責任が骨抜きに

今回の規則案は、トランプ大統領が2025年8月に署名した大統領令を受けたもので、同令では退職プランにおける代替資産の扱い見直しを労働省に指示していました。

現行制度のもとで401(k)を運用する受託者には、1974年制定のERISA(従業員退職所得保障法)に基づき、厳格な「プルーデンス(思慮深さ)」基準が課されています。

米労働省(DOL)が2026年3月31日に公表した規則案では、この基準に「セーフハーバー(免責規定)」を新設し、一定条件を満たした受託者については受託者責任を果たしたと推定される仕組みが盛り込まれました。

セーフハーバーのもとでは、受託者が運用実績・手数料・流動性・評価方法・ベンチマーク・複雑性の6項目を検討したと示せば、受託者責任を果たしたと推定されます。

この仕組みによって従来求められてきた注意義務の実質的な検証が後退し、手続きの履行だけで責任を果たしたとみなされることで投資家保護が弱まると議員らは批判しています。

「変動・詐欺・高コスト」議員が仮想通貨三大リスクを列挙

議員らは代替資産のなかでも仮想通貨への懸念を強く示しており、その価格変動の大きさを示す根拠として複数の公的機関による調査結果を引用しています。

米政府監査院(GAO)の調査によると、2021年から2023年にかけて401(k)で利用できた仮想通貨はS&P500株価指数を大きく上回る変動を示しており、ビットコイン(BTC)は約4倍、ソラナ(SOL)は約12倍の価格変動を示しました。

議員らは仮想通貨が詐欺の温床になりやすい点も問題視しており、FBI(連邦捜査局)の2025年インターネット犯罪報告書では、サイバー犯罪による被害額が約210億ドル(約3.4兆円)に達したと指摘しています。

こうした値動きの大きさや詐欺被害に加え、議員らは代替資産に伴う高額な手数料にも懸念を示しており、書簡によると投資信託の手数料が通常1%未満であるのに対し、プライベートファンドではおよそ2%の管理手数料が課されています。

さらに運用益が一定水準を超えた場合には約20%の成功報酬が加算される仕組みがあることから、議員らはDOL自身の分析を引用し、手数料が1ポイント上昇すると退職時の資産が生涯で28%減少する可能性があると訴えました。

フィフス・サード判決と矛盾、議員がERISA違反を主張

仮想通貨の価格変動や高額な手数料に加え、議員らは規則案がERISA(従業員退職所得保障法)や過去の判例とも整合しないと主張しており、特に受託者に認められる「プルーデンスの推定」を問題視しています。

この推定について書簡は、最高裁が2014年のフィフス・サード・バンコープ対デュデンヘッファー裁判で全会一致により退けた判断と矛盾すると訴えました。

判例との整合性をめぐる論点はこれに限らず、議員らはDOLが法的根拠としている「アンダーソン対インテル」訴訟についても、2026年1月16日に最高裁が上告を受理した係争中の案件であり、確定していない判断に依拠すべきではないと指摘しています。

議員らは法的な論点に加え、利益相反の可能性にも言及しており、報道を引用し「トランプ一族が仮想通貨事業を通じて約50億ドル(約7,700億円)の含み益を得た」と批判しています。

こうした懸念を踏まえ、書簡では「プルーデンス基準の変更は、トランプ大統領とその一族が納税者・労働者・退職者の負担のもとで利益を得る機会を広げる」と主張しました。

これに対し、規則案を公表したDOLのソンダーリング氏は「労働省が勝者と敗者を選ぶ時代は終わった」と述べ、運用者はあらゆる商品を慎重な手続きに従って評価する必要があると説明しています。

スコット・ベッセント財務長官も同じ発表のなかで規則案への支持を表明し、トランプ政権が掲げる「黄金時代」の実現に向けた取り組みの一つになるとの見方を示しました。

最高裁判断待ちのDOL、401k仮想通貨解禁の行方

退職プランへの代替資産の組み入れをめぐっては、トランプ政権の規制緩和方針を背景に賛否双方の主張が活発化し、制度の方向性をめぐる議論が続いています。

SEC(証券取引委員会)のアトキンス議長が解禁に前向きな姿勢を示す一方、労働組合などは年金資産が価格変動の大きい資産へ流入することへの懸念から反対の立場を強めています。

今回の書簡もこうした反対運動の一環として提出されたもので、議員らは3月に公表された規則案に対する正式な意見書という形で撤回を求めました。

ただし、DOLが規則案を撤回するか最終規則として維持するかについては、最高裁が審理する「アンダーソン対インテル」訴訟の判断が重要な材料になるとみられています。

401(k)への仮想通貨組み入れをめぐる議論は立法・司法・行政の各局面で続いており、DOLによる最終判断と最高裁の審理結果が今後の制度設計に影響を与える見通しです。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.95 円)

>>仮想通貨規制関連の最新ニュースはこちら

Source:撤回要求書簡
サムネイル:AIによる生成画像

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次