ビットコインの歴史を一覧表で簡単解説!価格推移もわかりやすく
最近、投資や決済システムなどで注目度が上がっているビットコインですが、そもそもどういう経緯で始まったのかあまり詳しく語られることはありません。
今後の金融業界のめまぐるしい変革を予想する上でも、ビットコインの原点に触れて着実に学んでいくことが大切です。ここでは、ビットコインの誕生からこれまでの歴史について時系列で分かりやすくまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
ビットコイン(BTC)年表
年月 | 内容 |
---|---|
2008年10月 | 中本哲史(ナカモトサトシ)氏がビットコインに関する論文を発表 |
2009年1月 | ビットコインが初めて作られる |
中本哲史によってビットコインがリリースされる | |
中本哲史以外の人物により初めてマイニングされる | |
ビットコインが初めて送金される | |
2009年10月 | ビットコインの初値が明らかになる |
ビットコインが初めて法定通貨で購入される | |
2009年12月 | 難易度(difficulty)の調整がなされる |
2010年2月 | 初のビットコイン取引所がオープンする |
2010年5月 | 初めてモノ(1万BTC=ピザ2枚)の売買がなされる |
2010年7月 | 世界的に有名なコンピューター専門の電子掲示板「Slashdot」に掲載される |
2010年8月 | ビットコインのバグを利用し1840億BTCが偽造される |
2011年1月 | Tonal Bitcoinユニットの標準化(初のアルトコインと呼ばれている) |
総発行量の25%¥が採掘される | |
2011年3月 | ビットコインネットワークのハッシュレートが短期間で2倍に |
難易度(difficulty)が10%近く低下 | |
2011年6月 | マウントゴックスが会計検査官の PC からハッキングされる |
2011年8月 | P2P decentralizedマイニングプールでの最初のブロックが採掘される |
初めてDifficultyが連続して低下する | |
2011年9月 | Casasciuscoinという手に取れるビットコインができる |
2012年3月 | それまでで最大額のビットコインの盗難が発生する |
2012年4月 | (P2SH)Pay-to-script-hashが有効になる |
2012年5月 | SatoshiDiceのトランザクションがビットコインネットワークの半分以上を占める |
2012年6月 | キプロス危機により、ビットコインの価格が上昇する |
2012年11月 | 初の半減期を迎え、報酬額が50BTCから25BTCになる |
2013年2月 | Bitcoin Client v0.8がリリースされる |
バグによりハードフォークが発生する | |
2013年10月 | カナダバンクーバーに初めてビットコインATMが設置される |
2013年11月 | FBRのバーナンキ議長がビットコインを認める発言をし、価格が上昇する |
2014年2月 | マウントゴックスが民事再生法の適用を申請し経営破綻する |
2014年6月 | マイニングプール「Ghash.io」のハッシュレートが51%になる |
2014年10月 | 大量のBTC売り注文が出される |
2015年6月 | ニューヨークでBitLisence(デジタル通貨対象の規制)が始まる |
ギリシャの債務不履行デフォルト危機によりビットコインの価格が一時7%上昇する | |
2015年8月 | BitcoinXTがリリースされる |
2015年11月 | ビットコインのマークがUnicodeに認可される |
2016年1月 | Mike Hearnがコア開発から離脱する |
2016年2月 | Bitcoin classicがリリースする |
2016年5月 | Craig wrightが「自分がsatoshi Nakamotoである」と主張する |
2016年7月 | 2度目の半減期を迎え報酬額が12.5BTCになる |
2016年8月 | 香港のゲートウェイBitfinexがハッキングの被害にあう |
2017年1月 | ウィキリークス創始者Julian Assangeがビットコインハッシュ読み上げで生存を証明する |
