
米FDIC、事前承認なしでの銀行の仮想通貨取引を承認|金融規制は転換点へ
銀行の事前承認が撤廃へ
米連邦預金保険公社(FDIC)は2025年3月28日に、銀行による仮想通貨関連業務について、事前の承認なしで実施できるようにする新たな方針を発表しました。
この新指針は、2022年に出されていた「仮想通貨業務はFDICへの事前通知・承認を要する」とする方針を撤回し、適切なリスク管理の下で銀行が仮想通貨(暗号資産)関連サービスを行うことを明確に認める内容です。
FDIC暫定議長のトラビス・ヒル氏は声明で「今回の措置でここ3年間の誤ったアプローチに終止符を打つことになる」と述べ、今後も銀行が仮想通貨・ブロックチェーン関連事業に安全かつ健全に取り組めるよう新たな方針を示す考えを強調しました
FDICの規制を厳しく批判
FDICの規制が緩和された理由
この方針変更の背景には、米国の仮想通貨業界と銀行を取り巻く近年の規制動向があります。
2022年から2023年にかけては大手取引所の崩壊や業界での不正事件が相次いだことを受け、当時の米金融当局は銀行に対し、仮想通貨に絡むリスクへの警戒を強めていました。
FDICも2022年に「銀行が仮想通貨関連業務を行う場合は事前に当局へ報告せよ」という厳格な姿勢を打ち出し、連邦準備制度理事会(FRB)やOCCとともに銀行による仮想通貨企業へのサービス提供を抑制する措置「チョークポイント作戦2.0」を講じていました。
情報公開請求により明らかになったFDIC内部文書からは、過去数年間に銀行が仮想通貨の関連事業を開始しようとすると、追加情報の要求や回答の長期遅延、場合によっては担当官から直接「その事業は進めないように」といった指示が出される例もあったことが明らかになっています。
こうした経緯から、仮想通貨業界関係者や一部議員は当局の姿勢に強く反発し、規制緩和と明確なルール整備を求める声が高まっていました。
バイデン体制による抑圧が明らかに
米銀行業界の仮想通貨解禁へ
今回、FDICが事前承認制度を撤廃したことで、米国の銀行は仮想通貨カストディ(保管)サービスやステーブルコイン関連業務、ブロックチェーンネットワークへの参加といった従来認められている仮想通貨関連の業務を、個別に許可を得ることなく進められるようになります。
これまでは新たに仮想通貨ビジネスを始めるたびに当局への詳細な届け出と承認待ちが必要とされ、事実上そのハードルの高さから銀行側が参入を断念するケースも多くありました。
今後は各銀行が自社のリスク管理態勢を整えさえすれば、自主的な判断で仮想通貨関連サービスを提供できるため、銀行と仮想通貨業界の連携強化につながると期待されています。
今回の方針転換は、他の米銀規制当局とも足並みを揃えた動きであり、米通貨監督庁(OCC)も同月に同様の事前承認要件撤廃を発表しています。
米政府が仮想通貨規制を緩和へ
2025年に入り米国では仮想通貨分野への規制緩和の動きが相次いでいます。
銀行規制当局であるOCCは3月7日付で発出した書簡において、全国銀行に仮想通貨カストディ業務やステーブルコイン関連業務などを許可し、従来必要とされていた事前の「監督上の異議なし(ノンオブジェクション)」手続きを撤回しました。
また証券規制当局であるSEC(米国証券取引委員会)も、2025年に入って仮想通貨業界への強硬姿勢を緩めつつあります。トランプ政権発足後、SECは米大手取引所Coinbase(コインベース)やクラーケンに対する訴訟を取り下げ、Ripple(リップル)社との長年の裁判でも和解金を1億2,500万ドル(約188億円)から5,000万ドル(約75億円)に大幅減額する条件で最終和解に至りました。
こうした一連の動きから、米国では政権交代を機に仮想通貨分野への規制が緩和に向かう傾向が鮮明となっています。業界側も歓迎の意向を示しており、ホワイトハウスのデジタル資産担当局長ボー・ハインズ氏はFDICの発表を「非常に大きな前進だ」と評価するコメントを出しています。
Another big win!
— Bo Hines (@BoHines) March 28, 2025
The FDIC just dropped its 2022 rule requiring banks to get pre-approval before engaging with crypto-related activities.
A huge step forward towards innovation and adoption! https://t.co/EDAGgNuhr9
また大きな朗報!
FDICが、銀行が仮想通貨関連の活動を行う際に事前承認を求めていた2022年の規制を撤廃。
イノベーションと普及に向けた大きな前進!
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Souce:FDIC公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像