銀行の暗号資産取扱いに関する「明確な規制」を準備:米連邦預金保険公社(FDIC)会長
米連邦預金保険公社(FDIC)の会長であるJelena McWilliams(エレナ・マクウィリアムス)氏は、24日から27日にかけて米国で開催されている「Money20/20」というフィンテックカンファレンスの中で、仮想通貨やブロックチェーン技術のイノベーションを阻害せずに促進できるようにするために『銀行がどのような状況下で仮想通貨関連の活動を行うことができるか』などについての調査・検討を行なっていることを明かしました。
こちらから読む:ビットポイント、国内初"JMY"取扱い開始「暗号資産」関連ニュース
イノベーションを促進するための明確な規制を準備
米連邦預金保険公社(FDIC)の会長であるJelena McWilliams(エレナ・マクウィリアムス)氏は、24日から27日にかけて米国で開催されている「Money20/20」というフィンテックカンファレンスの中で、仮想通貨やブロックチェーン技術のイノベーションを阻害せずに促進できるようにするために、これらの技術に関する明確なルール・規制を定めるための取り組みを行なっていることを明かしました。
※米連邦預金保険公社(FDIC):米国の被保険銀行における所定の預金を保護するために、預金保険業務などを行う米国政府の独立機関。金融システムの安定を保ち、安全性や健全性を維持し、消費者を保護するために金融機関を監督する役割を担っている。
Jelena McWilliams氏はスピーチの中で『米国の政策立案者たちはインターネットが誕生した時もそれらの技術が生き残って成長していけるようにするためにゆっくりと確実に一連の法律・規制・法的原則を築き上げてきたが、もしそうしていなければ携帯電話はただの電話になっていただろうし、文章のやりとりにはファックスが使われていただろう』と語っており、『暗号資産に関してもリスクを軽減しながらイノベーションを促進するための明確なルールを設けなければ、イノベーションが阻害され、世界を変える技術の開発における米国のリーダーシップが失われる可能性がある』と説明しています。
「銀行の暗号資産関連活動」に関する明確なルールを
Jelena McWilliams氏によると、FDICはこの数ヶ月の間に「連邦準備制度理事会(FRB)」や「通貨監督庁(OCC)」と協力して『crypto sprint』と呼ばれる活動を行なってきたとのことで、この取り組みでは各機関が「銀行がどのような状況下でどのように暗号資産に関わる活動を行うことができるか」についての方針を調整していると報告されています。
具体的には、以下のような複数の事柄についての明確な指針を国民に示すことを目標にしているとのことで、今後数ヶ月以内には一連の政策声明が発表される予定だと報告されています。
- 既存の規則や方針がどのように暗号資産に適用されるのか?
- 銀行はどのような活動を行うことが許容されるのか?
- 暗号資産関連の活動を行う銀行に対して、FDICがどのように関わっていくか?
「ステーブルコイン」にも言及
Jelena McWilliams氏はスピーチの中で、特定の資産・通貨に価値が連動するステーブルコインについても語っており、『ステーブルコインは従来のシステムに比べて、より速く、より安く、より効率的に決済を行うことができる、という多くのメリットをもたらす』と評価しています。
しかし同氏は"その一方でステーブルコインには一定のリスクもある"と述べており『保険に加入している銀行から多額の資金が流出し、信用創造、金融安定性、銀行の資金調達に重大な影響を及ぼす可能性がある』と指摘しています。
このように語るMcWilliams氏は『潜在的なリスクを考慮しつつ、ステーブルコインがもたらす潜在的な利益を実現するためには、ステーブルコインを十分に調整された政府監視化に置くべきである。銀行以外で発行されたステーブルコインは"安全で流動性の高い資産によって1対1で裏付けられている"という基盤の上に成り立つべきである』と語っています。
仮想通貨やブロックチェーン技術の規制などについて語ったJelena McWilliams氏は、スピーチの最後に『私は"社会における政府の役割は、成長とイノベーションを阻害するのではなく、促進することである"という確固たる信念をもってFDICの会長を引き受けた』とも述べており、『規制当局は新技術のリスク軽減のために、機敏かつオープンであるべきであり、赤ん坊を風呂水と一緒に捨ててはならない。その赤ちゃんは適切なケアを受ければ優秀な大人に育つかもしれない』と語っています。