
ブロックチェーンは「海運業界」をどのように変えるのか?
ブロックチェーン技術は海運業界を代表する大手企業などでも積極的に活用され始めています。物流・貿易などの分野でも実際に使用されているこの技術は、海上運送においても様々な面でコスト削減・効率化を実現し、多くの取引の安全性を向上させることができます。この記事ではBlockchain技術が「海運業界」にもたらすメリットの一部を紹介します。
こちらから読む:海運業界での活用可能性を秘めた「ブロックチェーン技術」の基礎知識
書類業務の「コスト削減・効率化」
海運業界にブロックチェーン技術を導入して得られる利点の一つとしては、書類業務のコスト削減・効率化を測ることができることが挙げられます。
国際貨物の場合、企業や税関職員は商品を輸出業者から輸入業者に移動させるために、20種類以上の書類を記入する必要があります。これらの書類の大半は紙をベースとしているため、多大な労力とコストが必要となっており、遅延やトラブルの要因となっています。
ブロックチェーン技術でデータを管理することによって、リアルタイムにデータを確認することができるようになり、データの品質や効率を高めることが可能になります。情報管理を容易に行うことができるだけでなく、それらのデータを安全に管理することもできるため、多くのコストを削減することができるようになります。
海運業者とヨーロッパの税関によって構成される国際的なコンソーシアムは、書類管理にブロックチェーン技術を活用するテストを行い、年間数百億円もの費用を節約できることを証明しています。
サプライチェーン全体の「スピードアップ」
ブロックチェーン技術とビッグデータを組み合わせることによって、運用の最適化、サイバーセキュリティの向上、サプライチェーン全体のスピードアップを図ることができます。
膨大な数のデータを収集する必要がある際に「ブロックチェーン技術」を活用すれば、データを効率的に収集・分析することができるようになります。ブロックチェーン上に記録されたデータを使って輸送する商品の追跡を行えば、運送会社や港は事前に必要な手続きを準備して作業効率を大幅に向上させることができます。
これらのデータを使用して業務内容の改善・強化を行い、さらなる効率化のための予測を行えば、これまでよりも遥かに早く業務を完了することができるようになり、品質管理や違法行為への対処など幅広いことにも応用することができます。
取引の「安全性と透明性」を向上
海運業界には複数の団体・組織が含まれており、これらの団体のほとんどは「紙ベースの書類」を用いてやり取りを行うため、現時点では商品の出荷情報を追跡するのは非常に困難です。そのような状況下で大量の取引が発生する場合に各種プロセスの透明性を確保するのは簡単なことではありません。
しかし、ブロックチェーン技術を使用すればあらゆる記録の整合性を確認することができるようになるため、荷物の破損や紛失などの問題が発生した際にもスムーズな対応を取ることができるようになります。取引記録はブロックチェーン上に記録されているため、権限を持つ関係者全員が必要な時にアクセスできるようになり、効率的な運用計画とコスト削減を容易に行うことができます。
またブロックチェーン上に記録されたデータは、削除・編集することができないようになっているため、データのセキュリティを高め、より安全にデータを保管することができます。
費用対効果を高める
これまでにも複数出てきたように、ブロックチェーン技術は様々な面でコストを削減し、費用対効果を高めることができます。文書化するための費用を削減することができるだけでなく、データ入力のミスを減らすことも可能になり、手続き上の遅延や食い違いなどによる費用も大幅に削減することができるようになります。
ブロックチェーン技術を用いた「船荷証券取引プラットフォーム」を導入した大手貨物輸送会社は、通常ならば数週間かかっていた取引をわずか2時間で完了させたことを報告しています。この事例に関しても、それまで"紙"をベースとしていたものをデジタル化させたことが主な要因となっています。
ブロックチェーン技術を実際に導入するためには、実際に自社で開発するか、必要なスキルを有している技術者にプラットフォームの構築を依頼する必要がありますが、一度基盤となるプラットフォームを構築すれば、それによって得られるメリットは計り知れません。
物流・貿易で実用化が進む「ブロックチェーン技術」
物流・貿易業界におけるブロックチェーン技術の有用性は、すでに数多くの大手企業などによって証明されています。これらの技術を導入している企業や地域は世界各国に点在しており、
・デンマークに本社を置く海運大手「Maersk」
・イスラエル最大の貨物運送会社「Zim」
・地中海最大の貨物取引量を誇るとされる「バレンシア港」
などもブロックチェーン技術の導入を発表しています。
ブロックチェーン技術についての知識を有していない場合には、技術の特性や具体的な活用方法などがやや難しく感じていまいがちですが、書類データのデジタル化、透明性の向上、コスト削減、自動化など、大枠で捉えた際に得られるメリットは他の業界でも共通している部分が数多くあります。
具体的にどのようなことに活用されているのかを知れば「自分が携わる分野でどのように応用できるか」も自然と理解できるようになるため、世界中から数多く報告されている活用事例を参考にしながら「自らの事業でブロックチェーンを活用できるのはどの部分か」を考えてみると良いかと思います。当メディアでは、これまでにも様々な業界での「ブロックチェーン活用事例」を紹介しているので、そちらも参考にされてみてください。

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