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カルダノ開発企業「米国下院小委員会でのスピーチ内容」公開|規制・技術活用などにコメント


カルダノ・エイダ(Cardano/ADA)の開発企業である「Input Output(IOG/IOHK)」は2022年6月23日に、米国下院で先日開かれた商品取引・エネルギー・信用に関する小委員会でチャールズ・ホスキンソン氏が語った内容を公開しました。

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米国下院農業委員会でのスピーチ内容を公開

Input Output(IOG/IOHK)は2022年6月23日に、米国下院で先日開かれた商品取引・エネルギー・信用に関する小委員会でIOGのCEOであるチャールズ・ホスキンソン氏が語った内容を公開しました。

カルダノ・エイダ(Cardano/ADA)の生みの親としても知られるチャールズ・ホスキンソン氏は、今月17日に『米国下院の農業委員会でブロックチェーンと暗号資産について話す正式な招待を受けたこと』を明かしていましたが、今回の発表ではチャールズ・ホスキンソン氏がこの小委員会で語った内容が紹介されています。

チャールズ・ホスキンソン氏は冒頭で『将来のデジタル資産規制に関して、十分な情報をもって、しっかりと議論するために、必要な情報を提供したいと思う』と語っており、具体的には以下のような複数の項目について話が行われたと報告されています。

Input Output Global(IOG)の背景

チャールズ・ホスキンソン氏は最初に自身がCEOを務める米国のエンジニアリング企業「Input Output Global(IOG)」について説明を行っており、同社が開発を行っている「Cardanoブロックチェーン」、デジタルIDを個人に提供するブロックチェーンベースの自己主権型IDソリューションである「Atala PRISM」、最近発表されたデジタルポータルである「Laceライトウォレット」などについても紹介を行っています。

また「IOGの研究チームがブロックチェーン技術に関する140以上の学術研究論文を発表していること」や「ワイオミング大学・カーネギーメロン大学・スタンフォード大学・エディンバラ大学などの学術機関と関係を持っていること」なども説明しており、米国以外の地域でも積極的に活動を行っていることが説明されています。

米国外での取り組みについては『アフリカ・エチオピア・タンザニア・ケニア・ブルンジなどアフリカの農村部にブロードバンドサービス拡大し、小口金融や融資市場を通じて金融包摂を高め、学生や教師にデジタルIDや検証可能なクレデンシャルを提供する手助けを行っている』と紹介されており、これらすべてがCardanoブロックチェーンを用いて行われていることも説明されています。

現実問題解決のためのブロックチェーン技術活用

ブロックチェーン技術(分散型台帳技術)については『透明性に優れ、監査が可能、タイムスタンプ付きで、不可変である必要がある情報を保存することができる技術』と説明した上で『これによって社会的経済的事項の記録を信頼性のあるプログラム可能なものにすることができる』と利点が強調されています。

パブリックブロックチェーンについては、本質的に分散化されていて管理者の許可なく誰でもネットワークにアクセスできる「パーミッションレス」であることも説明し、農場や牧場の規制・管理・情報共有などを例に挙げながらパブリックブロックチェーンが有用であることが説明されています。

Cardanoのブロックチェーン技術はすでに農業・畜産業・教育・金融など様々な分野で活用されていますが、今回の講演では以下のような複数の「Cardano活用事例」も挙げながらブロックチェーンのメリットを紹介、『これらのユースケースとプロジェクトは、ブロックチェーン技術が米国や農村部・遠隔地にもたらしうる、ある種の経済発展と成長の実例である』と説明されています。

ブロックチェーン業界の原則

デジタル資産規制・消費者保護・イノベーション促進などに関する議論については『イノベーションは詳細を困難にするがゆえに原則に焦点を当てるべきであることを認める謙虚さが必要』と説明されており、「現在のインターネットのイノベーションは特定の国際組織に管理されているわけではなく、何千もの相互接続した独立機関や民間会社の協力によって実現している」という例が挙げられています。

ホスキンソン氏は今回のスピーチで「米国政府とブロックチェーン業界の協力が重要であること」を説明しており、より柔軟性のある原則主義に基づく規制が必要であると語っています。

インターネットの規制の枠組みについて議論し、1兆ドル規模の企業の台頭につながった1990年代の連邦議会のように、私はこの議会がブロックチェーン業界と協力して我が国の革新と適応における優れた能力を活用する原則主義のアプローチに向かうことで、素晴らしい結果を出すことができると信じています。

