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イスラエルが仮想通貨とマネーロンダリングに関する草案を公表

イスラエルの財務省は仮想通貨を通じたマネーロンダリングなどを適切に規制するための重要なステップとなる草案を発表しました。現地のビットコインコミュニティはこの草案を歓迎しています。

金融サービスの『適切な規制』に向けた重要なステップ

イスラエルの財務省は、同国の銀行が仮想通貨関連企業に対して資金の受け入れを拒否していたことなどを受け、仮想通貨を使ったマネーロンダリング(資金洗浄)などを適切に規制するための新たな草案を発表しました。

この草案は、Moshe Kahlon(モシュ・カロン)財務大臣によって署名され、6月1日には金融サービスプロバイダーを対象とした新しい法律が施行されます。

この法律はオフ・バンキング信用業界の規制を含む、非銀行または制度機関によって提供される金融サービスの規制における重要なステップとなります。

草案の注釈としては次のように説明されています。

2016年8月1日、金融サービス法の規制(5766-2016)は公認公報に掲載されました。公認公報は、信用供与と金融資産の奉仕のライセンスを取得する必要がある人物の活動を規制しています。

この法律は、オフ・バンキング信用業界の規制を含む、非銀行または制度機関によって提供される金融サービスの規制における重要な段階であった。その後の法改正により、他の金融サービス提供者の活動が規制されました。

金融資産におけるサービスの定義は「金融サービス」という用語を置き換えて拡張することを意図したものであり、アクティビティを通じて金融資産で実行されるすべてのアクティビティとサービスを含み、クレジットの付与はありません。

この定義に追加された金融資産の中には、近年発展している分野において有形資産や標準的な財務手段以外での「金融サービスの監督」を可能にする意図のある「仮想通貨」が含まれます。

発表された草案には、初めてとなるデジタル資産プロバイダーのための規定が含まれており、法を実施するための具体的な規定が記述されています。これらの内容は新しい法律に追加されることになります。

イスラエルのビットコインコミュ二ティは規制を歓迎

イスラエルのメディアであるglobesは、この件についてイスラエルのビットコインコミュニティからは好意的な回答を受けたと報じています。

イスラエルのビットコイン協会の会長を務めているManny Rosenfield(マニー・ローゼンフィールド)氏は次のように述べています。

銀行がデジタル通貨からの資金を受け入れることを拒否していることの多くにおいて、我々はその分野が規制されていないという声明を交わしています。

この命令は、当事者に規制当局の確実性を提供し、銀行や金融機関が規則を遵守している人と支払うことができる人を知ることを可能にする、許可され、禁じられているルールを定義します。

私たちは数週間前にイスラエルのマネーロンダリング防止局にその件についての提案書を提出し、規制当局の迅速な対応を歓迎して、現場に携わる人たちが業務を遂行できるようにしました。

イスラエルに関するニュース

イスラエルの銀行が仮想通貨に関連する資金の受け入れを拒否した事例は、過去にも数多く報告されています。

仮想通貨交換所Bits of Goldの事例

今年の2月には、同国のレウミ銀行(Leumi Bank)が裁判にかけられた後に、仮想通貨関連の資金を受け入れるように命じられています。

イスラエル最高裁はレウミ銀行に対して、仮想通貨交換所Bits of Goldの銀行口座を制限することを禁止する臨時裁判所命令を出しました。

レウミ銀行はこの決定について「イスラエル銀行が発行した命令に沿ったものである」と主張していましたが、実際に発行された命令はオンラインギャンブル業界に適用される規制の制限の一部であったことがわかっています。

このようなことを受けたイスラエル最高裁は、レウミ銀行がそれまでに行なってきた『仮想通貨取引所に対する制限を禁止する』という臨時裁判所命令を下しています。

Bits of Goldでリスク・マネージャーを務めているYael Naaman(ヤエル・ナーマン)氏は、今回の当局の行動について次のようにコメントしています。

イスラエルのマネーロンダリング禁止庁は、ここで迅速かつ決定的な行動を行い、市場をタイムリーに解決することを期待しています。

しかし残念なことに、当局はリモートユーザ識別技術を使用して、顔認識のバイオメトリック技術を含む疑わしい行為を識別することができないように指定し、物理的に到着することなく顧客を識別できるようにしました。

私たちは、これを最終注文に加える権限を要請します

レウミ銀行のニュースはこちらで紹介しています

マイニング企業Israminers Ltdの事例

イスラエルで6番目に大きい銀行であるユニオンバンクは、マイニング(採掘)企業である「Israminers Ltd」の口座を拒否しました。

Israminersは当時、「ユニオンバンクはビットコイン(BTC)取引による利益の預け入れを受け入れず、口座にすでに預け入れられていた資金を引き出すことすらも許可しないことを一方的に決定した」と非難したのに対し、ユニオンバンクは30日以内にこの口座を閉鎖すると発表しました。。