2017年2月 | 中国の取引所がBTC引出しを停止し、ビットコインの規制を始める |
2017年3月 | コア開発者とマイナー陣の対立が激化する |
2017年7月 | Mt.GOX事件の主要人物が逮捕される |
2017年8月 | ハードフォークによりBitcoinCash(BCC, BCH)が誕生する |
2017年9月 | 政府による中国取引所の閉鎖が発表され、ICOやマイニングにも影響が及ぶ |
BTCとLTCの間でatomic swapが成功する | |
2017年10月 | BTCが初めて60万円台を突破し、最高値を更新する |
2017年12月 | アメリカの先物取引所である「CME」がビットコインの先物取引を開始 |
2018年1月 | Facebook(Meta)が仮想通貨の広告掲載の禁止を発表 |
2018年3月 | Googleが仮想通貨の広告掲載の禁止を発表 |
Twitter(X)が仮想通貨の広告掲載の禁止を発表 | |
2019年9月 | BakktがBTC先物サービスを開始 |
2019年11月 | 中国政府が仮想通貨取引を取り締まる新たな規制を開始 |
2020年5月 | 3度目の半減期を迎える |
2021年2月 | 米テスラ社が15億ドル分のビットコインを購入 |
2021年3月 | NFTアートが歴史的な高値である約75億円で落札される |
2021年4月 | 米コインベースがナスダックに上場 |
2021年9月 | エルサルバドルがビットコインを法定通貨に定める |
2021年10月 | アメリカで初めてビットコイン先物ETFが上場 |
2021年11月 | ビットコイン価格が過去最高値を記録 |
2022年1月 | ロシア中銀が国内における暗号資産の利用およびマイニングの禁止を提案 |
2022年5月 | テラ(LUNA)問題により市場が急落 |
2022年11月 | FTXグループが破産申請 |
2023年6月 | ブラックロックがBTC現物ETFを申請 |
2023年10月 | SECが敗訴し、BTC現物ETFの承認が現実的に |
2023年12月 | ビットコインが4万ドルに回復 |
2024年1月 | SECがビットコイン現物ETFを承認 |
2024年3月 | ビットコイン価格が1,000万円を突破 |
ビットコイン(BTC)の歴史
2008年「ビットコインの仕組みが誕生」
ビットコインについての論文が2008年10月31日に、中本哲史(ナカモトサトシ)という謎の人物によってオンラインコミュニティのメーリングリストに発表されたことにより、中央集権のないブロックチェーンの仕組みによる国際通貨が発明されました。
ビットコインの仕組みを詳しく
2009年「ビットコインに価格がついた」
2009年には、中本哲史氏の論文に賛同した開発者と協力者によってBitcoin-Qt(現在のビットコインコア) というオープンソースクライアントのウォレットアプリケーションが1/9にリリースされました。ビットコインの誕生です。
それからしばらくはビットコインの取引自体は行われていたものの、開発者同士で送金されているだけで価格を介した取引は行われていませんでした。価格レートが初めてついたのは10/5で、New Liberty Standardが発表しました。
ビットコインは採掘に必要な電力から計算され、1ドル1,309.03BTCと提示されました。その後、10/12には、仮想通貨のビットコインが初めて法定通貨と交換されることとなります。初めて購入したのは「New Liberty Standard」で、5,050BTCを5.02ドル、1ドルあたり1,005.976BTCという破格値での取引でした。
2010年「1万BTC=ピザ2枚で販売」
2010年はビットコインにとって大きな躍進を遂げた1年といえるでしょう。2010年年初の1BTCの価格は0.09円、同年年末には24円、1年間でおよそ260倍に急上昇しました。
なぜ、2010年にそこまで急激な価格の上昇が起こったのでしょうか。その理由としては「ビットコイン・ピザ・デー」が大きく関わっています。現実のモノ(ピザ2枚)と1万ビットコインが交換されたことで、仮想通貨とモノが初めて取引されました。
