
「2028年末までにXRPの時価総額はETHを超える」スタンダード・チャータード銀行
XRPがETHを抜く?スタンダード・チャータード銀行予想
英大手銀行スタンダード・チャータード銀行は2025年4月8日に、仮想通貨リップル(XRP)の価格が2028年末までに12.50ドルに達し、時価総額でイーサリアム(ETH)を上回る可能性があるとの見解を示しました。
スタンダード・チャータードのデジタル資産調査責任者ジェフリー・ケンドリック氏は「2028年末までにXRPの時価総額がETHを追い抜く」と述べており、約3年後にはXRP価格が現在の5倍超(記事執筆時点の価格は約1.8ドル)まで上昇すると予想しています。
この大胆な見通しは、昨年末の米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選して以降続くXRPの力強い上昇傾向を背景に示されたものです。トランプ氏勝利後の2ヶ月間でXRP価格は6倍に急騰し、主要仮想通貨(暗号資産)の中で最大の上昇率を記録しました。
スタンダード・チャータードのレポートでは、この上昇を一時的な盛り上がりではなく「持続可能な動き」と位置付けています。
XRPが市場を牽引する4つの根拠
スタンダード・チャータードのレポートがXRP高騰の根拠として挙げたポイントは以下のとおりです。
クロスボーダー決済での優位性
XRPは国境を越えた資金移動に特化したブロックチェーン「XRP Ledger(XRPL)」を基盤に持ち、デジタル資産の中で送金用途の主要な存在になる可能性を秘めています。
レポートは「XRPは成長著しいクロスボーダー送金・通貨間決済分野の中心に独自の地位を築いている」と指摘しました。実際、近年は米ドル連動型ステーブルコインを活用した国際送金が大幅に増加しており、XRPの用途拡大にも好影響を与えています。
国際送金サービスを強化
トークン化市場の拡大
リップル社は近年、XRPL上でのRWA(現実資産)のトークン化にも注力しています。
スタンダード・チャータードは、既に他チェーンで国債やマネー・マーケット・ファンドのオンチェーン化が始まっている点に触れ「XRPLもステーブルコインの用途で成果を上げているステラ(XLM)の事例に倣い、トークン化プラットフォームとして成功するだろう」と分析しています。
これによりXRPが伝統的な金融市場の資産をブロックチェーン上に取り込む流れに参入し、中長期的な需要拡大につながると期待されています。
規制面の追い風
2024年末の米政権交代以降、SEC(米国証券取引委員会)の仮想通貨規制姿勢が緩和され、XRPを取り巻く法的リスクが軽減されました。SECが提起していたXRPを巡る訴訟は2025年3月に控訴取り下げで決着しており、XRP自体は「証券ではない」との司法判断が確定しています。
SEC委員長は仮想通貨に理解のある人物への交代が予定されており、XRPに対する規制の見通しが明確になったことが楽観的な予想を支える要因となりました。
4年にわたるRipple訴訟がついに決着
ETF承認による資金流入
レポートでは、XRP現物ETF(上場投資信託)の早期承認も価格上昇の後押しになると指摘しています。具体的には「2025年第3四半期に米国でXRPの現物ETFが承認される」と予測し、初年度で40億~80億ドル規模(約5,900億~1.2兆円)の資金流入が見込まれると分析しています。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のETFの資金流入実績を踏まえた試算で、XRPも同等の需要を集められるとの見方です。
また、リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOも今年3月に「2025年後半までにXRP現物ETFが承認される可能性が高い」との見解を示しており、業界内でもXRP ETF実現への期待が広がっています。
スタンダード・チャータードは、これらの好材料が重なれば「XRPは今後数年間ビットコインの価格上昇ペースに匹敵する伸びを見せる」と結論付けました。
一方で課題として、XRPLの開発者数や手数料収入が他チェーンに比べ少ない点も挙げていますが、その弱点を十分に補う良好な環境が整っていると評価しています。
なお、同レポートではビットコインやアバランチ(AVAX)なども「恩恵を受ける有望銘柄」に挙げられた一方、イーサリアム(ETH)は成長が他より鈍化する苦戦組と位置付けられており、この分析でもXRPの相対的優位性が強調されています。
