仮想通貨などのソースコード公開の場GitHubをMicrosoftが買収
Microsoft(マイクロソフト)社は2018年6月4日、仮想通貨を含む様々なシステムのソースコードなどが共有されているWeb上のデータベースであるGitHub(ギットハブ)を75億ドル(約8200億円)で買収することを発表しました。このニュースは仮想通貨の開発者の間でも大きな話題となっています。
ギットハブの買収にマイクロソフトが合意
Microsoft社はGitHubを買収することに合意し、75億ドル(約8200億円)で買収することを2018年6月4日に発表しました。
GitHubは株式上場よりも会社売却を望んでおりサティア・ナデラ(Satya Nadella)最高経営責任者(CEO)に好印象を持ったことなどからマイクロソフトを売却先に選んだと報じられています。
ギットハブのCEOにはマイクロソフトが2016年に買収したザマリン(Xamarin)の創業者であり、現在はマイクロソフトのコーポレート・バイス・プレジデントを務めているナット・フリードマン(Nat Friedman)氏が就任します。またGitHubの現CEOであり創業者でもあるクリス・ワンストラス(Chris Wanstrath)氏はCEOを退任し、マイクロソフトのテクニカルフェローとなります。
写真左からGitHub創業者のクリス・ワンストラス氏、Microsoftのサティア・ナデラCEO、GitHubのCEOに就任するナット・フリードマン氏(米Microsoftから)
サンフランシスコに本拠を置くGitHubは、2015年に20億ドル(約2200億円)の評価を受けていますが、これまでのサービスで利益を挙げることができなかったことから、9カ月前から新しいCEOを探していました。
マイクロソフトはGitHubを買収することで、これまでマイクロソフトとは関連性の低かったオープンソースソフトウエア(OSS)コミュニティに所属する開発者にリーチできるようになります。またGitHubにとっては、エンタープライズ顧客へのサービスなども行うことができるようになるため、さらなる事業の拡大が見込まれています。
ナデラCEOは声明の中で次のように説明しました。
「マイクロソフトの直販部門やパートナー経由でGitHubをエンタープライズ顧客に売り込んでいく」
「マイクロソフトの開発ツールを新しい顧客に提供していく」
GitHub(ギットハブ)とは
GitHubとは、ソフトウェア開発プロジェクトのためのソースコード管理サービスです。
Web上で全ての人に公開されているこのサービスは、ソースコードの閲覧や簡単なバグ管理機能、SNSの機能を備えており、開発者にとって無くてはならないサービスとなっています。
もちろん仮想通貨関連の開発者にも利用されており、数多くの仮想通貨プロジェクトなどに関連するソースコードも公開されています。
利用されている分野は非常に幅広く、仮想通貨だけでなく人工知能(AI)やブロックチェーンなどのコードも公開されています。
仮想通貨コミュニティの反応
しかしこの発表の前に買収の噂が囁かれていた時の仮想通貨のコミュニティは、これらのニュースにはあまり満足していませんでした。
彼らはMicrosoftがGitHubを台無しにする可能性があると語っていました。
I am so disgusted by this. There is no GitHub replacement, we all know @microsoft will run it into the ground.
— Marco Peereboom (@marco_peereboom) 2018年6月4日
@WhalePanda
「あなたはGithubも得ることができました。
あなたがしなければならなかったことは、20億ドルのICOをつくることです」
@marco_peereboom
「私はこれにとても嫌悪感を覚えます。
GitHubの代わりになるものはありません、私たちはmicrosoftがそれをやりすぎるということを知っています。」
Linux Foundationに期待するユーザーも
また次のようなユーモアのあるコメントも投稿しています。
「Linux Foundationが『HitGub』を立ち上げるだけで、誰もがそれを使用するだろう」
マイクロソフトの製品を好まない人たちの間では、Linuxに期待を寄せているようです。
また別の投稿では「誰かがGitHubをフォークしなければならないだろう」とも書かれています。
GitHubユーザーから期待を集めているLinux FoundationはHyperledger Projectを推進しており、このプロジェクトにはRipple(リップル)社も参加することが発表されています。
数多くの団体が参加しているHyperledgerProject
GitHubは今後どうなる?
ブロックチェーンの技術やそれを応用した仮想通貨の本質的なプログラムはGitHubでオープンソースとして公開されていることが多いため、これを『オープンソース公開の場』を主題で運営してきた企業から『そうではない企業(今回でいうとマイクロソフト)』が買収するというのは非常に意味深いことでもあります。
Microsoftの創業者であるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏は以前にビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨に対して批判的な意見を語っており、「ビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨への投資は非常に愚かな投資であり、もし投資するなら空売りする」と述べています。
「資産の種類として見た場合何も創り出してはいないので価値が上がることを期待するべきではない。ある意味で単なる非常に愚かな理論の投資のようなものである」
「簡単な方法があるのであれば、空売りするということに同意する」
ビル・ゲイツ氏を含む世界の主要人物からの仮想通貨へのコメントはこちら
このような発言も踏まえて考えると、GitHubがMicrosoftの傘下に入ることは仮想通貨全体にも大きな影響を与えることが予想されます。
しかし現時点では『マイクロソフトは買収後もGitHubで利用できるプログラミング言語や開発ツール、運用環境などのオープン性は維持する』と発表されています。
具体的にどのような変化がもたらされるのかも含めて、今後のマイクロソフトの具体的なGitHubでの取り組みにも注目が集まります。