ブラジル「ブロックチェーン基盤のデジタルID」を大規模導入
身分証明書の発行・管理でブロックチェーン活用
ブラジル政府が2023年11月6日までにブラジル国内全ての州で「ブロックチェーン技術を活用したデジタルID」を導入することが明らかになりました。
このデジタルIDでは、ブラジルの国家データ処理公社(SERPRO)が開発したプライベートブロックチェーン基盤のプラットフォーム「b-Cadastros」が活用されているとのことで、これによって身分証明書の発行に関するセキュリティ向上につながると期待されています。
「b-Cadastros」は、身分証明書の発行に関する様々な操作で利用されるプラットフォームで、検索・登録・変更のためのセキュアなデータ共有を可能にすると伝えられています。
ブロックチェーン技術は「個人データのセキュリティと透明性向上」や「不正行為の防止」などに役立つ他、分散化された性質やデータの改ざんが困難な特徴から、安全かつ信頼性の高いシステムを提供できると期待されています。
日本ではマイナウォレットも
11月6日までに全ての州で導入予定
新しいデジタルIDは2023年9月25日からゴイアス州・パラナ州・リオデジャネイロ州で導入されていて、その後6週間をかけて他の州でも同プラットフォームの利用が開始される予定となっています。
なお、2023年11月6日以降はすべての発行機関が新しいIDカード(CIN)の標準を採用する義務があるとのことです。
SERPROの公式発表では、身分証明書でブロックチェーン技術を活用する利点について以下のように説明が行われています。
ブロックチェーン技術は個人データ保護と詐欺防止で重要な役割を果たし、ブラジル国民により安全なデジタル体験を提供します。ブロックチェーンプラットフォームである「b-Cadastros」を使用することによって、国民IDカードプロジェクトのセキュリティと信頼性を大幅に向上させることができます。
ブロックチェーンネットワークに記録されたデータを変更したり改ざんしたりすることは事実上不可能であるため、ブロックチェーン技術を活用するアプリケーションでは「データが変更・改ざんされない」などの利点が期待できます。
もう1つの利点は分散化です。複数のマシンやネットワークのノードに分散されているため、サイバー攻撃に関する脆弱性が軽減され、攻撃者がシステムのセキュリティを侵害するのがより困難になります。また、ブロックチェーンではネットワーク上で実行される全てのトランザクションとアクティビティを追跡できるため、透明性を高めてシステムに対するユーザーの信頼感を高めることができます。
ブラジルでは中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「DREX」の導入に向けた準備も進められており、試験運用が完了した後の2024年末までにはDREXが正式導入される予定とも報告されています。
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