中国の中央銀行である「中国人民銀行」が開発を進めていた、ブロックチェーン技術を活用した独自デジタル通貨がほぼ完成していることが明らかになりました。同銀行の幹部は2019年8月10日に開催された第3回「中国金融40人民春フォーラム」の中で『独自のデジタル通貨の準備はできている』と発言したと伝えられています。
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「中国の環境に特化した技術」を採用
中国人民銀行は5年間の研究を行なった末に「ブロックチェーン技術を用いた独自デジタル通貨」の開発を成功させたと伝えられています。
このデジタル通貨は、当初は純粋なブロックチェーンアーキテクチャに基づいて作成されていたものの、それでは小売業に必要な高いパフォーマンスを達成することができないため、“土地が広く人口が多い”という特徴を持つ中国の複雑な経済に対応できる「中国人民銀行」と「商業銀行」という2つの階層からなるオペレーティングシステムを採用しているとされています。
2層の運用システムを採用することによって「普及率を向上させ、商業銀行間でのイノベーションを促進することができる」と期待されており、小規模で頻繁に経済活動を行う小売業者にも使いやすいようにデザインされていると伝えられています。
要約すると、中国人民銀行は上位レベルであり、商業銀行は第2レベルです。この二重配信システムは、私たちの国の状況に適しています。
なお、このシステムは既存の送金システムや商業銀行の預金通貨と競合するものではなく、実体経済に悪影響を与えないと伝えられています。またこのシステムでは「現金管理・マネーロンダリング防止・テロ対策資金調達」に関する現在のすべての規制を遵守し、中国人民銀行の多額の資金と疑わしい取引を中国人民銀行に報告する必要があるとも説明されています。
中国人民銀行は、以前からFacebook(フェイスブック)が発表した仮想通貨「Libra(リブラ)」を懸念する意見を語っており、同銀行の前総裁である周小川(Zhou Xiaochuan)氏は、Libraは各国の通貨を弱める可能性があるため、中国政府は十分な準備をし、中国元をより強い通貨にするべきだと語っていました。
Libraのホワイトペーパーが公開された後に中国人民銀行は「デジタル通貨の開発を加速する」と発言していましたが、そこからわずか2ヶ月ほどで準備が整ったことになるため、今回の発言には注目が集まっています。しかしながらこのデジタル通貨が正式に発行される時期に関しては明らかにされていないため、詳しい発表は改めて行われると考えられます。