
エルサルバドル企業、初のトークン化プロジェクトで複合施設を建設
ブロックチェーンで変わる不動産開発
エルサルバドルの不動産開発企業Burgo de Osma(ブルゴ・デ・オスマ)とフィンテック企業MIO3(ミオスリー)が2025年3月26日、同国初の不動産トークン化プロジェクト「Cobodosa(コボドサ)」を完成させたことが明らかになりました。
地元メディア「elsalvador.com」によると、Cobodosaは首都サンサルバドル近郊(ラ・リベルタ県サラゴサ地区)に建設された工業用倉庫の複合施設で、10棟の倉庫がモジュール式に連結された構造になっています。
プロジェクトの総投資額は約2,100万ドル(約31.5億円)に達し、資金は企業の自己資金とブロックチェーンを活用したトークン化で調達されました。
ブロックチェーンによる金融革命
注目を集める不動産開発の新モデル
このプロジェクトが注目されているのは、不動産とブロックチェーンを組み合わせ、新たな資金調達モデルを確立した点にあります。
従来の不動産開発では銀行融資や富裕層・機関投資家からの出資が必要でしたが、RWA(現実資産)のトークン化によって、プロジェクトの所有権を表すデジタル権利証(トークン)を発行し、世界中の投資家に販売できるようになりました。
ブルゴ・デ・オスマ社CEOであるハビエル・アイラガス氏は次のように述べ、今回のプロジェクトが同国の不動産分野における画期的な一歩であることを強調しました。
本日、私たちは最先端の倉庫複合施設の開設を迎えただけでなく、エルサルバドルにおける不動産投資の新たな時代の始まりを目の当たりにしています。
エルサルバドルのデジタル資産法がもたらす税制上の恩恵を通じて、新たな投資機会が広がっているのです。
このプロジェクトの実現を支えたのが、エルサルバドルで2023年に施行されたデジタル資産法です。MIO3はこの法律の下で正式登録された国内初のトークン化プラットフォームとして、厳格な法的・財務基準のもと事業を展開。その結果、不動産トークンを全面的に活用したプロジェクトが実現しました。
また、今回の成功はエルサルバドルにおけるトークン化プロジェクトの先例となり、今後の発展を加速させると期待されています。
JCBAが示すRWAトークン化の新指針
世界で進む不動産のトークン化
世界的にも不動産のトークン化は資産運用業界で注目されるトレンドとなりつつあります。
中東のドバイでは、不動産資産をブロックチェーン上のデジタルトークンに変換する政府主導のパイロットプロジェクトが始まり、日本国内でも不動産テック企業が所有権データをNFT(非代替性トークン)化して売買を効率化するサービスを展開する動きが見られます。
不動産という巨大市場にブロックチェーンを応用することで、資産の流動性向上、一般投資家の市場参加、決済の迅速化、透明性の確保など様々な利点が期待されています。
今回エルサルバドルで実現したCobodosaプロジェクトは、実物資産の新しい可能性を具体的な形で示した成功例と見られています。
今後もエルサルバドルを皮切りに、世界各国で不動産とブロックチェーンを融合した先進的なプロジェクトが増えることが予想されており、仮想通貨を含むデジタル資産分野の発展においても重要な一歩として注目を集めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.06円)
RWA関連の注目記事はこちら
Source:elsalvador.com報道
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用