イーサリアムの「ステーキング報酬」など開発状況や今後の予定を説明:Vitalik Buterin
仮想通貨イーサリアム(Ethereum/ETH)の共同設立者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、イスラエルで開催された「Ethereal Summit」の中でプロジェクト全体に関する様々なことを語り、プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake/PoS)に参加した場合に得られるステーキング報酬の利率などについて説明を行いました。
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「Ethereum 2.0」開発は順調に進む
Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、2019年9月15日にイスラエルで開催された開発者やインフルエンサーが集まるサミット「Ethereal Summit」に登壇し、現在の開発状況や今後の予定などについての説明を行いました。
イーサリアムの開発状況について語った同氏は、「Ethereum 2.0」開発の重要なステップである「Eth2Beaucoup」は7つのクライアントの協力によって順調に進んでいることを説明し、『次のステップは大規模なパブリックネットワークを維持できるようにすることであり、膨大な数のトランザクションを集約する潜在的な数十万のバリデーター(承認者)について話している』と語っています。
バリデーター(承認者)とは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用している仮想通貨でいうところのマイナー(採掘者)のような存在のことであり、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)と呼ばれる仕組みを採用しているプロジェクトで使用される言葉になります。
「ステーキング報酬」に関する誤解
バリデーターは、ノードやネットワークなどの技術的な管理を行う役割を担っており、承認作業を行う代わりに報酬を受け取ることができます。イーサリアムは「Casper(キャスパー)」と呼ばれるPoSシステムへと徐々に移行していくことを予定していますが、ブテリン氏は"この際に支払われる報酬には誤解が生じている"と指摘しており、『報酬は1%だと誤解している人がいるが、実際には全員がステーキングに参加した場合でも最大報酬額は保有量に対して年利1.7%になる』と説明しています。
イーサリアムのPoSに参加した際に得られる利率は、ネットワーク上に存在するバリデーターの数によって決定されることになっており、仮に全員がバリデーターになった場合の1人当たりの利率は「保有するETHに対して1.7%になる」とされています。
しかし、逆にバリデーターの数が全体の1%であった場合には、1人当たりの利率は「保有するETHに対して17%になる」とのことです。ただしブテリン氏は『具体的な数値はまだ議論中である』と付け加えています。
「分散型金融(DeFi)」に対する期待
ブテリン氏は「分散型金融(Decentralized Finance/DeFi)がもたらす可能性について非常に興奮している」ということも語っており、詐欺などの問題を抱えていたイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に「DeFi」を取り入れることによって、詐欺の被害を未然に抑える構想を語っています。
従来のICOでは、投資家から集まった資金はそのままICOプロジェクトの運営者へと渡っていましたが、新しい方法では集まった資金は運営側には渡されず、DeFiを通じてスマートコントラクトでロックされ、ステーキングによって得られた報酬が運営者に渡されることになります。
この方法を取ることによって、投資家の人々は投資したプロジェクトが詐欺だと感じた場合にはすぐに資産を引き出すことができるようになり、運営者側は投資家の信頼を継続して得るためにプロジェクトを着実に進め、それらを投資家の人々に報告することが必要になります。
実際にこれらの仕組みが採用された場合には、既存の問題が大幅に改善されると期待されます。世界で2番目に時価総額の大きいイーサリアムのプロジェクトには今後も注目です。
2019年9月16日|イーサリアム(Ethereum/ETH)の価格
イーサリアム(Ethereum/ETH)の価格は、先月末に17,000円台まで下落したものの、その後は徐々に回復してきており、2019年9月16日時点では「1ETH=20,941円」で取引されています。
2019年7月18日〜2019年9月16日 ETHのチャート(引用:coingecko.com)
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