G7財務相会議:金融デジタル化で「暗号資産・CBDC」に言及|国際的な規制を支持
中央銀行デジタル通貨(CBDC)について
財務省は2023年5月13日に、5月11日〜13日にかけて新潟で開催された「G7財務大臣・中央銀行総裁会議」の共同声明を発表しました。今回の共同声明の中では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)や暗号資産についても触れられています。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関しては『信頼できる、安定した、透明性の高いグローバルな決済システムは、我々の経済・金融活動の重要な基盤であり、CBDCはその中で大きな役割を果たしうる』との見解が示されています。
しかしその一方では『いかなるCBDCも透明性・法の支配・健全な経済ガバナンス・サイバーセキュリティ・データ保護に基づくべきである』とも強調されており、『2021年10月に合意された"リテールCBDCに関する公共政策上の原則"を想起する』とも説明されています。
国際通貨基金(IMF)は2023年4月に、CBDC導入を検討する国のためのガイドラインとなる「CBDCハンドブック」を作成する計画を明かしていましたが、今回の声明では『CBDCハンドブックに関するIMFの作業を歓迎し、2023年の世銀・IMF年次総会までに公表される最初の一連の成果物に期待する』ともコメントされています。
CBDCに対しては批判的な意見も
暗号資産(仮想通貨)について
暗号資産(仮想通貨)に関しては『責任あるイノベーションを支援しつつ、暗号資産の活動や市場がもたらす金融の安定性・健全性のリスクに対処するためには、効果的なモニタリング・規制・管理が極めて重要である』との見解が示されています。
G7は「2023年7月までに発表される金融安定化理事会(FSB)の勧告に従い、規制と監督体制を導入する」と説明しています。
我々は、FSBの勧告及び基準設定主体(SSBs)によって確立された基準及びガイダンスと整合的な形で、暗号資産の活動及び市場並びにステーブルコインに関する効果的な規制監督上の枠組みを実施することにコミットする。
我々はFSB及びSSBsが規制裁定を避けるため、一貫した効果的かつ適時の勧告の実施を、グローバルに促進することを奨励する。我々は、FSB及びSSBsが分散型金融(DeFi)及び多機能暗号資産仲介業者に関するフォローアップ作業を実施することを支持する。
我々は、暗号資産の窃取・ランサムウェアによる攻撃・テロ資金供与・制裁の回避を含む、国家主体の不正行為の脅威が高まっていることを鑑みて「トラベルルール」を含む金融活動作業会(FATF)によるイニシアチブ、ならびにDeFiや個人間で行われるP2P取引から生じる新たなリスクに関する作業を支持する。
我々は、FATFによる4回目の暗号資産に関する進捗報告及びこれらのイニシアチブに関する更なる作業に期待する。
ここ最近では"国家規模の暗号資産ハッキング事件"についても関心が高まっており、日本経済新聞が5月15日に報じた内容では「北朝鮮系のハッカー集団が2017年以降に日本から奪取した暗号資産の額は約980億円相当に上り、世界全体の被害(23億ドル)の3割を占める」とも報じられています。
G7は今回の声明の中で『金融の健全性は世界経済の強靭性を維持して繁栄を促進するための礎である。マネーロンダリング・テロ資金供与・拡散金融と闘うためのグローバルな取組みを強化することが重要である』とも語っています。
(財務省)
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