ブラジルでXRP現物ETFが承認
XRP関連の最新動向まとめ
スタンダード・チャータードの強気予測を裏付けるように、XRPを取り巻く良好なニュースが続いています。以下に最近の主な動向をまとめます。
リップル社の大型買収
リップル社は4月8日、複数資産に対応するプライムブローカー企業Hidden Road Partners社を12億5,000万ドル(約1,900億円)で買収すると正式発表しました。
仮想通貨業界では過去最大級の買収案件であり、これによりリップル社は世界初の国際的な複数資産対応プライムブローカーを傘下に収めることになります。Hidden Road社は年間3兆ドル(約435兆2,400億円)規模の取引清算を手掛ける実績があり、リップル社の資金力を背景にさらなる事業拡大が見込まれます。
リップル社のガーリングハウスCEOは「前SEC体制の規制の制約がなくなり、米国市場が初めて本格的に開放された」と述べており、この買収は従来の金融と暗号資産の橋渡しを担う戦略的な動きと見られています。
さらに、Hidden Road社はリップル社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」を担保資産として活用しており、今回の買収によってRLUSDの実際の利用拡大にもつながると期待されています。
リップルペイメントでRLUSDが利用可能に
XRP現物ETFの行方
米国ではビットコイン・ETHに続くXRP現物ETFの承認に向けた動きが活発化しています。
2024年10月以降、Bitwise社や21Shares社など10社以上の資産運用会社が次々とSECにXRP現物ETFの申請書を提出しています。
SECは今年2月にグレースケール社のXRP ETF審査を開始しており、申請案件は現在審査中の段階にあります。米国初のXRP関連ETFとなる2倍レバレッジ型XRP先物ETFも2025年4月8日に運用開始されており、市場では現物ETFの年内承認への期待感がさらに高まっています。
現物ETFが実現すれば機関投資家による資金流入が加速し、XRPの流動性と市場価値の大幅な向上が見込まれます。
BitwiseのXRP現物ETF申請を受理
SEC訴訟の終結
前述したように、2020年末から続いた米SECによるリップル社提訴問題は、2025年3月に和解が成立して完全に解決しました。
リップル社は当初課された罰金1億2,500万ドルのうち5,000万ドル(約75億円)のみを支払うことでSECと合意し、違法行為の不問を獲得しています。SEC側もリップル社に対する控訴を取り下げ、リップル社も交差控訴(控訴審での反訴)を取り下げる形で双方が妥協点を見出しました。
この和解により、XRPは法律上「証券ではない」ことが正式に確認され、市場に漂っていた法的不安が解消されています。トランプ政権下でSECの厳しい姿勢は和らぎ、同政権は仮想通貨業界に協力的な姿勢を示しています。
SECはリップル社訴訟のほかにも、主要仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)やクラーケンに対する訴訟を次々と終結させており、業界全体で規制リスク低下による安心感が広がりました。訴訟終結を受けて国内外の大手取引所ではXRPの再上場や取扱い再開が進み、XRP価格も好材料に反応して一時的に大きく上昇しました。
現在XRPは時価総額で約1,100億ドル(約14.5兆円)と、ビットコイン・ETH・テザー(USDT)に次ぐ第4位につけています。スタンダード・チャータードの予測通りに価格が上昇すれば、こうした順位にも大きな変化が生じる可能性があると見られています。
SEC訴訟は終焉を迎える
XRP市場の見通しが好転へ
スタンダード・チャータード銀行が示した前向きな見通しに加え、リップル社による大規模な企業買収やSEC訴訟の解決、さらにはETF承認への期待など、XRPを取り巻く環境は確実に改善しています。
米国市場の開放とともに機関投資家の資金流入が増えれば、XRPの市場規模や利用場面も大きく広がっていくことが期待されています。
今後、従来の金融市場と仮想通貨業界の統合が進む中で、XRPが担う役割とその将来性に注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=145.44円)
XRP関連の注目記事はこちら
Source:The Block
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像