法律事務所のオーナーでもあるIsraminersの創設者は、このユニオンバンクによる一方的な決定を裁判所に提出し、銀行の決定による執行猶予を求め、Israminersはイスラエルの規制当局にユニオンバンクに対する正式な訴えを提出しました。

その後ヘルズリヤ法廷がこの訴えを受け入れ、ユニオンバンクに一時的な命令を提示しています。

イスラエルにおける仮想通貨と銀行の関係

イスラエルのブロックチェーン企業

イスラエルの銀行は以前から仮想通貨企業へ厳しい姿勢を見せていましたが、イスラエル政府や規制当局は仮想通貨に対して前向きな取り組みを行なってきました。

同国の規制当局関係者は以前に、イスラエルが仮想通貨先進国になることを目指していることを次のように語っています。

「技術を禁止し進歩を妨げるような領土にはなりたくありません。それどころか、私たちは『クリプトバレー』になりたいと思っています。」

実際にイスラエルには、高い技術力を備えた有名なブロックチェーン関連企業が拠点を置いています。

世界初のブロックチェーンスマートフォンを開発する|SIRIN LABS

世界初のブロックチェーンスマートフォンである『FINNEY™phone』を開発しているSIRIN LABSは、研究開発拠点をイスラエルに置いています。

ICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行いSIRIN LABS Token(SRN)を発行したSIRIN LABSは、2017年12月12日~26日までの期間で約177億円もの資金を調達しています。

mobliやYoの創業者であるイスラエルの連続起業家Moshe Hogeg氏や、2016年にイスラエルのMost Active VCに選出されたSingulariteam創設者であるKenges Rakishev氏のほか、イスラエル国防軍のサイバー攻撃・防御の超精鋭部隊である「8200部隊」の元幹部のチームによって2013年に設立されたSIRIN LABSは、この数ヶ月で複数の取引所にも上場しており、現在も世界から注目を集めています。

SirinLabsに関する詳しい情報はこちら

イスラエルメンバーが率いる分散型プラットフォーム|ORBS

オーブス(ORBS)は、世界で使用されるブロックチェーンを基盤としたアプリケーションのインフラストラクチャ(下部構造)の構築を目指すしている仮想通貨プロジェクトです。

世界的に注目されているにも関わらず情報が少ないため、謎も多いとされるORBSは、イスラエルのビットコインコミュニティのベテランメンバーであり、イスラエルで最初のICOを行ったブロックチェーン企業の人物でもあるDaniel Peled(ダニエル・ペリード)氏などが主導しており、SIRIN LABSとも関わりがあるとも言われています。

ORBSはサーバーやソフトを、一括したオンラインのレンタルサービスとして提供することによって、より簡単に安全な方法でウェブサービスやアプリケーションを開発することを可能にする革新的なプロジェクトに取り組んでいます。

AI(人工知能)を用いた未来予測プラットフォーム|Endor

Endor(エンドール)とは、イスラエルのEndor社が提供する「人工知能などの技術を活用した未来予測のプラットフォーム」です。

Endor.coin(エンドール・コイン)とも呼ばれるこのプロジェクトは、人工知能(AI)によるデータ分析を民主化することにより、手軽に利用できる正確な未来予測のサービスを全ての人に提供することを目的としています。

創業者であるAlex Pentland(アレックス・ペントランド)氏は、MIT出身の科学者でありForbesからは「世界で最も強力なデータ科学者の1人」であると紹介されています。

Endor社は、現在約500社の大手企業の独占状態となっている情報科学の分野を民主化することを目的としています。

Endorについての詳しい情報はこちら

イスラエルの最先端テクノロジーに期待

イスラエルの銀行がこれまでに行なってきた行動は、イスラエルで仮想通貨に携わる企業にとって重要な問題となっていました。適切な法整備が行なわれることで金融サービスが適切に提供されることになれば、イスラエルのブロックチェーン企業が秘めた高い技術力にも大きな可能性がもたらされます。

今すぐ必要なものに的を絞り、徹底して開発に取り組むことで実用性の高い研究を進めているイスラエルは、世界最先端の技術力を誇ると言われています。

イスラエルでは小学校の段階から全ての国民にプログラミング教育を義務付けているとも言われており、特に優秀な理工系の学生は国からの選抜で『8200部隊』と呼ばれる軍の研究開発部門に配属され、最先端の軍事技術の中核を担っています。

また軍事技術の民間転用を促進しているため多くの若者が起業しており、これらの環境が起業家精神と高い技術力を備えた優秀な人材やスタートアップ企業を続々と生み出しています。

高度な技術力を備えているにも関わらず、これまであまり表に出ることのなかったプロジェクトが本格的に始動する日は近いのかもしれません。

イスラエルのテルアビブに本社を置くEndor社は、すでにコカコーラ/ウォルマート/マスターカードなどの時価総額数十兆円規模の企業と協力してプロジェクトに取り組んでいます。

(引用:globes.co.il