予測市場が禁止される可能性|仮想通貨業界の関係者はどう考えているのか?
予測市場関連の規則変更、仮想通貨業界が強く反発
米国では米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した予測市場関連の規則変更案に関する議論が活発化しており、仮想通貨業界からは規則変更に強く反対する意見も多数出ています。
この規則変更案は、政治・ゲーム・スポーツなどといった様々な分野で行われる"賭け行為"を規制対象とするもので、この規則変更案が採用された場合には予測市場が禁止される可能性があるとして、以前から注目を集めています。
仮想通貨業界では、2024年の米大統領選挙に向けて選挙結果になどに賭けることができる分散型予測市場プラットフォーム「Polymarket(ポリマーケット)」などが人気を集めているため、予測市場に関するルール変更はそのようなサービスや銘柄にも大きな影響を与える可能性があります。
仮想通貨否定派のエリザベス・ウォーレン氏をはじめとする米民主党議員は「米商品先物取引委員会(CFTC)は政治イベント関連で賭けを行うギャンブル行為を速やかに禁止するべき」との見解を表明していますが、その一方で仮想通貨業界の関係者らは規則変更案に強く反対しています。
規則変更に反対する意見は「Coinbase、Gemini、Robinhood、Crypto.com」などといった複数の仮想通貨企業関係者から出ており、Coinbaseの最高法務責任者であるポール・グレワル氏や、Geminiの共同創業者であるキャメロン・ウィンクルボス氏は以下のような反対意見を表明しています。
Coinbase最高法務責任者:ポール・グレワル氏の意見
- 予測市場は将来の経済における有望な分野である。今回の提案が採用されれば、多くの予測契約が正当な理由なく禁止される可能性がある。
- デリバティブ市場の健全性を維持するCFTCの使命は全面的に支持するが、今回の提案で予測市場を「ギャンブル」と広く定義するのは問題がある。
- 「ギャンブル」という曖昧な定義を使用すると、長年にわたる州法との関係に混乱をもたらす可能性があり、CFTCが規制する市場に悪影響を及ぼす可能性がある。
- 契約をカテゴリーとして評価する提案は公共の利益に反するものであり、CFTCの法的権限を超えている。また、今回の提案は予測市場の公共の利益を認識していない。
- 今回の提案を撤回し、学界・業界・政策関係者と協力しながら、公的利益を保護しつつイノベーションを促進する、よりバランスの取れたアプローチを採用することを求める。
Gemini共同創業者:キャメロン・ウィンクルボス氏の意見
- 分散型予測市場は、公共の利益に大きな役割を果たす革新的なシステムである。これらの市場は、将来の出来事に関する貴重な情報を提供するもので、その情報は財政的責任に基づいている。
- 予測市場は世論調査や評論家・専門家の意見とは違って「参加者が自らの予測に資金を賭ける」という特徴があるため、他の手段で得られない信頼性を得ることができる。
- そのようなことを踏まえて、Geminiはイベント契約を米国で一律に禁止するという提案の撤回を求める書簡をCFTCに提出した。このルールが適用されると、世界最大の予測市場である「Polymarket」などが影響を受けることになる。
- 慎重な規制とは「イノベーションと消費者保護のバランスを考慮し、未来を阻害するのではなく、適切なガードレールを設けて進めること」を指すが、今回の予測市場に関する規制は慎重さが欠けている。
- 今回のルール変更に関する決定は、経済的に大きな影響をもたらす非常に重要なものであるため、CFTCが正しい判断を下すことが必要不可欠となる。
- エリザベス・ウォーレン氏らの主張は政治的な動機によるもので、米国民の最善の利益に寄与するものではない。同氏のような政治家が過去4年間で政府機関に悪影響を与えてきたことは明らかである。エリザベス・ウォーレン氏とゲイリー・ゲンスラー氏はSECの信頼性を損なわせ、その評判を回復不可能なまでに傷付けてきた。
- CFTCではそのようなことが起きないよう、エリザベス・ウォーレン氏のような人物から距離を置いて、独立した立場で「米国と米国民のためになる正しい判断」を下して欲しい強く思っている。
- 最近の最高裁判決では「規制機関がルール作成を通じて権限を拡大することは許されない」ということが明確化されていて、今回の提案もCFTCの法的権限を超えたものであるため、規則変更の提案が採用されたとしても、裁判所によって無効化されるはず。
- CFTCは予測市場を否定するのではなく、今回の提案を撤回して、業界関係者と共に再考するべきである。
>>キャメロン・ウィンクルボス氏の投稿
>>Gemini公式発表
反対意見は仮想通貨業界の外からも
予測市場の禁止については、仮想通貨業界以外からも反対する意見が出ており、アメリカの名門大学であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のジョセフ・フィッシュキン法学教授は「予測市場は世論や政治的出来事に対する貴重な洞察を提供するものであり、米国でそれを締め出すような規制をすべきではない」と語っているとも伝えられています。
今回の規則変更提案は、米大統領選挙などの影響で急速に成長している予測市場に大きな影響を与える可能性があるものであり、現在は仮想通貨業界から多くの反対意見が出ているため、今後の動きなどには注目が集まっています。