オクラホマ州、ビットコイン準備金法案が前進|米国各州の最新状況も

by BITTIMES

オクラホマ州、BTC準備金法案が前進

米国のオクラホマ州が2025年2月25日、同州下院の政府監視委員会にて「下院法案1203号(戦略的ビットコイン準備法)が承認され、本会議審議へと進んだことが明らかになりました。

この法案は2月11日に下院金融委員会を6対2で通過し、その後、25日に政府監視委員会でも12対2の賛成多数で承認されました。今後、下院本会議での審議・採決を経て上院へ送られる見通しとなっています。

同法案は、州財務長官に対し、「過去1年間の平均時価総額が5,000億ドル(約74.5兆円)を超えるデジタル資産」への投資権限を与える内容となっており、成立すれば2025年11月1日から施行される予定であることが明らかにされています。

現時点でこの基準を満たす仮想通貨はビットコイン(BTC)のみであり、事実上、ビットコインを州の準備金ポートフォリオに加えることを想定しています。

メイナード議員は1月15日の法案提出時に以下のように述べ、インフレヘッジや健全な財政運営の観点からビットコイン投資の意義を強調しました。

ビットコインは官僚が際限なく紙幣を刷る行為から我々の購買力を守る自由をもたらす。

分散型のお金であるビットコインは政府に操作・増発されることがなく、健全な通貨原則を信じる者にとって究極の価値の保存手段だ。

全米で進むビットコイン準備法案の最新動向

2024年末から2025年初頭にかけて、全米各州で同様の「戦略的ビットコイン準備金法案」が相次いで提出されました。

ビットコインの価格上昇やインフレ懸念を背景に、州財政に仮想通貨を組み入れることで価値保存や財政強化を図る狙いがあり、準備金法案モニターサイトによると、現在、ビットコイン準備金関連の法案は全米18の州で計25件が審議中であることが示されています。

州ごとのビットコイン準備法案進捗状況の画像州ごとのビットコイン準備法案進捗状況(画像:準備金法案モニターサイト

テキサス州やアリゾナ州、フロリダ州、ジョージア州、ミシガン州、ウェストバージニア州など多数の州議会でビットコイン準備金法案が検討段階にあります。

こうした動きの中、特に進展が早いのはユタ州であることが示されています。ビットコイン支持派の団体「Satoshi Action Fund」の共同創設者兼CEOであるデニス・ポーター氏は「ユタ州は全米で最も早くビットコイン準備金法案を成立させる可能性が高い」と述べており、その背景として45日間という短い会期と政治的意欲の強さを挙げています。

仮に上院も通過すれば州知事の署名を経て成立となり、ユタ州が「ビットコイン備蓄州の第1号」となる見通しとなっています。

法案を退けた州と慎重論

一方で、こうしたビットコイン準備金の試みにブレーキをかける州も出ています。現時点でモンタナ州、ノースダコタ州、ペンシルベニア州、サウスダコタ州、ワイオミング州の5州は類似法案を否決または後送りにし、事実上頓挫させました。

モンタナ州では、州投資基金でのビットコインや貴金属への投資を認める下院法案HB429号が提出されましたが、2月22日の州下院本会議で59対41と大差で否決されました。

審議の中で議員からは「それも税金であり、我々には守る責任がある。この種の投資はリスクが高すぎる」といった慎重な意見が出されました。

ノースダコタ州でもデジタル資産投資を認める法案(HB1184)が下院本会議で32対57と大差で否決され、サウスダコタ州では下院法案HB1202号が委員会審議で否決となりました。ペンシルベニア州とワイオミング州でも同様の法案が提出されましたが、委員会で採択されないまま会期終了を迎えるなど成立には至っていません。

なお、これら否決・撤回が相次いだ5州のうち4州は共和党が実権を握る州議会であり、ビットコイン準備金を推進する法案の多くが共和党議員により提案されている点を考えると、党派を超えて慎重論が存在することがうかがえます。

ビットコイン準備金の是非を巡る議論

ビットコイン準備金の是非を巡っては、支持派と慎重派の間で活発な議論が交わされています。推進派の意見としては「ビットコインはインフレによる購買力低下からの避難先になり得る」と主張する点が挙げられます。

オクラホマ州のメイナード議員は前述の通りビットコインを「究極の価値の保存手段」と評価し、ユタ州のジョーダン・テウシャー議員も公聴会で「本法案は州政府がブロックチェーン技術を受け入れつつ、州財務長官によるごく限定的なデジタル資産投資を可能にする枠組みを整えるものだ」とその意義を強調しました。

一方、慎重派からはビットコインの激しいボラティリティ(価格変動)を警戒する声が根強くあります。モンタナ州のスティーブン・ケリー州議会議員は「変動性の高い仮想通貨に税金を投じるのはリスクが大きすぎる」と述べており、公的資金の保全を最優先すべきとの立場を示しました。

また、仮想通貨取引所BitMEXの共同創業者であるアーサー・ヘイズ氏は政府によるビットコイン大量購入について「インフレを助長し、政治的な道具にされかねない」と自身のブログで警鐘を鳴らしています。

こうした懸念に対し、ビットコイン技術企業「JAN3社」のCEOであるサムソン・マウ氏は「政府がビットコインを保有することはむしろビットコインの思想を理解する契機となり、望ましい展開だ」と述べており、国家によるビットコイン備蓄は将来的に避けられない流れだと指摘しています。

米連邦政府、ビットコイン準備金導入の可能性は?

現在、米連邦政府は自らビットコインを準備資産として保有するには至っておらず、依然として米ドルや金など伝統的な準備資産を維持しています。しかし、連邦レベルでも議論が皆無ではありません。

仮想通貨擁護派の"クリプトママ"としても知られるワイオミング州選出のシンシア・ルミス上院議員は2024年7月、連邦政府に戦略的ビットコイン準備を創設するための法案を正式に発表しました。

この法案は「5年間でビットコイン供給量の5%に相当する合計100万BTC(844億ドル/13兆円相当)を購入し、少なくとも20年間保有する」という投資戦略を提案するもので、アメリカの競争力強化とインフレ対策を掲げています。

こうした中、もしユタ州法案が成立すれば、米国初の「ビットコイン準備金」を公式に保有する州が誕生することになり、今回のオクラホマ州を含む他州の議会にも追い風となるかもしれません。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.21円)

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Souce:オクラホマ州法案1203号の委員会報告書
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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