自転車の盗難被害にブロックチェーンで立ち向かう「Bike Blockchain」開発:オランダ
オランダの免許を発行する機関である「RDW(The Dutch Vehicle Authority)」と大手IT企業「IBM」は、オランダで社会問題となっている自転車の盗難問題を解決するべくブロックチェーン・プラットフォーム「Bike Blockchain(バイク・ブロックチェーン)」の共同開発に取り組んでいます。Hyperledger(ハイパー・レジャー)の技術を活用したこのプラットフォームは、盗難時に「自転車の所有者・保険会社・警察」の3者間の連絡をスムーズに行い被害を最小限に抑える事を可能にします。
こちらから読む:オランダの免許発行機関が活用している「ブロックチェーン技術」とは
自転車盗難時のやり取りをブロックチェーンで簡略化
オランダは人口より自転車の数の方が多い「自転車大国」としても知られており、2017年の統計では"人口1,750万人のうち1,350万人が自転車を利用し、合計保有台数は2,230万台にのぼる"とも報告されています。
西ヨーロッパでの生活では自転車が重要な存在となっていますが、その一方では「自転車の盗難被害」も多発しており社会問題となっています。実際に自転車の盗難事件が発生した際には、被害届けや保険申請のプロセスで「所有者・保険会社・警察」のやり取りが必要となるため、これらのプロセスが複雑であるという問題もあります。
IBMとオランダの免許を発行する機関「RDW(The Dutch Vehicle Authority)」はこれら3者間のやり取りを簡略化するべくブロックチェーン・プラットフォーム「Bike Blockchain(バイク・ブロックチェーン)」を開発しました。
このプラットフォームには、オープンソースのブロックチェーンプラットフォームであるHyperledger(ハイパー・レジャー)の技術が活用されています。
「Bike Blockchain」を構成する3つのアプリケーション
Bike Blockchain(バイク・ブロックチェーン)のプラットフォームは「所有者用・警察用・保険会社用」という3つのアプリケーションで構成されています。
「自転車の所有者」向けアプリ
「自転車の所有者」は、RDWのアプリ上で自分の自転車の情報を登録することができるようになっており、自転車の情報が登録されると「位置情報」や「自転車の所有者情報」などがプラットフォームに送信される仕組みとなっています。
自転車が盗難された場合には、自転車の所有者がアプリを介して「Bike Blockchain」に報告することによって、警察や保険会社にいち早く通知を送ることができます。
「警察」向けアプリ
「警察」は、アプリを通じて盗まれた自転車のデータを確認することができるようになっているため、実際に盗難被害が発生した際には、所有者からの通知を受けて「最新の位置情報」を確認することができます。
これによって、自転車が盗難された際に迅速な対応をとることができるようになり、犯人や自転車の場所をいち早く特定することができると期待されます。またこのような報告などの取引はスマートコントラクトによって自動化されているため、自転車の所有者は「警察が盗難報告を確認したかどうか」を確認することもできるとのことです。
「保険会社」向けアプリ
「保険会社」は、警察によって盗難被害が確認された後にスマートコントラクトを通じて、
・所有者に保険が変えられているか?
・自転車が施錠されていたか?
・所有者は補償を受ける資格があるか?
などの検証を行うことできるようになっています。
これによって保険請求処理プロセスを数ヶ月から数秒で処理する事ができると説明されています。
「盗品の売買防止」や「その他商品への応用」にも期待
「Bike Blockchain」を採用することによって、3者間の連絡を合理化して所有者の不安とストレスを削減することができ、犯罪の減少にもつながるとされています。
IBMとRDWは自転車盗難の防止策として2017年からブロックチェーンの利用を検討し始め、Bike Blockchainの開発に取り組んでいました。今後さらに普及が進めば、自転車だけではなく他の商品にも応用する事ができるようになり、盗難された商品の売買を防いだり、偽物や紛失した商品の発見にも役立つと期待されます。
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