仮想通貨取引所などに「顧客情報の共有」求める|FATFが「ガイダンス」を公開
G20財務相・中央銀行総裁会議の声明文の中の仮想通貨(暗号資産)に関連する「マネーロンダリング対策」や「テロ資金対策」の部分で触れられていた、金融活動作業部会(FATF)による「解釈ノートとガイダンス」が2019年6月21日に公開されました。このガイダンスの中では、仮想通貨取引所などの「暗号資産サービスプロバイダー(VASPs)」に対して、利用者の情報を共有し合うことを求めることなどが記されています。
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マネロン・テロ資金対策として「顧客データの共有」を
マネーロンダリング対策やテロ資金対策などに関する国際的な指導や国際基準の策定などの役割を担っている「金融活動作業部会(FATF)」は、2019年6月21日に仮想通貨に関連するマネーロンダリング対策の「解釈ノートとガイダンス」を公開し、仮想通貨取引所などを含めた「仮想資産サービスプロバイダー(VASPs)」に対して、サービス利用者に関連する情報をお互いに共有し合うことを求めました。
FATFには日本を含めた35か国とEC・GCCという二つの地域機関が加盟しており、今回公開されたガイダンスでは「これらの加盟国に対して、仮想通貨に関する規制強化を求める内容」が記されています。具体的に収集・共有すべき情報としては、以下のようなものが挙げられます。
- オリジネーターの氏名(送金する顧客などの名前)
- 取引に使用されるオリジネーターの口座番号(仮想通貨ウォレットなど)
- オリジネーターの住所・国民識別番号・顧客番号など、オリジネーターの利用機関・利用日・出生地を一意に識別できるもの
- 受取人の氏名
- 取引に使用された受取人の口座番号(仮想資産ウォレットなど)
現実的な問題に対する懸念の声も
財務省が今月公開した「G20財務相・中央銀行総裁会議」の声明文では、「マネーロンダリング」や「テロ資金供与」に対する対策に関しては、FATFの「解釈ノート及びガイダンス」を採択することを期待すると説明されていました。
そのため今回公開された「解釈ノートとガイダンス」は仮想通貨業界にとって重要なものとなっていますが、これらの内容に関しては懸念する意見もあがっています。具体的には「仮想通貨ウォレットのアドレスはほぼ匿名であるため、誰が受取り人になっているかわからない」といったものや「世界に200社以上も存在する仮想通貨取引所で連携を図るのは困難なのではないか?」と指摘する声があがっています。
世界の先進国7カ国で構成される「G7」は先日、仮想通貨関連の適切な規制に向けた「G7仮想通貨タスクフォース」の設立を発表したと報告されています。6月28日〜29日には大阪で開催される「20カ国・地域首脳会議(G20サミット)」に合わせて、世界の仮想通貨業界関係者が大阪に集まり、FATFの新しい規制による影響や問題点について話し合いを行う「V20」が開催されることになっています。
世界規模で本格的に進められている仮想通貨規制の強化に向けた取り組みや、今後の発表にはさらに注目が集まります。
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