再生可能エネルギーの余剰電力で「ビットコイン採掘」東京電力子会社の取り組み
再エネ余剰電力を用いたBTC採掘の実験
東京電力の子会社であるアジャイルエナジーXが、再生可能エネルギーの余剰電力を用いて仮想通貨ビットコイン(BTC)のマイニングを行う実験を行なっていることが朝日新聞の報道で明らかになりました。
アジャイルエナジーXは、群馬県と茨木県にある太陽光発電所の隣などにビットコインのマイニングマシンを設置しているとのことで、需要を上回る発電量で電力が無駄になる可能性がある場合に、マイニングマシンを稼働させてビットコインを採掘する実験を行なっていると報告されています。
現在は太陽光発電や風力発電などの環境にやさしい発電方法が注目を集めていますが、これらの発電方法は状況に応じて発電量が大きく変動する状況にあり、余剰電力を蓄電池に蓄えるのにも限度があるため、発電事業者は電力の一部が廃棄される前提で事業を行なっているとのことです。
しかし、余った電力をビットコインマイニングに活用して企業収益に還元すれば企業利益を安定させることができるため、無駄な電力を活用してビットコインの安定運営に貢献しつつ、グリーンエネルギーの導入を進めることができると期待されています。
アジャイルエナジーXが公開データに基づいて行なったシミュレーションでは、総電力供給量の50%に再生可能エネルギーを導入した場合には24万ギガワット時(約7,000万世帯分の年間消費量に相当する電力)が無駄になるとのことで、その電力の10%をBTCマイニングに活用すれば、毎年3,600億円相当のビットコインを採掘できるとも報告されています。
「究極の循環経済モデル」に関する発表も
アジャイルエナジーXは2024年8月5日に、再生可能エネルギー・ビットコインマイニング・排熱利用など組み合わせた「究極の循環経済モデル」に関する共同研究・開発の発表も行なっています。
これは「再生可能エネルギー・ビットコインマイニング・直接空気回収(DAC)・溶融塩電解炭素資源化・アクアポニックス」などの技術を組み合わせた画期的なソリューションとなっており、以下のような流れの循環モデルを展開する計画が示されています。
- 再エネ電力でマイニング装置を稼働させ、ビットコインを獲得
- DACのCO2回収プロセスで必要となる熱源として、マイニング装置からの排熱を利用
- 回収したCO2を溶融塩電解装置に投入し、再エネ電力で電解することで炭素を資源化(グラファイト更には電極等の工夫によりダイヤモンド合成の可能性もあり)
- 再エネ電力でアクアポニックス(陸上養殖と水耕栽培を組み合わせた次世代循環型農業)を稼働させ、冬季はマイニング装置の排熱を暖房として用いるとともに、DACで回収したCO2で野菜の育成を促進
- アクアポニックスの魚には、食品残渣のコンポスト化で活躍する昆虫の幼虫をエサとして投入することで、サステナブルな食物連鎖を構築
(画像:株式会社アジャイルエナジーX)
ビットコインのマイニングに関しては「大量の電力消費・発熱・地球環境への悪影響」などといった様々な問題点が指摘されていましたが、アジャイルエナジーXが説明しているような複数の技術と組み合わせてBTCマイニングを行えば、マイニング関連の各要素を上手く活用して様々な業界の問題を解決できる可能性があると期待されます。
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Souce:朝日新聞報道
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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