これは当時の関係者にとっては非常に驚きを以って迎えられました。ドルや円と同様に、現実のモノと交換できることが証明されたのです。この歴史的な瞬間を祝して5/22は「ビットコイン・ピザ・デー」と呼ばれ、世界中でピザをビットコインで購入すると割引されるそうです。
その後、7月には世界的に有名なコンピューター専門の電子掲示板「 Slashdot 」に取り上げられたことにより知名度が上がりました。同月にはMt.Gox社がビットコイン取引所を開設、9月には世界初のマイニングプールであるSlush's poolにより初めてビットコインの採掘に成功しました。
その後8/15にはバグをついて1,840億ビットコインが偽装され、その後5時間後に新しいバージョンのクライアントが公開されたことにより、ビットコインが分岐しました。
このことにより、問題のトランザクションを超えてすべてのノードが受け入れ、その後もブロックチェーンはつながり続けています。このようにして、さまざまな弊害や問題が起こっても、ビットコインを世界中で守り続けていこうとする動きが見られるようになってきました。
2011年「ビットコイン冒険の年」
2011年はビットコインを利用する人々とって、好奇心旺盛な年となりました。1/2にはビットコインと同じくブロックチェーン採用のTonialBitcoin(TBC)という世界初のアルトコインが生まれました。
1/28にはビットコイン総発行量の25%がマイニングされ、ブロック高が105,000になりました。3/21にはPlatoと名乗る人物がビットコインのみでアメリカのハーフォードからロスまでを旅行しました。まだまだビットコインが使えるお店は少なかったようですが、コミュニティ仲間やガソリンスタンドへの直接交渉などでなんとか乗り切ったようです。
その後9/6には、実際に手に取って使用できるフィジカルビットコインが作られました。そのほかにも不動産物件や飛行機などがビットコインによって取引されました。ビットコインが実際に価値の取引に利用されはじめ、さまざまな人や企業がビットコインやブロックチェーンを使った起業アイディアを企画し始める年となりました。
マイニングを詳しく
2012年「ビットコイン盗難と半減期」
2012年はビットコインにとって激動の年になりました。3/1、これまでで最高額の50,000BTCがLinode社のサーバーから盗難されました。その後もBitcoinica, Bitfloorがハッキング被害に合うなどセキュリティに対する対策も急務となりました。
4/1にはP2SHが有効になり、複数の秘密鍵によるビットコイン送金などのマルチシグネチャ方式が可能となり、ビットコインの使用がより便利になっていきました。
9/24には米証券取引委員会のPhillip Moustakis上級検事が「ビットコインのポンジスキムなどの詐欺的な案件によってビットコインの価格が30%下落しているため、本格的な「Bitcoin Savings and Trust」の調査を実施すると発表しました。
9/27にはBitcoin財団の設立によって、コア開発チームとデジタル通貨を監督する機関が実装されました。11/28には初の半減期が訪れ、マイニング報酬が25BTCになりました。
2013年「金融危機回避に利用され始めるビットコイン」
ビットコインの価格は2013年初頭までは1ビットコイン=約1,000円ほどでずっと低いままでしたが、2013年3月にキプロスの金融危機をきっかけに、ビットコインの価格が急騰していきました。
キプロスは、国家財政が破綻しそうになって、欧州連合から金融支援を受けることになったのですが、その条件として財政再計画を提示と実行を要求されました。キプロスは財政再計画の実行のために、銀行の預金を封鎖し始め、さらに預金額が多い人には強制的に税金をかけると発表しました。
大金を預けている富裕層の人達は、そのような酷い事を素直に受け入れるはずもなく預金を封鎖・課税されないようにするためビットコインに資金を移動し始めます。
ここから一気にビットコインを購入する人が大量発生し、ビットコインの価値が1BTC=5,000円以上に値上がりしました。このキプロスでのビットコイン急騰の話が中国の人たちにも伝わり、中国でも買われ始めます。
中国では外貨管理が厳しいので、人民元からの資産の逃避先がほしかった事から、今度は中国でもビットコインが注目を集め、ビットコインを購入する中国人が大量発生しました。
