厳しい規制が「仮想通貨ハブ構想」の妨げに|英国で企業の撤退相次ぐ
英国で仮想通貨企業の撤退が相次いでいると、フィナンシャル・タイムズが2024年8月28日に報じました。
報じられた内容によると、法律事務所のリード・スミスが英国規制当局のFCA(英国金融行為規制機構)に情報開示を要求した結果、過去1年間でFCAに対して仮想通貨取引所・プロバイダーとして登録の申請を行った仮想通貨関連企業が大幅に減少していたことが発覚しました。
2023年5月から2024年4月までに、FCAに対して登録の申請を行った企業は29件存在します。一方、過去2年間は42件・59件であり50%程度減少が見られます。2024年第1四半期に申請された登録はわずか7件です。これは過去3年間において2番目に少ない件数でした。
また、過去3年間において登録の申請が承認されるまでにかかった日数は平均で459日となっており、長期間の時間を要することもわかりました。このような状況下で、同期間において186社が申請を取り下げています。FCAサイドも人員を割いており、登録の申請手続きに対して25年分に相当する時間を費やしています。
リード・スミスのパートナーであるブレット・ヒリス氏は「FCAは、規則違反を特定するために多大な労力を費やしている。これは、投資家の保護を重視していることを示している」と指摘しています。
一方で、同氏は「申請の承認に時間がかかりすぎており、承認されるまでの遅さは、英国が仮想通貨のハブになるという計画の妨げになっている」と、仮想通貨における英国のポジションが失われてしまう可能性も指摘しており、「申請にかかる時間は、一般的な銀行免許の申請に相当する」とも語っています。
英国は過去数年で、仮想通貨関連の環境整備を整える動きを見せています。2023年10月には仮想通貨関連の広告に関する規制を施行しました。この規制に関する違反は、2024年4月までに1,000件以上発見されています。施行当初は全ての仮想通貨企業が迅速に対応することは難しいとの判断から、一部仮想通貨関連企業に対して2024年1月まで猶予が与えられるケースも見られました。
また、2024年3月に公表されたFCAの事業戦略では、年度内において仮想通貨市場における市場濫用(インサイダー・相場操縦など)に対して、規制を行う旨を明らかにしました。事業戦略において詳細な規制内容は明らかになっていないものの、投資家保護に関する規制が施行されるとみられます。
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Souce:フィナンシャル・タイムズ報道
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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