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それぞれの指で異なる仮想通貨ウォレットを管理?バイオメトリクスウォレットが誕生

バイオメトリクスウォレットの概念実証を開始

Web3関連事業を展開している株式会社アトノイは2024年2月1日に、株式会社モフィリアと共同で、指一本で暗号資産やNFTを受け取れる「バイオメトリクスウォレット」の概念実証(PoC)を開始したことを発表しました。

今回の概念実証は「指静脈の生体情報(バイオメトリクス)を活用してブロックチェーン上にウォレットアドレスを生成し、NFTなどのトークンを容易に受け取れるようにするサービス」に関するものとなっています。

株式会社モフィリアは、2010年12月にソニー株式会社が開発した独自の指静脈認証技術を継承して独立した企業であり、「小型軽量・高速認証・快適操作」をスローガンとして、最も精度の高い生体認証の一つとして評価されている静脈認証の技術をより使いやすく、どこでも利用できる世界の実現に向けてサービスを提供しています。

バイオメトリックスウォレットとは

(画像:株式会社アトノイ)

バイオメトリックスウォレットとは、指の静脈認証から生成されたデータを利用して唯一無二のウォレットを作成する技術で、「親・兄弟・双子であっても静脈は異なるため、本人だけが持つことができる特別なウォレットが生成できる」と説明されています。

また、それぞれの指に対応した仮想通貨ウォレットを作成して管理することもできるため、それぞれの指にブロックチェーンを割り当てるなど、目的に合わせたウォレット生成が可能になるとも説明されています。

静脈認証とは

静脈認証とは、個々の静脈パターンを用いてユーザーを識別する生体認証技術であり、静脈のパターンは一人一人異なるため、他の生体認証技術よりも高い認証精度を誇っていると伝えられています。

この技術を活用すれば指や手をセンサーにかざすだけで読み取り認証を行うことが可能で、指の表面に汚れや傷跡があっても認証の精度に影響を及ぼしにくい他、静脈のパターンは外部から見えないため、指紋認証や顔認証のようななりすましを行うことが難しくなります。

SBTの受け取りに関する概念実証を実施

バイオメトリクスウォレットの概念実証における最初の取り組みでは、移転不可能なNFTであるSBT(ソウルバウンドトークン)の受け取りに特化したプロジェクトの概念実証を実施すると報告されています。

これまでのウォレット作成はセキュリティ上の理由から手間がかかっていましたが、今回の概念実証では指1本で簡単にウォレットアドレスを生成し、その場でSBTを受け取ることができるため、ウォレット作成時のユーザビリティ向上と参加者の機会損失の軽減につながると期待されています。

アトノイとモフィリアは現在、概念実証に協力できる企業・団体・投資家を募集しているとのことで、「ユーザー向けUI/UXのシステム開発やSBTの配布を行うサービス提供事業者」や「システム開発に資金を提供して頂ける投資家」など様々な形での協力を募集していると説明されています。

また「概念実証終了後には、協力者それぞれの利害に合わせて、今後の本プロジェクトの正式リリースにおいてステークホルダーとして積極的に参加していただけることを期待している」とも説明されています。

概念実証の概要については以下のように報告されています。

BtoC向けのユースケース

SBTは他人への移転や転売が不要で、永続的に個人に帰属することが重要。具体的な例としては以下のようなものが対象となる。

ウォレット生成1:静脈情報をseedとして秘密鍵を生成(画像:株式会社アトノイ)

ウォレット生成2:イベント会場で専用デバイスで静脈情報の読取(画像:株式会社アトノイ)

(画像:株式会社アトノイ)

将来的には、株式会社モフィリアが最近発表した薄型フィルムによる静脈情報の読み取り機器を利用して「キーホルダー型のスマホ連動デバイス」を販売することで、どこからでも簡単に秘密鍵を生成し、NFTの移転に必要な署名を行うことで他人への移転が可能なNFTにも対応できるようになる。

BtoB向けのユースケース

暗号資産取引所・カストディ業者・暗号資産信託会社などといった多くの暗号資産を保有する企業は、その仮想通貨の保管用ウォレットの管理を非常に厳格に行わなければならない。

ほとんどの場合、これらの企業はマルチシグ(多重署名)の仕組みを採用し、秘密鍵を役員や社員によって分散管理しているが、秘密鍵はハードウォレットや専用ハードウェア、または専門業者のサービスを利用していることが多く手順が複雑になりがちで、一定のランニングコストがかかる。

バイオメトリクスウォレットの仕組みを活用すると、秘密鍵の分散管理を指の認識に委託できるため、ハードウェアウォレット・専用ハード・専門業者が不要となり、高いセキュリティを確保できる。

また、保管用ウォレットにアクセスする場合には、通常セキュリティが厳格な部屋への入退室が必要となるが、これを静脈認証によって置き換えることによって、追加のセキュリティが確立される。

マルチシグウォレット生成(画像:株式会社アトノイ)

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