11月末から 12月初旬にはビットコインの価値が約110,000円まで急騰しました。しかし富裕層が国外へ資産を流出させ続けると、いずれは中国の国家基盤が揺らいでしまうと危倶されました。
12/5、中国人民銀行は各金融機関に対して「ビットコインを使用した金融サービスを禁止し、通貨として流通させない」との声明を通達しました。この中国政府の規制によって、ビットコイン価格が一気に急落し、半月後の12/8には1BTC=約55,000円まで落ち込みました。
2014年「ビットコイン試練の年」
年明けビットコイン価格は1BTC=99,000円まで値を戻しましたが、まもなく2013年の年末に起こった中国政府が金融機関でのビットコイン取引停止という出来事が着実に築き上げた価格を突き落としていく結果となります。
ビットコインは自国通貨の不安定、信用不安が根強い国家で取引が盛んに行われるようになってきました。特に、中国の富裕層は自国通貨の「元」への信用性が低く、資産流出に警戒感が強い中国政府の目を盗んで資産を外国に移す手段を常に模索していたため、送金時の匿名性、送金決済のスピード感は中国政府の監視の目をすり抜ける良策でした。
しかし、中国政府の介入による現金化による売り圧力は、相場価格を一気に押し下げ、ビットコイン価格は2014年2月、一時1BTC=18,280円まで急落しました。
同じころ、ビットコイン取引所最大手マウントゴックス社の65万枚のBTCがハッキングの被害にあいました。通称「マウントゴックス事件」です。マウントゴックスが破たんしたことで、わずか2か月でBTCの価格が半減以下となりました。日本でも芸能人など多くの投資家がビットコインを失い、話題になりました。
このままビットコインは世から消え去ってしまうのかと思われましたが、仮想通貨の将来性と技術革新を疑わない人々によってひそかに売買と開発が続けられていました。
このころ、今では国内取引所として活躍しているbitflyer(5/26 Open)、bitbank(6/18 Open)、Coincheck(9/19 Open)の他、多数の取引所が誕生し、日本国内で売買しやすくなったことから、取引の機会損失を防ぎました。
また、アメリカのコンピューター大手のDell、マイクロソフトがビットコイン決済を開始し、アメリ限定ではありますが、市場の縮小を少なからず防ぐ結果となりました。功を奏したのか、価格は3万〜6万円台を増減しながら徐々に落ち着きを取り戻したビットコインは、失意よりも期待感が上回り、以前よりも安定と信頼を得ていきながら進化していきました。
2015年「世の中に浸透していくビットコイン」
6/3、ニューヨークでBitlicenceというデジタル通貨のための規制がリリースされ、ビットコインがより信頼できる通貨と位置づけされるための基準が出来ました。ビットコインを取り扱う企業は要件を満たすため、ライセンスを取得しなければならなくなりました。
8/1、マウントゴックスの元社長であるマルク・カルプレスが自身の口座のデータ改竄、残高水増しの疑いで逮捕、顧客の預金横領の容疑で再逮捕されました。11/3には、ビットコインを表すというというマークがUnicode(文字符号化方式や符号化文字集合などを定めた、文字コードの業界規格)対応になりました。
ビットコインはその存在がだんだんと世の中に認知され、投機目的だけではなく、ビジネスのツールとしても変化しながら便利に利用され始めました。ビットコインのコミュニティも活発化し、ブログやSNSでもさまざまな意見や新しい開発などを発信する人が増えていきました。
2016年 「サトシ・ナカモトの正体が判明!?」
年始では1BTC=460ドルで動き始めたビットコインの価格推移ですが、1月15日マイクハーンがコア開発から離脱したことで350ドル付近まで下落しました。マイクハーンはグーグル本社のディベロッパーとして従事し、その後フルタイムのビットコイン開発者に転身したイギリスの開発者です。
前ビットコインコア開発者のギャビンアンドレンセン氏と共に2015年8月にビットコインコアのフォーク、Bitcoin XTをリリースした後 R3Cevのメガバンコンソーシアムの一員としてブロックチェーンの開発に取り組みました。
彼は「ビットコインは失敗した」というテーマで以下のように記しています。
