世界経済フォーラム(WEF)は2020年4月28日に、サプライチェーン管理でブロックチェーン技術を導入する際に活用することができるツールキット「Blockchain Deployment Toolkit」を公開しました。WEFは『ブロックチェーン技術の実装は、新型コロナウイルス(COVID-19)が収束した後の世界でサプライチェーンを改善する鍵になる』と述べています。
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サプライチェーンへの「ブロックチェーン導入」をサポート
世界経済フォーラム(WEF)は記事の冒頭で『新型コロナウイルス(COVID-19)はサプライチェーンの脆弱性を露呈させた』と指摘し、『ブロックチェーンなどのテクノロジーで業務効率を高め、利害関係者間の信頼性強化を図る良い機会であることを示している』と述べています。
しかしながらパンデミックのような危機的状況下ではそのような新しいテクノロジーを迅速に導入する必要があるため、そのような問題を解決するためにサプライチェーン管理にブロックチェーン技術を導入する際に活用することができるツールキットを公開したと説明されています。
WEFが公開したツールキットは、世界6大陸・50カ国以上の100を超える組織と協力して1年以上をかけて開発されたものであり、40種類以上のブロックチェーン活用事例を詳しく分析した上で開発されていると説明されています。協力している組織の中には「デロイト・マースク・世界銀行・国連世界食糧計画」などが含まれており、ツールキット自体も「サウジアラムコ・日立」などでテストが実施されていると報告されています。
公開されているツールキットは、
・生態系
・コンソーシアム形成
・コンソーシアムガバナンス
・デジタルアイデンティティ
・相互運用性
・構造(パブリック/プライベート)
・データ保護
・データの整合性
・個人情報の取り扱い
・サイバーセキュリティ
・法規制に対するコンプライアンス
・税金の影響
・財務報告と管理
・リスク要因
という合計14のセクションに分けて構成されているため、自らの目的に合わせて関連するセクションのみを確認し、ブロックチェーン技術導入時に役立てることができるように設計されています。
今回公開されたツールキットは、企業向けのブロックチェーンソリューションを展開している「R3社」によって、新型コロナウイルス関連の再保険システムにブロックチェーン技術を導入する概念実証にも応用される予定となっており、その他にも「政府機関と共にツールキットを拡張することも検討している」と報告されています。