香港、シンガポールを抜き世界2位に急浮上|仮想通貨フレンドリー都市ランキング2025

by BITTIMES

香港が世界2位の仮想通貨都市へ

仮想通貨関連の投資会社マルチポリタン(Multipolitan)は2025年4月24日に、世界の「仮想通貨フレンドリー都市ランキング」をまとめたレポートを発表しました。

同レポートのランキングによると、スロベニアの首都リュブリャナが173ポイントで世界第1位に輝き、香港とスイスのチューリッヒが172ポイントで同率2位にランクインしました。

シンガポールとアブダビがそれぞれ168ポイントで4位・5位につけており、香港はシンガポールやアブダビといった競合都市を上回る評価を獲得しています​。

香港は近年仮想通貨(暗号資産)分野で積極的な施策を打ち出しており、同レポートでも「業界の富や人材、イノベーションを呼び込むハブ」として香港市場の存在感が強調されています​。

報告書によれば、仮想通貨資産が規制が厳しい地域から、UAE(アラブ首長国連邦)やシンガポール、香港といった明確なルールと整備された環境を持つ新興の仮想通貨金融拠点へと急速にシフトしていると指摘されています​。

仮想通貨都市ランキング評価

評価基準

レポートでは、各都市をどのように評価したのか、具体的な基準も公開されています。評価に使われた5つの指標は次の通りです​:

  • 規制環境:仮想通貨に関する法律や規制がどれだけ整っていて分かりやすいか
  • 税制:仮想通貨取引や所得に対する税金面での優遇や厳しさ
  • 富と暮らしの質:裕福な人々がどれだけ集まっているか、生活水準や経済規模
  • デジタルインフラ:インターネット速度・普及率やITインフラ整備状況
  • 仮想通貨インフラ:仮想通貨ATM設置数や利用可能店舗数、関連イベント開催数、取引所やブロックチェーン企業の拠点数など

香港の仮想通貨インフラが世界で高評価

明確な規制環境とライセンス制度

世界1位に輝いたリュブリャナは、市内に150台以上の仮想通貨ATMがあり設置台数で世界トップクラスであることや、多くの店舗が仮想通貨での支払いに対応している点が高く評価されました。

これにより、人口規模に見合わないほどの実社会での仮想通貨利用率を誇り、他の大都市を抑えて高得点を獲得しています。

香港も規制の明確さとライセンス制度の充実が高く評価され、同ランキングでの高スコア獲得につながりました。

香港当局は2023年6月に個人投資家向けの仮想通貨取引を解禁する新ルールを施行し、以降2024年末までに合計7社の仮想通貨取引所に営業ライセンスを付与、2025年初頭までに10社に拡大しました。

こうした取り組みは「明確なコンプライアンス基準の策定」として評価され、香港の規制環境スコアを押し上げています。

税制優遇と富裕層の集中

税制面では、香港はもともと値上がり益への課税がなく(仮想通貨の売買益も非課税)、事業所得税も低いうえに、仮想通貨ファンドやオフィス向けの税制優遇も検討している点が評価されています。

生活環境と富の指標では、香港はアジア有数の富裕層都市であり、マルチポリタンの別指数「仮想通貨富の集中度指数」では香港の仮想通貨保有者一人当たり平均保有額は97,500ドル(約1,400万円)と世界3位につけました。

高度なインフラと世界的イベント誘致

デジタルインフラについても、香港は高速インターネット網や5Gの普及率が高く、フィンテック先進都市として評価が高いとみられます。

仮想通貨インフラでは、香港は大規模イベントの開催や世界的企業の誘致でもアピールしています。

2024年にはフィンテックとWeb3を主題とした「Wiki Finance Expo 香港2024」の開催や、米大手会議のアジア版となる「コンセンサス香港」会議の誘致にも成功し、CZ氏(バイナンスCEO)やヴィタリック・ブテリン氏(イーサリアム共同創設者)といった著名人が相次ぎ来港するなど、業界内での存在感を示しました。

これらの要素が総合的に評価され、香港は満点180に対し172ポイントという極めて高いスコアを獲得しています。

香港の仮想通貨市場が急拡大する背景

香港が仮想通貨都市として世界2位に躍進した背景には、近年の積極的な政策展開があります。

規制緩和とライセンス制度の整備

2023年6月に導入された新ライセンス制度により、香港では個人投資家がビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)などの仮想通貨を取引可能になりました。

それ以降も香港当局は迅速にライセンス交付や規制の明確化を進めており、市場環境の透明性が向上しています。

香港証券先物委員会(SFC)は2024年末に更に複数の仮想通貨取引プラットフォームを正式に認可し、香港を世界的な仮想通貨取引の拠点として育成する方針を打ち出しています。

税制優遇策と投資マネーの呼び込み

香港政府は、仮想通貨取引における税制優遇策の導入を積極的に検討しています。

2024年11月には、ヘッジファンドやファミリーオフィスが得る仮想通貨運用益を非課税にする提案が報じられました。こうした措置は、富裕層や機関投資家からの投資マネーを香港市場に誘致する狙いがあります。

また2024年3月には、投資移民プログラム「新投資移民申請制度(New CIES)」が再開されましたが、この制度において初めて仮想通貨を資産証明の対象として認めました。

具体的には、申請要件となる3,000万香港ドル(約5億5,800万円)以上の資産の一部を、ビットコインやイーサリアムで証明した事例が2件承認されています。

担当部局のInvestHKは「資産の種類に特定の制限を設けていない」としており、金融専門家からは「仮想通貨が伝統的資産と同等に扱われる画期的な事例」と評価されています。

競合都市に対抗する香港の戦略

香港政府は規制環境の明確化や投資優遇策を通じて、シンガポールやドバイなど、仮想通貨分野で競合する都市に対抗しています。

香港当局者は「金融ハブとしての地位向上のため、デジタル資産センターの構築を目指す」と明言しており、政府を挙げて仮想通貨産業の育成を推進しています。

香港がアジアの仮想通貨ハブになる可能性

こうした政策的後押しにより、香港には海外から新たな取引所進出の計画が相次ぎました。

大手仮想通貨取引所のBybitHuobiなどは香港市場への参入方針を打ち出し​、実際にBinance系のHKVAEXやHashKeyといった取引所が個人向けサービスを開始しています​。

一方で、運営コストや収益性を理由に香港のライセンス取得を見送る業者もありましたが、それでも香港金融当局は新興企業だけでなく大手銀行の仮想通貨サービス参入を積極的に後押ししています。

香港財政長官は「これらの取り組みは活発なデジタル資産エコシステムを構築するという香港政府の強い意志を示すものだ」と強調しており​、規制当局も2025年に向けOTC取引やカストディ(資産保管)の新ライセンス制度創設やステーブルコイン規制法制化に取り組んでいます​。

総じて、明確で先進的な規制環境と優遇措置、そして積極的な産業支援策により、香港は仮想通貨フレンドリー都市ランキングで世界第2位という高評価を勝ち取りました​。

今後、香港がアジアを代表する仮想通貨の中心地としてさらに成長し、従来の金融都市と肩を並べる新たな国際金融の拠点として確かな地位を築いていくことが期待されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.30円 / 1香港ドル=18.43円)

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Source:Multipolitanレポート
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像

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