米国証券取引委員会(SEC)は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は有価証券ではないと発表したことが6月14日に明らかになりました。しかしイニシャル・コイン・オファリング(ICO)のほとんどは規制の対象となるようです。
規制対象となる通貨
6月14日に開かれたヤフーファイナンス主催のサミットで、米国証券取引委員会(SEC)の関係者が「ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は有価証券ではない」と発表したことが明らかになりました。
該当するブロックチェーンネットワークが十分に分散化されているかどうかが判断の基準となったと見られており、ICOはほとんど全てがSECの規制対象となると予想されています。
SECで長い間行われていたこの議論では、仮想通貨全てをひとくくりにするのではなく、各通貨一つ一つを厳密に精査していく方針が発表されていました。
地方分権が重要
SECのコーポレートファイナンス部門でディレクターを務めているWilliam Hinman(ウィリアム・ヒンマン)氏は「ビットコインやイーサリアムのシステムは特定の機関によって集権的に管理されていないことから、証券としての規制は課されない
」と説明しています。
ヒンマン氏は特に「ビットコインは分散化されているため証券ではない」と述べています。またETHもクラウドセールを通じてイーサリアムから配布されたものではあるものの、現在のネットワークは十分に分散化されていて特定の団体がコントロールできるものではないことから、有価証券ではないと判断されたもようです。
Hinman氏は、リップル(XRP)などのようなその他の仮想通貨については言及しませんでしたが、「イーサリアムのようにはじめは有価証券的な側面をもつトークンであっても、ネットワークの分散化が進むにつれてその側面が薄れていく可能性がある
」とコメントしています。
「時間の経過とともに、有価証券として機能するトークンまたはコインを規制する必要がなくなる場合もあり、十分に分散されたネットワークおよびシステムが他にも存在する可能性があります。」
またICOに関しては、ユーザーがリターンなどの投資的価値を求めていないトークンなどは、規制の対象にはならない可能性があるとも説明されています。
証券に分類されたらどうなるのか?
仮想通貨が証券としてみなされた場合には、米国の仮想通貨取引所は有価証券を取引していることになるため、SECに登録する必要が出てきます。するとそれらの仮想通貨はSECに正式登録している取引所でしか売買することができなくなるため、流動性の低下にも繋がる可能性があり、それに伴って価値が下落する可能性も考えられます。
また証券法を守れないことで、罰金や有価証券の購入・販売により損害を受けたと主張する人たちからの民事訴訟といった、面倒な問題に発展する可能性もあります。
イーサリアムの開発メンバーは以前から「イーサリアムは証券ではない」と主張してきました。つまり、今回の決定によってこれまで多くの仮想通貨コミュニティーで議論されてきた大きな問題の一つが結論に至ったことになります。
今回のニュースはビットコインやイーサリアムにとって好材料のニュースと言えるでしょう。
ビットコインとイーサリアムの価格
今回の発表の後、ビットコインとイーサリアムの価格はやや回復傾向にあります。
70万円を下回っていたビットコインは発表後には、74万円近くまで回復しており、一時的に5万円近くまで下落していたイーサリアムは5万7,000円まで回復しています。
(引用:cnbc.com)