仮想通貨先進国はマルタに軍配|どこで差がついたのか?
仮想通貨の取引高でマルタ共和国が世界一になったことが先月29日に明らかになりました。仮想通貨先進国として積極的な島国であるマルタと日本のちょっとした違いが今回の調査結果に大きな影響を与えているようです。
モルガン調査で取引高世界一
モルガン・スタンレーは先月29日、仮想通貨取引所の分布を各取引所のホームページで調査し、取引高に関してはCoinMarketCapを参照してランキングを発表しました。
この調査の結果、ブロックチェーンアイランドを目指しているマルタ共和国が、仮想通貨の取引高で世界最大のシェアを占めていることが明らかになりました。
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取引高が最も多い地域
この調査の結果、取引高が最も多かったのはマルタ共和国であり、2番目に多かったのが中央アメリカのベリーズ、3番目東アフリカのセーシェル、その次が米国といった結果となっています。
マルタ共和国は、日本、韓国、中国、米国のような大規模な国々を圧倒的に上回る取引高を記録しています。
取引所の数が最も多い国
また取引所の数では、イギリスが最も多いこともわかっています。
しかし、イギリスでの取引高は全体でみるとわずか1%となっています。
英国の次には、香港、米国、シンガポール、トルコといった国が挙げられています。
マルタはなぜ世界一になったのか
調査を行った関係者によると、マルタには取引所の数が少ないにも関わらずランキングトップになった背景には、世界で最も取引高の多い取引所であるBINANCEが拠点を移したことが大きな要因であるとのことです。
「世界最大の取引所バイナンスはマルタに本拠を移すと発表した。もしバイナンスを除けば、マルタの取引高の順位は、はるかに下になるだろう」
BINANCE(バイナンス)を歓迎したマルタ
世界でトップクラスの仮想通貨取引所であるBINANCE(バイナンス)は、2018年3月にアジア太平洋地域が「法的に不確実である」ため香港からマルタ島に拠点を移すことを発表しました。
マルタ政府はこの発表を快く受け入れており、マルタのジョセフ・マスカット首相はツイッター上では歓迎のメッセージを公開しています。
Welcome to #Malta ?? @binance. We aim to be the global trailblazers in the regulation of blockchain-based businesses and the jurisdiction of quality and choice for world class fintech companies -JM @SilvioSchembri https://t.co/3qtAQjOpuQ
— Joseph Muscat (@JosephMuscat_JM) 2018年3月23日
「バイナンス、マルタへようこそ。私たちはブロックチェーンビジネスの規制において世界の先駆者を目指し、世界クラスのフィンテック企業から選ばられるような司法制度を構築します。」
首相のメッセージに対してバイナンスCEOが送ったメッセージは?
ブロックチェーンのリーダー
このツイートでも述べられているように、マルタはブロックチェーン関連のビジネスを推進させる世界のリーダーになることを目指しています。 国外の取引所を受け入れるだけでなく、ブロックチェーン技術の可能性をより良く活用するための法整備を行うことを発表しています。
4月13日には、マルタ金融サービス庁(MFSA)が仮想通貨トークンを合法的に定義し、金融商品をテストする可能性を協議した内容をまとめた文章が公式サイトで発表されています。
このような意欲的な姿勢や取り組みが多くの仮想通貨関連企業や投資家をマルタに集めたことにより、今回の結果をもたらしたと言えるでしょう。
MFSAが公開した文章とは?
取引量ランキングでの日本の順位
では仮想通貨先進国ともいわれる日本の順位は何番目だったのでしょうか?
以外にも日本での取引高は世界でみるとそこまで多いわけではなく、9番目にランクインしています。
日本もマルタと同じように早い段階からブロックチェーンや仮想通貨に対して前向きな対応をみせており、法整備に関しては特に早くから着手していました。しかし日本とマルタの考え方には大きな違いがあります。
マルタ政府が多くの仮想通貨を取り扱うバイナンスなどの取引所を受け入れる一方、日本政府は取り扱う仮想通貨を慎重に見極めているようで、ビットコイン(BTC)/イーサリアム(ETH)/リップル(XRP)/ネム(XEM)などの主要な仮想通貨以外を取り扱う取引所は受け入れていません。
BINANCEは日本にも取引所を開設する計画を明かしていましたが、日本政府はこれに対して厳しい対応をとっています。
日本の金融庁は3月23日に、Binanceを「無登録で仮想通貨交換業を行う者」として正式に公表しました。
その罪状は「インターネットを通じて、日本居住者を相手方として、仮想通貨交換業を行っていたもの」と記されています。
この決定は今回の結果に大きな影響を与えているでしょう。
主要通貨以外の仮想通貨は種類も多いため全体でみると取引高に与える影響も大きくなります。
ここから生まれる大きな差が日本の順位を下げることにつながっていると考えられます。
日本は、主要な仮想通貨の取引高は非常に多いことが明らかになっています。
日本国内の取引所であるbitbank(ビットバンク)は、リップル(Ripple/XRP)の取引量で世界一になったことを発表しています。
bitbankの発表はこちら
2つの仮想通貨先進国の今後に注目
もし日本政府がバイナンスの取引所を受け入れていた場合は、今回の調査の結果も大きく変わっていたでしょう。
しかし日本政府は以前から現在の姿勢を保っています。少しづつ取り扱うことができる通貨も増えてきてはいますが、バイナンスで取り扱うほどの通貨を認めるということは今のところ考えられません。
これは日本の投資家を詐欺コインなどの被害から保護することを主な理由としています。
仮想通貨の先進国として異なったアプローチを取っている、マルタと日本の今後の取り組みや取引高などの変化には今後も注目が集まります。
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