
フィデリティ、イーサリアムベースの「FYHXX」申請|MMFをトークン化
フィデリティがFYHXXのオンチェーンクラス立ち上げ
米国大手資産運用会社のフィデリティが2025年3月21日に、FYHXX(フィデリティトレジャリーデジタルファンド)のオンチェーンクラスを立ち上げることが明らかになりました。
FYHXXは、フィデリティによって立ち上げられたマネー・マーケット・ファンド(MMF)の1つです。同ファンドは資産の大半を、米国債および現金に投資しています。
同社がSEC(米国証券取引委員会)に提出した申請によると、FYHXXに「オンチェーン」という名称のシェアクラスが新設されます。同シェアクラスの管理や記録にはイーサリアム(ETH)が使用され、所有にあたってデジタルウォレットが必要です。
同申請において明記されているブロックチェーンはイーサリアムのみですが、今後別のブロックチェーンを使用する可能性を示唆していることから、複数のブロックチェーンでローンチされる可能性もあります。
上記に加えて、今後二次取引に対応する可能性についても言及しており、同申請では以下のように記載されています。
ブロックチェーン上または二次取引市場で、投資家間(ピアツーピア)で購入、販売、または譲渡できるようになる可能性があります。
ファンドは、現在オンチェーンクラスのシェアを二次市場で取引可能にする契約を結んでいませんが、将来的にそのような契約を締結する可能性があります。
DeFiのTVLが減少する一方でRWAは成長中
フィデリティによるFYHXXのオンチェーン化の背景には、成長を続けるRWA(現実世界の資産)市場が挙げられます。
DeFiのデータを収集するDeFiLlamaによると、DeFi全体のTVLは3月24日時点で約930億ドル(約13兆円)を記録しています。年初の約1,160億ドル(約17兆円)と比較すると、下落傾向が見られている状況です。
一方で、RWA市場は順調に拡大を続けています。RWA関連のデータを収集するプラットフォームであるrwa.xyzによると、3月24日時点でオンチェーンのRWA資産の合計は約192億ドル(約2.8兆円)を記録しており、過去1ヶ月で約18%増加しました。
FYHXXと競合する米国債のトークン化ファンドについても成長傾向が見られています。同プラットフォームによると、流通しているトークン化された米国債の価値は、過去1週間で約3%増加しました。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.7円)
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Souce:SEC申請書類
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像