金融庁:法令改正へ「仮想通貨による出資」にも規制適用
金融庁は、証券や株式などの金融商品を取り扱っている事業者が「仮想通貨(暗号資産)」で出資を募った場合にも金融商品取引法(金商法)の規制を適用する方針を固め、現在「金商法の改正」や「関連する法令の見直し」などを検討していると産経新聞は報じています。
こちらから読む:仮想通貨先進国としての"基盤"を固める「日本」関連ニュース
金融商品取引法の"抜け穴"
金融商品取引法(金商法)はこれまで、無登録の事業者が「金銭」で出資を募ることを禁止していましたが、「仮想通貨(暗号資産)」を通じて出資を募ることに関しては明確に記述されていなかったため、法律の"抜け穴"を利用して「不正に仮想通貨を集めた」といった事件が発生しており、問題となっていました。
2018年11月には、無登録で米国の投資会社「SENER(セナー)」への出資を募った男性8人のグループが「金融商品取引法違反」の容疑で逮捕されています。このグループは合計約83億円相当の資金を集めたとされていますが、その9割以上は仮想通貨で出資を受けたものだったと報告されています。
「金銭」での出資を募る場合には"事業者登録"を行う必要がありますが、「仮想通貨」で出資を募る場合にはその必要がなかったため、不明確な状態となっていました。
規制明確化で「投資家を保護」
金融庁は2017年10月時点で「仮想通貨で出資を募った場合でも"金商法の規制対象になる"と考えられる」との見解を公表していましたが、法的に明確な裏付けがなければ刑事裁判などで適切に対処することができなくなる可能性があるため「仮想通貨も金融商品取引法の規制対象である」ということを法令で明確に示すことを決めたとされています。具体的には、金商法を改正することや、それに関連する法令を見直すことなどが検討されているとのことです。
規制が明確に示されることによって、悪意を持って資金調達を行う事業者の数は減少していくことになり、しっかりとした目標を持っている事業者だけが増加していくことになるため、投資、出資を行う人々が詐欺などの被害に巻き込まれる危険性を減らすことができると考えられます。
最近の報道では、仮想通貨事業者として登録することに関心を示して金融庁に問い合わせを行なっている企業の数は「190社」を超えているということも報告されていますが、今回の決定によって、この数字はさらに増加していくことになると考えられます。