ICOトークン「有価証券に該当しない可能性もある」米国証券取引委員会(SEC)高官
米国証券取引委員会(SEC)の企業金融部門でディレクターを務めているWilliam Hinman(ウィリアム・ヒンマン)氏は、2019年5月31日に「SEC Fintech Forum 2019」の講演の中で『ICOによるプロジェクトが十分に分散化されていれば、証券法から免除される可能性がある』との考えを改めて語りました。
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William Hinman(ウィリアム・ヒンマン)氏は、昨年6月に「仮想通貨イーサリアム(ETH)はネットワークが十分に分散化されており、中央集権型のタイプには分類されないため、有価証券としては分類されない」と語りました。
同氏は今回のフォーラム中で、この考え方はICO(イニシャル・コイン・オファリング)によって発行されたトークンにも当てはまるということを示唆しており、具体的な事例として航空機派遣業者である「TurnKey Jet(ターンキー・ジェット)」と同社がICOで発行した仮想通貨「TKJトークン」のことを語りました。
「TKJトークン」は、今年4月に仮想通貨業界で初めてSECからノーアクションレター(*1)を受け取ったプロジェクトであり、ICOによって発行されたにも関わらず「有価証券ではない」との判断を受けたトークンとして知られています。
(*1)ノーアクションレター:特定の行為が法令の規定の適用対象となるかどうかに関する見解を非公式に表明する文章
このTKJトークンは、
・TKJプラットフォーム・ネットワーク・アプリはTKJトークン販売前に開発される
・TKJトークンは販売後すぐに使用できる
・TKJトークンは将来の利益のためでなく、有用性のために販売されている
・TKJトークンはプラットフォーム・ネットワーク・アプリ開発に使用されない
・TKJトークンの転送はTKJプラットフォームのみに制限されている
・TKJトークンの価格は1ドル相当に固定されており、1ドル相当のサービスとして提供される
・TurnKey Jetがトークンを買い戻す際には額面以下でしか取引されない
などの特徴を持っており、トークンを流通市場で販売したり、外部のウォレットに保管したりすることができないため「有価証券には該当しない」と考えられています。
ヒンマン氏は、「TurnKey Jetがもし3年前にSECに来ていた場合、TKJトークンは有価証券とみなされていただろう」と語っています。これは"3年前"というのが"ネットワークが完全に分散化される前"に当たるためです。
同氏の見解は「SECの見解を示している」というわけではないものの、TKJトークンの事例は「トークンが有価証券に該当するかどうか」を判断するためのもう一つの基準となる可能性があります。仮想通貨が証券かどうかを判断するための方法としては「Howey(ハウェイ)テスト」と呼ばれるものがありますが、海外メディアである「Decrypt」はこれとは反対の「TurnKeyテスト」になるだろうと報じています。
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