「今すぐ仮想通貨プラットフォームから離れるべき」米SECの元弁護士が警告

by BITTIMES

中立的な立場から「米SECの方針は正しい」とコメント

米国証券取引委員会(SEC)の弁護士として20年以上勤務してきた経歴を持つジョン・リード・スターク氏は2023年6月8日に、米SECが仮想通貨関連の取り締まりを強化していることについてコメントし、『今すぐ仮想通貨プラットフォームから離れるべき』と警告しました。

ジョン・リード・スターク氏は"元SECインターネット執行局長"として知られていますが、今回のツイートの冒頭では『私に"SECの回し者"とレッテルを貼る前に、私がSECに対して批判的な立場であることを念頭に置いて欲しい』と説明されています。

また同氏は『私は仮想通貨業界に何の利害関係も持っておらず、100%客観的で独立した立場を取っていて、常に真実を求めている』とも説明しており、中立的な立場からの見解として『米SECは仮想通貨関連の取り締まりで的確な判断を下している』との考え語っています。

仮想通貨プラットフォームの規制・取り締まりは始まったばかりだと語るスターク氏は『仮想通貨取引プラットフォームがハイリスクで危険なものであり、本質的に安全でないことは事実である』と述べており、自身の考えについて以下のような説明を行なっています。

未登録の仮想通貨取引所が問題となる理由

米SECへの登録を行なっていない仮想通貨取引所が問題となる理由については「SECへの登録が行われていない場合は、問題発生時に必要な情報を瞬時に取得することができず、違法行為を防止したり、犯罪者を適切に処分したりすることができない」ということが説明されています。

スターク氏は最初に「米SECに登録された金融機関に義務付けられる項目」について以下の4点を挙げて説明を行なっており、『金融サービスを提供する事業者は顧客資産へのアクセスや管理を慎重に行い、すべての利用者を保護するための十分な対策を行う必要がある』と説明しています。

【登録済み金融機関に義務付けられること】

  1. 投資家の資金や証券が利益相反なく適切に扱われることを義務付ける
  2. 「仮想通貨プラットフォームで取引される証券は流動性が低く、投機的であり、購入にリスクが伴う」ということを投資家が理解できるようにする必要がある
  3. 仮想通貨プラットフォームで取引される証券の最終価格を購入者に認識させる必要がある
  4. 取引の方針・慣行・手続に関する適切な情報開示を行う必要がある

米SECは「SECに登録されている伝統的な金融機関」に関するあらゆる情報を瞬時に確認することができるようになっているとのことですが、未登録の仮想通貨取引プラットフォームに関しては不正行為を検出・調査・抑止することができないため、仮想通貨市場は監視が行き届いていない状態で運営され、以下のような問題が発生していると指摘されています。

【仮想通貨プラットフォームの問題点】

  • 透明性のある監視プログラムがないため、SECは市場の取引や清算活動・顧客の身元情報・その他リスクや詐欺に関する重要データを分析・確認することができない
  • 仮想通貨取引・運営・プロモーションなどに関与する個人のライセンスがないため、SECは個別の不正行為を検出して、違反を取り締まることができない
  • 金融機関の責任構造や受託者がないため、SECはすべての顧客の利益が保護・尊重されていることを確認できない
  • コンプライアンス体制・インフラなどの理由からSECは対象暗号資産の発行元・大口保有者などを知ることができず、必要となる調査・検査・巡回・監督・検証などを行うことができない

伝統金融と仮想通貨プラットフォームの違い

今回のツイートでは「暗号資産取引プラットフォームと伝統的な金融機関の間には大きな違いがある」とも説明されており、暗号資産取引プラットフォームの具体的な特徴・問題点として以下のような点が挙げられています。

  • 運営・コミュニケーション・取引・ビジネスなどその他側面に関する記録保持とアーカイブの要件がない
  • 取引の価格設定や注文フロー・従業員による社内プラットフォームや決済システムの使用に関する要件がない
  • 市場操作やインサイダー取引など、従業員や顧客の不正行為を禁止する要件がない
  • オンライン攻撃対策や顧客のプライバシーを保護するためのサイバーセキュリティ要件や基準がない
  • トレーニングや行動規範の要件・義務付けがない
  • 顧客の苦情に対処してアーカイブするための社内コンプライアンス・顧客サービス・内部告発チーム設置が義務付けられていない
  • 紛争や問題が発生した場合に請求を取り消す義務がない
  • 顧客の苦情を解決・管理するための堅牢で文書化されたプロセスの要件がない(取引所に対する正式な苦情の提出があっても、匿名性などといった仮想通貨の特徴から、法執行機関が犯罪者の活動を調査・逮捕するのは非常に困難)
  • 公に発表された国内の最良入札価格やその他の最良執行要件に従う義務がない
  • 取引の公正性・実行性・透明性を検査・精査する客観的な監査人・審査員からなる米国政府のチームがない
  • 注文のやり取り・執行方法など取引操作の一貫性を保証する義務がない
  • 従業員が暗号通貨やNFT投資に投資することを禁止するようなウォール街の事業体に対する倫理・遵守規定を設計する義務がない

ジョン・リード・スターク氏は『これらすべては単純明快で常識的な話であり、米SECは投資家をリスクから守り、資本市場をグローバルなシステミックリスクから守るための重要な要件を定めている』と説明しており、『米国市場はこの要件を定めることによって世界で最も安全で、最も堅牢で、最も活気がある市場の1つになっている』とコメントしています。

なお、スターク氏は今回のツイートの最後で、"今回の投稿は一般読者のための誠実な説明である"ということも説明しており、『どうぞ遠慮なく憎しみをぶつけて欲しい』とも語っています。

>>規制関連の最新記事はこちら

スターク氏のツイート

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