特定の法域の壁に分断され、報告と開示を中央集権的機関のみに依存するカテゴリーベースの規制は、ブロックチェーンベースの分散型エコシステムでは効果的でなく、イノベーションを抑制することになるでしょう。一方、より柔軟性のある原則主義に基づく規制は、始まったばかりの業界の首を絞めたり、企業を海外に追いやることなく、黎明期のテクノロジーとともに適応、進化させることができます。

米国産業の支援における価値

ホスキンソン氏は『20世紀の米国の優位は金融サービス・テクノロジー企業・生産能力の3つの柱に拠っていた』と述べた上で『私はブロックチェーン業界は21世紀を通じてこれらの業界の信頼・コンプライアンス・競争力を可能にする基盤となるテクノロジーを構築しており、それによって次の米国の世紀を確実なものにすると信じている』ともコメントしています。

同氏はブロックチェーン技術を用いた台帳は「記録管理・レポート作成・監視のための驚異的なツール」であると述べており『分散型取引所をフロントランニングやセキュリティ違反から保護する概念は、Chainalysisなどのレグテック企業が政府機関・規制当局・エコノミスト・金融エンジニアに取引所に関する前例のない情報を提供するために使用することもできる。このデータのコレクションはパーミッションレスかつロイヤリティフリー。ダークプールはもうなく、中央集権的ブローカーももういない』とも語っています。

ただし、同氏はブロックチェーン技術を活用していく上で「どのようなリスクに対して消費者や市場を保護すべきか・消費者が得るべき基本的権利とは何か・このような新しいツールを最大限に活用する方法」などを判断しなければならないとも述べており、『米国で作られる規制や法律を遵守することはブロックチェーン業界・国・世界にとって指針となる価値を持たなければならない』とも語っています。

適切かつ信頼のおける規制の重要性

仮想通貨規制については「暗号資産が古い規制の収めることができない新しい資産クラスであること」や「すでに機能や特徴が異なる非常に多くの暗号資産が存在していること」を説明した上で、暗号資産を証券・商品などどのように分類しようと以下の3点を心に留めておく必要があると説明されています。

ホスキンソン氏は『米国の証券法は”中央集権的組織が存在すること”を前提として投資家と市場を保護しているため、ブロックチェーンなどの技術を推進する暗号資産の場合には単純かつ論理的に機能しえない』と述べており『信頼のおける規制は、ブロックチェーンテクノロジーが米国の競争力、米国のセキュリティ、とくにデジタルインフラ、米国の金融包摂、経済発展と成長の推進に果たすことのできる重要な役割を理解することから始めなければならない』と語っています。

結論

このように語ったホスキンソン氏は、スピーチのまとめとして最後に以下のように語っています。

暗号資産と、運営と機能を暗号資産に依存する幅広いブロックチェーン業界は、この十年で、非営利のボランティア開発者の小さな集団から、高度なエンジニアリング、科学研究、上場企業、そして、世界中でこうしたテクノロジーを使用する何千万もの人々を抱える、1兆ドル規模のグローバルエコシステムへと成長しました。

ブロックチェーンテクノロジーの大きな成長に匹敵するのはインターネットのみであり、より安価で効率的な支払いシステム、暗号により強化されたインフラセキュリティ、ガバナンスの新形態、自己主権型IDなど、間違いなく重要な機会をさまざまに生み出します。しかし、この新しいテクノロジーはまた新たな課題を提示し、従来の多くのシステムに既存の問題も増幅させています。カウンターパートのリスクや中央集権的仲介者の必要なしに情報と価値を瞬時に移動し、複雑なビジネスプロセスや構造を、素早くアップグレードすることができるオープンソースソフトウェアへとスリム化することで、グローバル規模で商業活動を思考するスピードで処理することが可能になります。

これらの実際のユースケース、業界の指針となる価値についての私見、およびブロックチェーン業界の将来についての考えを提示する機会をいただき感謝しています。私の知識とネットワークは、立法プロセスを支援するために、この小委員会でいつでもご利用ください。最後に、米国が米国のブロックチェーンおよび暗号通貨業界の規制の将来について議論する中で、今後数か月にわたって実り多い継続的な対話に参加できることを願っています。お時間いただきありがとうございます。ご質問を楽しみにしています。

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