ビットコインはいつか失敗するかもしれないと思ってやってきた。しかしいよいよ、ビットコインは失敗したと結論せざるをえない状況にはとても悲しく思う。
基本的な条件が歪んでしまっているし、短期的にも長期的にも、コインの価格は下落傾向をたどる事になるだろう。僕はこれ以上ビットコインの開発には関わらないし、自分のビットコインも全て売却してしまった。
マイクハーンは、実質的中央集権化してしまっている現状に対しても危惧していたようです。しかし、ビットコインは世界中の人々に愛されるように進化していきます。
2/10、ビットコインのハードフォークであるビットコインクラシックがリリースしました。5/2、オーストラリア人起業家、Craig wrightが「自分がサトシ・ナカモトである」と主張しました。
7/10、Bitcoin史上2度目の半減期が訪れ、ビットコインのマイニング報酬がそれまでの25BTCから12.5BTCへと変更されました。各企業のICOも活発になり、新しいコインが続々と出現しました。
クラウドマイニング、レンディングなどの新しいサービスも増え、詐欺情報も多くあるにもかかわらず、今までビットコインに懐疑的だった投資家たちもさまざまな案件に投資するようになりました。
8/2、香港のBitfinexが保有資産の36.067%にあたる11,9756BTCのハッキング被害に会いましたが、独自通貨BTFを発行して被害にあったユーザーに配布し、株やUSDと価値の交換をすることで補償しました。その結果ユーザーに被害の全額を返済することに成功しました。
2017年「最高値を更新しつづけるビットコイン」
1/10、WikiLeaksの創始者であるJulian Assangeが死亡したという情報が流れた際、ブロックチェーンに刻まれた、未来が予測不可能であるビットコインのハッシュ値を読み上げることで、現在に生きていることの証明をしました。
2/9、中国政府はマネーロンダリング対策として、中国国内の取引所の引き出しを停止しました。その後、取引所ではなく、相対取引のサイトlocalbitcoinsで取引する中国人が相次ぎ、出来高が5倍に膨らみました。3月から夏にかけ、開発者とマイナーの間でSegWitやブロックサイズなどのスケーラビリティ問題で対立が激化しました。
7/26、マウントゴックス事件に関与していた容疑でAlexander Vinnikという人物がギリシャで逮捕されました。8/1、ViaBTCのハードフォークが実行され、Bitcoincash(BCC、BCH)が実装されました。ハードフォークがあった時点で BTC 保持者は同量のBCCが無償で配布されました。
9/15、中国人民銀行がビットコインの需要の増加に歯止めをかけるべく、取引所の売買、ICOの規制を強化しました。そのことで、一時ビットコインやアルトコインの価格が下落しましたが、すぐに値を戻しました。
10/12、ビットコインの価格が1BTC=60万円を突破し、最高値を更新しました。これから発行されるビットコインゴールド「BTG」の無償配布が目的でビットコインの買い注文が殺到していることが原因としてあげられています。
2018年「ビットコインバブル崩壊」
2018年は、ビットコインにとって極めて困難な試練の一年となりました。この年、仮想通貨業界全体に大きな影響を与える出来事が相次ぎ、特に主要なソーシャルメディアプラットフォームが暗号資産に関連する広告の掲載を禁止する決定を次々と発表したことが、市場に大きな衝撃を与えました
これらの決定により、ビットコインを含む暗号資産全般に対する一般の信頼感が著しく低下し、その結果として市場価格も急激かつ持続的な下落を経験することとなりました。
この一連の出来事は、1月に始まりました。まず、世界最大のソーシャルネットワークであるFacebookがビットコインをはじめとする仮想通貨の広告掲載を全面的に禁止することを突如発表しました。この決定は業界に大きな衝撃を与え、多くの投資家や関係者の間に不安を引き起こしました。
さらに追い打ちをかけるように、3月には検索エンジン最大手のGoogleと、リアルタイムコミュニケーションプラットフォームとして影響力の大きいTwitterも、同様の広告掲載禁止措置を取ることを相次いで発表しました。
これらの決定が重なった結果、ビットコインの市場価格は急激な下落を見せ始めました。年初には1BTCあたり約150万円という高値で取引されていた価格が、わずか数ヶ月後の4月上旬には約70万円にまで急落するという、前例のない急激な価値の下落を経験しました。
