国内3行と「Japan Open Chain上のステーブルコイン発行」に向けた実証実験開始:G.U.Technologies
Web3インフラを開発・提供する「G.U.Technologies」は2023年3月2日に、日本企業が運営するイーサリアム完全互換のパブリック・ブロックチェーン「Japan Open Chain」上で、東京きらぼしフィナンシャルグループ・みんなの銀行・四国銀行と共に『日本法に準拠したステーブルコインの発行』に向けた実証実験を開始したことを発表しました。
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日本法に準拠したステーブルコイン発行に向けて実証実験
Web3インフラを開発・提供する「G.U.Technologies」は2023年3月2日に、日本企業が運営するイーサリアム完全互換のパブリック・ブロックチェーン「Japan Open Chain」上で、3つの金融機関と共に『日本法に準拠したステーブルコインの発行』に向けた実証実験を開始したことを発表しました。
この実証実験には「東京きらぼしフィナンシャルグループ・みんなの銀行・四国銀行」が参加するとのことで、具体的にはG.U.Technologiesが開発するステーブルコイン発行・管理システムを通じて、Japan Open Chain上でステーブルコイン型電子マネーの発行や送金などを行うと説明されています。
Japan Open Chainは「信頼できる日本企業が日本法に準拠して運営を行う、安心してWeb3ビジネスを行えるブロックチェーン」として開発されているEthereum完全互換の高速ブロックチェーンであり、ネットワークを支える初期バリデータとしては以下の6社が参加、最終的にはバリデータが21社になる予定であることが報告されています。
【Japan Open Chainの初期バリデータ】
- コーギア株式会社
- 株式会社電通
- G.U.Technologies株式会社
- 株式会社みんなの銀行
- ピクシブ株式会社
- 京都芸術大学
裏付け資産がある各銀行の独自ステーブルコインを発行
今回の実証実験では、G.U.Technologiesが開発した金融機関向けステーブルコイン発行システムを利用して、Japan Open Chain上で資産的な裏付けがある、日本の新しい資金決済法を順守した、MetaMaskなどのイーサリアムウォレットで利用可能な、各銀行の独自ステーブルコインを発行できることを確認するための実験を行うと説明されています。
また、今後は法的要件を満たしたステーブルコインシステムの実装を行うと共に、自治体や民間企業を巻き込んだ実証実験を通して「ステーブルコインの企業間送金」や「一般生活者の利用」など普及に向けた取り組みを推進していくとのことで、最終的には銀行勘定系のテスト環境や本番環境とも連携しながら、法的に裏付けのあるステーブルコインの発行を目指すと報告されています。
日本ではアメリカやEUに先駆けて、ステーブルコインを規制する法律である「改正資金決済法」が2023年6月までに施行される予定で、これによって日本円だけでなく世界中の通貨で発行が可能になることから、『世界中の決済を日本が担う可能性も含め日本の金融機関としては大きなビジネスチャンスになる』と考えられています。
G.U.Technologies社は「金融機関や資金移動業者が簡単に導入できる、法令遵守や決済処理速度など実用性を重視したステーブルコインシステム」を開発しているため、今回の実証実験を成功させた後に様々な金融機関が独自のステーブルコインを発行できる世界の手助けをできればと考えているとのことです。
仮想通貨業界では既に様々なステーブルコインが発行されていますが、最近では「実際には価値が増減するアルゴリズム型ステーブルコイン」や「裏付け資産のない擬似的なステーブルコイン」が問題となっているため、『主流ウォレットで管理可能な、裏付け資産のある、日本法に準拠したステーブルコイン』の発行が可能になれば、日本国内でのステーブルコイン発行や、国産ステーブルコインの普及などにもつながると期待されます。
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想定されるユースケースとメリット
Japan Open Chain上で発行されるステーブルコインのユースケースやメリットとしては以下のような点が挙げられています。
想定されるユースケース
- 全銀ネットやSWIFTネットワークに替わる国内外の個人及び企業間の新しい送金・支払手段
- NFTなどのweb3決済における主要決済手段
- クレジットカードに替わるオンライン上でのあらゆる決済手段
- ブロックチェーン上で発行されたデジタル証券(ST・STO)の売買
- 地域通貨としてのステーブルコインの発行
ステーブルコイン発行体(銀行や信託銀行)のメリット
- 自行の預金口座及び預金残高の増加による運用益の増加
- 決済手数料、交換手数料による収益の増加
- 外貨建てのステーブルコインの発行による世界からの資金流入への期待
- 特定の地域や利用目的に応じて独自の特典を提供できる
- 与信管理データとしての活用など、新しい決済データの活用機会の創出
- 銀行送金システムの開発及び運用コストの大幅な削減
ステーブルコイン利用者のメリット
- 決済手数料や送金手数料が大幅に安価になり、送金負担が軽減される
- 発行体間でのステーブルコイン顧客獲得競争が生まれ、事業者や生活者はより良い利便性を享受できる
- 米ドル連動型ステーブルコイン等の外貨決済にシームレスに対応できる
- 自治体含む複数事業者間の支払・送金がスムーズになり即時入金が実現
- NFTなどのデジタルアセットの交換手段として利用できる
実証実験参加希望の事業者も募集中
今回の発表では「法的要件を満たしたステーブルコインシステムの利用」や「今回の実証実験への参加」を希望する事業者を募集していることも報告されており、「ブロックチェーン技術を活用したweb3サービス・ブラウザ・ウォレットの開発」に興味がある事業者からの連絡も募集していると説明されています。
なお、Japan Open Chainに関しては昨年12月に、Japan Open Chainの手数料トークンを販売するIEOの実施に向けて暗号資産取引所「Huobi Japan(現:BitTrade)」と覚書を締結したことも発表されています。
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