UAE財務省、2027年からCARF実施を予定
アラブ首長国連邦（UAE）財務省は2025年9月21日、仮想通貨（暗号資産）に関する国際的な税務情報交換の枠組み「CARF（仮想通貨報告フレームワーク）」に加盟したと正式に発表しました。
このCARFは、OECD（経済協力開発機構）が策定した「仮想通貨取引に関する税務情報」を各国の税務当局間で自動的に共有する国際基準で、仮想通貨分野におけるグローバルな透明性向上を目的としています。
UAE財務省によると、同国でのCARF実施は2027年に開始され、初回の情報交換は2028年に行われる予定です。
また財務省は、CARF導入に向けた規則策定にあたり民間の意見を取り入れるため、2025年9月15日から11月8日まで8週間にわたる業界関係者とのパブリック・コンサルテーション（意見募集）も開始しています。
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CARF加盟で進むUAEの仮想通貨国際基準化
CARFの仕組みと国際的な導入背景
国際的な動きとして、2023年11月には日本を含む約50か国・地域が2027年までのCARF実装開始に向けて共同声明を発表しており、UAEの今回の署名は世界的な取り組みに歩調を合わせ、自国も正式に関与した形となります。
CARF（仮想通貨報告フレームワーク）は、仮想通貨を利用した国際的な脱税を防止するために各国税務当局間で取引情報を自動交換する仕組みで、銀行口座に適用されている共通報告基準（CRS）の仮想通貨版とされる国際標準です。
具体的には、仮想通貨交換業者やブローカー、ウォレット提供者など顧客に仮想通貨取引サービスを提供する全ての事業者に利用者取引データの報告義務を課し、各国の税務当局がそれら情報を毎年自動的に交換する枠組みとなっています。
これにより、自国以外の取引所を利用して税務申告を回避しようとする行為を、各国が連携して把握できるようになります。
UAE財務省が進めるCARF導入の国内戦略
こうした国際的な流れを受け、UAE財務省は2024年11月時点でこのCARFを国内に導入する方針を表明しており、今回の正式加盟はその方針を具体化したものです。
政府はこれを包括的な金融改革戦略の一環と位置付け、規制強化と同時に国際競争力を持つ仮想通貨ハブとしてUAEを発展させる方針です。
実際、同国の規制当局は今年に入り仮想通貨業界との協調を強化しており、財務省はCARF実装に向けたルール策定に関して業界関係者から幅広く意見を募っています。
このパブリック・コンサルテーションには取引所、カストディアン、トレーダー、アドバイザリー企業など幅広いステークホルダーが対象となっており、専門家や市場参加者の知見を取り入れた効果的な規制整備を目指すと説明しています。
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UAEで急拡大する仮想通貨資金流入と規制強化
UAEでは仮想通貨市場の拡大傾向が鮮明になっています。
2025年7月に公表されたレポートによると、同国に流入した資金は過去1年間で340億ドル（約5兆円）に達し、前年から42％増加しました。その背景には明確な規制整備やキャピタルゲイン課税が存在しない点があり、投資環境を理想的にしていると指摘されています。
2025年8月にはUAEの証券商品庁（SCA）とドバイの仮想資産規制機関（VARA）が戦略的提携を結びました。監督体制の一元化やライセンスの相互承認により投資家保護を強化し、統一的な規制環境を整備することで国際的な信頼性向上を目指しています。
伝統的金融機関による参入も進んでおり、エミレーツNBDはデジタル銀行アプリ「Liv」で仮想通貨売買サービスを開始しました。ライセンスを受けた企業との提携により、安全でシームレスな取引を実現し、国内利用者の需要に対応しています。
このようにUAEは国際基準の採用と国内規制強化を進めると同時に、税制優遇や産業育成によって投資を呼び込んでいます。規制と成長を両立させる取り組みはモデルケースとされ、同国は仮想通貨先進地域としての地位をさらに高めています。
※価格は執筆時点でのレート換算（1ドル=147.87 円）
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Source：UAE財務省公式発表
サムネイル：AIによる生成画像
