欧州中央銀行(ECB)がEU圏の中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「デジタル・ユーロ(Digital Euro)」の商標登録を申請したことが「Bloomberg」の報道で明らかになりました。ECBはCBDCを発行すると決定したわけではないものの、「デジタル・ユーロを発行するメリット・デメリットをまとめたレポート」の作成に取り組んでいると伝えられています。
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デジタル・ユーロのレポート作成に向け商標申請
欧州中央銀行(ECB)は2020年9月22日に、ドイツ「Bock Legal法律事務所」の弁護士を通じて「デジタル・ユーロ(Digital Euro)」の商標登録を欧州連合知的財産庁に申請したと報じられています。なお、現時点ではまだ登録は完了していないとのことです。
デジタル・ユーロ(Digital Euro)とは欧州地域の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を指す言葉であり、欧州中央銀行は現在「CBDCを発行することの利点と欠点」をまとめたレポートを発表する準備を進めているため、デジタル・ユーロの商標登録もそれらの取り組みの一環であると伝えられています。
このレポートでは、欧州中央銀行がリテール型CBDCを発行するメリット・デメリットが詳しく説明される予定となっており、その後はアンケート調査で一般からの意見を受け取った後に、将来のCBDCポリシーを作成する計画だと伝えられています。
ただし、欧州中央銀行は「デジタル・ユーロ」を導入すると決定した訳ではないとのことで、欧州中央銀行のChristine Lagarde(クリスティーヌ・ラガルド)総裁は次のように語っていると報告されています。
ユーロシステムはこれまで、デジタルユーロを導入するかどうかについての決定を下していません。しかし、世界中の他の多くの中央銀行と同様に、私たちは中央銀行デジタル通貨を導入することのメリット・リスク・運用上の課題を調査しています。
私たちには、支払いにおけるイノベーションのリスクとメリットのバランスをとる上で積極的な役割を果たす義務があります。そうすることによって、引き続きお金をヨーロッパの人々のために役立てることができます。
欧州連合(EU)では「暗号資産規制」に関する議論が続いており、先月11日に開かれた会合ではEUに加盟する5ヵ国(フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・オランダ)の財務大臣が『法律・規制・監督面の課題が解決されるまでは、EUに加盟する27ヵ国でステーブルコインの運用を禁止するべきだ』と語ったことなども報じられています。
現時点では「デジタル・ユーロ」の発行は決定していないものの、欧州では着実に中央銀行デジタル通貨の発行に備えた準備が進められています。