注目されていた「ヒンマン文書」が一般公開
Ripple社と米国証券取引委員会(SEC)の裁判における重要資料の1つとして注目されていた「ヒンマン文書」が正式に一般公開されたことが明らかになりました。
ヒンマン文書とは、元SEC企業金融部長のウィリアム・ヒンマン氏が2018年6月に発表したスピーチの内容などを示す資料であり、ヒンマン氏が当時『BTCとETHは有価証券ではない』との見解を示していたことから、”暗号資産が有価証券に該当するかどうか”を判断する上での重要な資料の1つとして注目されています。
米SECは「仮想通貨XRPは有価証券に該当する」と主張していますが、ヒンマン氏は「トークンが十分に分散化されていれば有価証券には該当しない」との見解を示していたため、そのような内容は”SECのスタンスを反映するもの”として公開されるべきと指摘されていました。
今年5月には「米SECのヒンマン文書非公開要求が裁判所に却下された」ということが報告されていましたが、2023年6月13日にはこのヒンマン講演資料が正式に一般公開されたことが報告されています。
ビル・ヒンマン氏が有名なスピーチしてから5年が経過しました。SECのRipple社に対する訴訟(および7つの裁判所命令)で、現在公開されている電子メールや演説の草稿を通じて、舞台裏で何が起こったかをようやく共有することができます。
ヒンマン氏に関する過去記事はこちら
ヒンマン氏の行動に対する複数の指摘
今回公開された資料には「2018年6月の講演に向けてヒンマン氏とSEC職員の間で交わされたやりとりの内容」が含まれているとのことで、「ヒンマン氏はスピーチの準備段階でイーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏に電話して、イーサリアムがどのように運用されているかを確認しようとしていた」とも伝えられています。
ヴィタリック・ブテリン氏にイーサリアムの運用について確認しようとしてしていた件については「これはヒンマン氏がイーサリアムについてしっかりと理解できていないことを示している」といった指摘も出ています。
Ripple社の最高法務責任者であるスチュアート・アルデロティ氏は今回の投稿された一連のツイートの中で『ヒンマン氏は、”同氏のスピーチは法的根拠のない分析を含んでおり、Howey要因から分離されていて、規制のギャップを露呈し、市場により大きな混乱を生じさせる”という複数の警告を無視した』と指摘しています。
報告によると、SEC職員はスピーチの原稿が完成するまでの過程でヒンマン氏の見解に懸念を呈していたとのことで、ヒンマン氏のスピーチは市場に大きな混乱をもたらす可能性があると懸念されていたにもかかわらず、ヒンマン氏はそのような警告を無視したと批判されています。
また、アルデロティ氏は「ヒンマン氏は個人的見解として”十分に分散化されたトークンは証券に該当しない”との語っていたが、その後SECのジェイ・クレイトン委員長はこの見解をガイダンスとして公にした」と指摘しており、「SECは訴訟でスピーチの重要性を何度も翻したにもかかわらず、スピーチはSECのウェブサイトに掲載されたままになっている」とも指摘されています。
アルデロティ氏は今回のツイートで『まずはSECのウェブサイトから直ちにスピーチを削除すべき』と述べており、『ヒンマン氏に影響を与えたのは誰か、なぜ複数の懸念が無視されたのか、なぜSECは混乱を引き起こすと知りながらこのスピーチを宣伝したのか、について調査が行われなければならない』と語っています。
また、Ripple社のCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏は、アルデロティ氏のツイートを引用する形で『多くの反発がある中で規制当局がとにかく前に進むことを決め、業界全体を混乱に陥れたことは許されることではない』と批判しています。
2018年当時の記事はこちら
ヒンマン文書の公開が与える影響は?
ヒンマン文書は米SECとRipple社の裁判における重要資料として注目されており、XRP価格への動向にも注目が集まっていましたが、今のところXRP価格に大きな変化は見られておらず、記事執筆時点のXRP価格は「1XRP=71.43円」となっています。
また、今回の資料公開後には「今回の資料は決定的な証拠にはならず、Ripple社の裁判に役立つ新しい情報はほとんどないのではないか?」といった意見も出ており、「この資料は市場の混乱を避けるためにETHへの言及を避けるよう、ヒンマン氏にしつこく警告が行われていたことを証明しているだけ」とも指摘されています。
なお、ここ最近のSEC関連ニュースでは「米SECを再編してゲンスラー委員長を解任することを求める法案が提出されたこと」や「Binance USが米SECに反論する裁判書類を提出したこと」なども報告されています。
米SECの判断には他プロジェクトも反論