この下落傾向は、年間を通じて継続しました。市場の信頼回復や価格の反発を期待する声もありましたが、残念ながらそのような兆しは見られませんでした。ビットコインの価格は下落の一途をたどり、年末の12月には驚くべきことに30万円台にまで下落しました。
これは年初の価格と比較すると、実に80%以上の価値下落を意味し、多くの投資家に大きな損失をもたらすとともに、暗号資産市場全体の将来性に対する深刻な疑念を生じさせることとなりました。
2019年「大きな価格変動」
2018年の弱気相場は2019年の3月頃まで継続し、ビットコインの価格は一時1BTC=約35万円という低水準にまで落ち込みました。この長期にわたる下落トレンドは多くの投資家に不安をもたらしましたが、4月に入ると市場の雰囲気が一変します。
相場が突如として上昇に転じ、ビットコインの価格は急激な高騰を見せ始めました。この上昇トレンドに乗った仮想通貨市場の王者ビットコインは、わずか2ヶ月余りで驚異的な値上がりを記録し、6月には約150万円という高値にまで到達します。
しかしながら、このような急激な上昇トレンドは長期間続くことはありませんでした。9月頃になると、市場の勢いは再び下降トレンドへと転換します。この時期、業界にとって大きな期待を集めていた出来事がありました。それは、機関投資家向けの仮想通貨取引プラットフォーム「Bakkt(バックト)」によるビットコイン先物サービスの開始です。
多くの市場参加者がこのサービス開始を好感し、ビットコイン価格の更なる上昇を期待していました。しかし、予想に反して、サービス開始後の取引出来高が期待を大きく下回ったことから、市場全体に失望感が広がり、その結果ビットコインの価格は80万円台にまで急落することとなりました。この急落は、多くの投資家にとって予想外の展開であり、市場の不安定性を改めて認識させる出来事となりました。
その後、ビットコインの価格は一時的に100万円台まで回復の兆しを見せます。しかし、この回復も長くは続きませんでした。11月に入ると、仮想通貨業界に新たな逆風が吹き始めます。
まず、大手仮想通貨取引所の1つである「Bitmex(ビットメックス)」において、顧客の個人情報であるメールアドレスが大量に流出するという深刻なセキュリティ事故が発生しました。この事件は、仮想通貨取引所の安全性に対する信頼を大きく揺るがすこととなりました。
さらに、仮想通貨に対して慎重な姿勢を取り続けてきた中国政府が、仮想通貨取引を取り締まるための新たな規制をスタートさせたことも、市場に大きな影響を与えました。
これらの要因が重なり、ビットコインの価格は再び下落トレンドに転じ、1BTC=約80万円という水準にまで下落することとなります。この一連の出来事は、仮想通貨市場の脆弱性と、規制環境の変化が市場に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにしました。
2020年「コロナによる下落」
2019年末まで続いた下降トレンドは、2020年に入ると一転して上昇相場に突入しました。この急激な市場の変化は、多くの投資家や市場関係者の注目を集めました。1月に1BTCが約75万円だった価格は、わずか1ヶ月後の2月には約100万円まで高騰しました。この33%以上の価格上昇は、ビットコインの高いボラティリティを示す典型的な例となりました。
しかし、その後は再び反落し、ビットコインの価格は3月13日には50万円台まで下落しました。わずか1か月ほどで価値が約半分になるという急激な下落は、多くの投資家に衝撃を与えました。この激しい価格変動は、仮想通貨市場の不安定性を改めて浮き彫りにしました。
この下落の主な要因は、3月11日にWHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的流行)の状態にある」と発表したことでした。この発表は、世界中の金融市場に大きな影響を与え、投資家心理を著しく悪化させました。
その結果、金融市場全体に不安が広がり、株や金など暗号資産以外の価格も急落しました。この状況は、ビットコインが他の伝統的な資産クラスと同様に、グローバルな経済ショックに対して脆弱であることを示しました。
