この記事の要点
- 中国・国家税務総局が2026年3月27日に通知を公表
- 銀行と税務機関の連携にブロックチェーン活用を正式奨励
- 第三者経由のデータ提供を禁止、経路を専用回線に限定
- 全国規模の銀行と税務総局が本部直結する新方式を試験導入
中国当局、融資審査基盤にブロックチェーン活用を推進
中国の国家税務総局と国家金融監督管理総局は2026年3月27日、銀行と税務機関のデータ連携(銀税互動)を強化・標準化する通知(税総納服発〔2026〕19号)を公表しました。
今回の措置では、ブロックチェーンやプライバシー計算の活用を正式に奨励し、金融と税務を横断するデータ基盤の高度化を国家主導で進める方針が示されています。
新たな枠組みでは、納税データの改ざん防止や監査証跡の確保を目的に、銀行と税務機関の連携モデルの革新が求められており、不正融資や脱税リスクの抑制を含む金融規制の透明性・効率性向上が見込まれています。
データ交換の経路についても規制が強化され、専用回線または融資信用サービスプラットフォームなど限定された手段のみが許容される一方、第三者を介したデータ提供は明確に禁止されました。これにより、情報流通の管理体制は一段と厳格化される見通しです。
さらに、全国規模の銀行と税務総局が本部同士で直接連携する「総対総」方式の試験導入も盛り込まれました。
従来の省単位の分散型連携から、全国統一型のデータ連携基盤への移行が視野に入ったことで、中国の金融インフラは新たな段階に進みつつあります。
BC活用で汚職犯罪への対策強化
通知が示す3つの柱|技術・経路・企業保護
改ざん防止と不正融資遮断が奨励の背景
「銀税互動」とは、税務機関が保有する納税信用情報を銀行と共有し、中小企業・小規模事業者・個人事業主の融資審査に活用する官民連携のデータ基盤です。今回の通知では、この仕組みを支える技術基盤や運用ルールの強化が打ち出されました。
通知では、各地の銀税双方がブロックチェーンやプライバシー計算などの技術を活用して連携モデルの革新を探ることを奨励するとしており、関連する革新的取り組みは税務総局および金融監督管理総局に同時報告することが求められています。
ブロックチェーンの採用が期待される場面として、通知は納税データの改ざん防止と監査証跡の確保を挙げています。
税務・金融監督当局および銀行の三者が共有する台帳上でデータの一貫性を担保することで、請求書の相互・循環発行による不正融資の排除にも寄与するとされています。
プライバシー計算技術の活用により、企業の納税情報を銀行側が直接参照することなく融資審査モデルへ適用できるため、企業の機密情報保護とデータ利活用の両立が図られるとしています。
第三者介在による不正流通に制度で対処
通知は、税務機関と銀行間のデータ交換について、専用回線・融資信用サービスプラットフォーム・両当局が構築した専用回線の三経路のみを許容し、それ以外の手段を禁じています。
この制限の背景には、既存の連携において中間事業者やシステムインテグレーターが介在し、企業の納税情報が不正に取得・流通するリスクが顕在化していた経緯があります。
金融監督管理総局は今回、銀行のデータセキュリティ監督業務に「銀税互動」のデータ保護状況を組み込み、情報技術の現地検査項目にも追加することを明確にしました。
また、銀行は融資申請時にサービス内容・法的責任・注意事項を企業に十分説明したうえで、企業が自らの意思で授権書に署名する手続きを義務付けています。権限範囲や期限を超えたデータ提供は、明確な違反行為として位置づけられています。
省単位から全国統一へ、連携構造が転換
今回の通知で新たに打ち出された「総対総」方式では、全国規模の銀行が本部レベルで税務総局と直接協定を結び、全国統一の銀税互動業務を一括管理する仕組みへの移行が可能となります。
従来は各省の税務局が銀行支店と個別に協定を締結する分散型の構造で、地域間でサービス水準に差異が生じていました。試験的運用が広がれば、全国で均質な融資信用サービスの提供が期待されます。
さらに、企業の規模分類(划型)においても税務データの活用が明記されました。
企業が授権した前提のもと、税務機関は銀行に対して業種・総資産・営業収益などの分類要素を提供し、銀行はその情報をもとに企業を正確に分類した上で融資支援を提供するとしています。
この仕組みにより、中小企業が実態に即した規模分類を受けられるようになり、これまで大企業向け基準で審査されていた融資条件が実態に合った形で設定される可能性があります。
中国エネルギー資産をオンチェーン化
アリババも動く、広がる中国のブロックチェーン活用
中国では、仮想通貨取引を厳しく制限する一方で、ブロックチェーン技術そのものは国家戦略として産業応用を推進する二元的なアプローチが続いています。今回の銀税連携への応用も、その政策路線に沿った展開となっています。
こうした動きは税務分野に限らず、アリババの越境EC部門がトークン化預金決済の導入を検討していることが明らかになっているなど、金融インフラへのブロックチェーン組み込みは中国国内で着実に広がりをみせています。
通知が実施段階へと移行し、ブロックチェーン活用の革新事例が各地から両当局に報告される運用が定着していくなかで、中国の金融規制インフラがどのような形で整備されていくか、今後の動向が注目されます。
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Source:税総納服発〔2026〕19号
サムネイル:AIによる生成画像



