当初、コロナウイルスの影響がしばらく続くと予想され、多くのアナリストは仮想通貨市場の長期的な低迷を懸念しました。しかし、各国政府による大規模な金融緩和策や財政刺激策などの効果により、予想に反してビットコインの価格は再び上昇し始めました。この回復は、ビットコインの回復力と、従来の金融システムに対する代替手段としての潜在的な魅力を示しました。
5月12日には3回目となる半減期を迎え、この重要なイベントも相まって、1BTCは約100万円まで回復しました。半減期は、ビットコインの供給量に直接影響を与えるため、多くの投資家にとって重要な指標となっています。
その後も、DeFi(分散型金融)の急速な成長と人気などにより暗号資産市場全体が堅調に推移しました。DeFiは、従来の中央集権的な金融システムに代わる新しい金融サービスの形として注目を集め、ビットコインを含む暗号資産全体の価値提案を強化しました。この結果、2020年10月現在、ビットコインの価格は約130万円まで上昇しています。
2021年「ビットコインの躍進」
2020年からの回復基調に加え、NFTやレイヤー2などの技術トレンド、Web3やDAOといったバズワードの普及により、市場は急成長。2021年の仮想通貨市場は業界にとって躍進の年となりました。
ビットコイン価格は2020年末から急上昇し、年始の1BTC約300万円から10日後には約400万円に達しました。テスラの15億ドル(約1,600億円)のビットコイン購入発表を受け、2月21日には1BTC約600万円まで高騰し、市場の強気トレンドを後押ししました。
3月には、NFTアーティストbeepleの作品が約75億円で落札され、NFTブームが始まりました。BAYCやクリプトパンクスなどのコレクティブNFT、The SandboxやDecentralandなどの土地NFTの価値が急上昇しました。
4月、コインベースがナスダックに上場し、一時企業評価額が1,120億ドルに達しました。暗号資産関連企業の上場としては世界初で、初値は参考価格250ドルを52.4%上回る381ドルでした。
9月7日、エルサルバドルでビットコインが法定通貨となり、市場は再び強気に。1BTC約500万円から1ヶ月後には約755万円まで上昇しました。10月15日には米SECがビットコイン先物ETFを初承認し、19日の上場初日には10億ドル規模の取引高を記録しました。
10月29日、フェイスブックが社名を「Meta」に変更し、メタバースへの注力を表明。これはNFT関連プロジェクトに好影響を与え、The SandboxのトークンSANDは約100円から約1,000円まで高騰しました。
こうした環境下、ビットコイン価格は11月8日に過去最高の1BTC約776万円を記録。2021年の相場は主に企業のビットコイン購入、NFT市場の急成長、法定通貨化により押し上げられたと言えるでしょう。
2022年「仮想通貨市場の低迷」
2021年にそれまでの過去最高値となる「1BTC=約760万円」を記録したビットコインは、2022年に入ると一転して下落トレンドに突入し、1月下旬には一時約400万円まで下落しました。
この下落の主な要因は、米国のFRB(連邦準備制度)によるテーパリングの実施に対する懸念と言われています。これにより、米国株をはじめとする株価が下落し、それに連動して暗号資産などの金融商品の価格も下落しました。加えて、ロシアの中央銀行が国内における暗号資産の利用とマイニングの禁止を提案したことも、価格下落の一因となりました。
その後、ビットコインの価格は緩やかに上昇し、400〜500万円台を推移しました。しかし、2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻開始を受けて市場は再び下落し、ビットコインは約500万円から約430万円まで下落しました。その後、侵攻が続く中で軟調な推移を続けたビットコインですが、株価の反発に合わせて反転上昇し始め、3月下旬には約580万円まで回復しました。
しかし、5月9日にアルゴリズム型ステーブルコインのUST(TerraUSD)が「1ドル=1UST」の価格を維持できなくなる問題が発生しました。これにより、USTのペグ(連動)を維持するためのガバナンストークンであるLUNA(テラ)の信用が低下し、価格も暴落しました。
2022年7月20日には、米EV大手「テスラ」が保有するビットコイン(BTC)の75%を売却したと発表したことを受けて、BTCは約320万円から約290万円まで下落しました。テスラのCEOイーロン・マスク氏は、売却理由を「中国のコロナロックダウンの影響による業績悪化に備えて、手元現金を最大化させるため」と説明しています。
度重なる悪材料により下落局面が続くと思われましたが、9月に入ると大型アップデート「The Merge」を控えたイーサリアム(ETH)を中心に、市場は復調し始めました。BTCも連れ高となり、約278万円から約320万円まで上昇しました。
しかし、11月に大手仮想通貨取引所「FTX Trading」を運営するFTXグループが資金不足による破産を迎えたことにより、相場は再び暗転しました。FTXの経営破綻を受けてリスク回避ムードが広がる中、BTCは約310万円から約230万円まで急落しました。FTX騒動の余波が収まらない中、2022年12月2日現在のBTCの価格は約230万円となっています。
2023年「ビットコインへの注目・期待度が高まる」
ビットコインは既存金融機関への不信感から注目を集め、2023年上半期の金融危機時にその期待が高まりました。2023年1月中旬、FTXやTerraの破綻後、懸念材料が減少しビットコイン価格が上昇。1月14日に2万ドルを回復し、2月17日には25,000ドルに達し、市場低迷に歯止めがかかりました。
3月、SVBとシグニチャーバンクの破綻で金融不安が拡大し、価値保存資産への需要が増加しました。その影響を受け、3月20日にビットコインは28,000ドルを突破し、4月には金融不安が続く中、ビットコインは30,000ドルを超えました。
5月、PEPEコインの影響でビットコインの取引に遅延が発生し、価格が27,000ドルまで下落。6月、SECの法的措置により一時24,000ドル台まで急落しましたが、ブラックロックのETF申請を機に再び30,000ドルを超えました。
7月、リップル裁判でのSEC敗訴でビットコインは31,000ドルを超えましたが、8月には中国恒大集団の破産申請やSpaceXのBTC売却で25,000ドル台まで下落。9月のインドの規制緩和期待、10月のグレースケール裁判でのSEC敗訴を受け、35,000ドル付近まで上昇しました。
12月、ビットコイン価格が40,000ドル台に回復。米利下げやETF承認への期待が要因とされています。2023年はインフレやドル高、AI企業への注目が集まる中、ビットコインは退避資産として注目されましたが、過去のバブル期ほどの大きな値動きは見られませんでした。しかし、FTX破綻前の水準まで回復し、金融不安時の強さを示しました。
2024年「ビットコインETF承認による追い風」
2023年の金融不安ムードから一転、2024年はビットコイン現物ETFの承認や半減期など明るい材料が多いため、市場に注目するユーザーが増えました。
2024年1月10日、米証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物ETFを承認すると発表しました。市場の反応としては、この出来事が既に価格に織り込まれていたためか、「事実売り」が発生し、一時的に4万1,300ドル付近まで下落しました。
ビットコイン現物ETFの承認により、投資家はSECの監督下にある証券会社の口座を通じて、株式と同様にビットコインを売買できるようになりました。さらに、証券会社が破綻しても投資家の資産は保護されます。
7兆ドルの市場規模を持つETF市場には、金や不動産に投資するETFが既に多く存在します。ビットコインの現物ETFが加わることで、機関投資家や個人投資家がより容易にビットコインを投資対象に組み入れられるようになると予想されます。
ビットコインの価格上昇への追い風は続き、2024年3月5日には1BTC=1,000万円の大台を突破し、3月12日には1BTC=1,050万円と過去最高値を記録しました。この価格上昇の背景には、ビットコイン現物ETFの米国での承認、マイクロストラテジー社のビットコイン追加購入、そして2024年4月に迎えた半減期への期待から、強気相場が形成されたと考えられます。
ビットコイン関連の注目記事はこちら
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル画像:Freepikのライセンス許諾により使用